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召喚士されし者 62・鋼の甲虫

気がつけば、アルベルト、ずっと呼び捨て。

あちゃー

 エルキスタの街から東に進むこと、早三時間。

 ようやく目的地である8番廃坑へと辿り着くことが出来た。

 最盛期には数百人の人間が行き交っていた場所らしいのだが、今では見る影もないほど静まり返っている。


 ここまでの街道は実に平和だった。

 なんでも街の依頼を受け、定期的に街道と廃坑の魔物を駆除しているらしい。

 使わなくなった廃坑は魔物が住みやく溜まりやすい。その為、魔物の大量発生による集団暴走(スタンピード)が起こりやすいんだとか。


 つい10日程前に一度駆除を行っていた為、坑道内も魔物が少ないだろうとの事だ。


 廃坑に入る前、装備の確認をする為に俺は荷物をおろす。

 バックの中には、三食分の食糧、水のたっぷり入った革の水袋、ランタンだけが入っている。他にも色々と用意はしていたのだが、まぁ、色々あって思いきって置いてきた。


 あれだよ、持てなかったとかじゃないから。

 本気だせば持てるし、魔力で強化すればいけるし。



 ・・・・はぁ、少しは少しは体鍛えようかな。


「・・・そう言えばさ。アルベルトは監視員だけど、中までくるの?俺が守る感じ?」

「そうですね、一緒に行きますよ。守る必要はありません。ちょこっとですが、腕に覚えもありますからね。」

「ふーん。あれか、ギルマスみたいにメンバーから職員になったのか?」

「えぇ。」

「ランクは?」

「元はランク8でした。」



「・・・・いや、ちょこっとじゃねぇじゃん。」


 この赤ローブ野郎、けろっと何言っちゃってんだよ。

 ランク8って、実質の最高ランクじゃねーか。


 聞いた話、ランク8が実質の最高位らしいのだ。

 ランク9~10はかなり特別なランクで、王族の許可が必要だったり、ギルド連合の四大支部ギルドマスターから推薦を受けたり、と色々面倒な手続きが必要で滅多になれる物ではないんだとか。

 現役のメンバーでもランク9は8人、ランク10は3人しかいないらしい。





 一通り荷物と装備品の確認を済ませ、ランタンに灯りをともし坑道へと入る。

 右手にはムゥの糸がコーティングされた魔剣、左手にはムゥを抱えている。ランタンは腰のベルトに着けた。

 定期的に人の手が入っているからか、荒れている様子はない。


「そう言えばさ。アルベルトって武器とか、何使うんだ?持ってる用には見えないけど・・・。」

「武器は、使いませんね。」

「素手?キリシマ?」

「いえ、私は━━━」


 アルベルトが言いかけたその時、坑道奥から耳障りな音が響いてきた。黒板を引っ掻くような不快な音が断続的に鳴り響く。


「この音!?」

「アイアントが発する警戒時の鳴き声です。ユーキさん、来ますよ。」


 鳴き声が鳴りやむと、カチカチと金属が石を叩くような音が聞こえてきた。それは段々とこちらに近づいているようだ。


 それから程なくして、ランタンの灯りが音の正体を照らしだした。

 一メートル程の大きさで地面を這いずる、鋼の輝きを持つ蟻のような魔物、アイアントである。


「これが、・・・本当にメタリックな感じだな。」


 現れた魔物アイアントは、ツルツルのテカテカだった。

 磨き上げた車みたいな輝きを放っている。


 アイアントは俺の姿を確認すると、直ぐ様襲ってきた。

 走る速度は中々に早く、十メートル程あった距離を一瞬で詰められた。

 思いのほか早く俺の反応が一瞬遅れたが、アイアントと俺と間になんとか剣を滑り込ませる事が出来た。

 それがどうした、と言わんばかりにアイアントが剣に噛みつく。「ギャリッ」と金属の擦れる音がなり、火花が散る。

 離れる気配が無いアイアントをそのままに、魔力強化した豪腕で剣を力一杯振りかぶった。音も置き去りにする神速の一振り。アイアントの咬筋力では剣を噛み続ける事は出来なかった。

 耳障りな金属音と共にアイアントは壁に叩きつけられた。硬質な体は衝突の衝撃でぐしゃりと潰れ、輝いていた表皮は青い体液で汚れる。


「━━━っ怖!?なんだ今の!?」


 なんとか叩き殺した俺はアルベルトへと視線を向ける。

 俺の表情を見たアルベルトは笑みを浮かべた後、眼鏡をくいっとかけ直した。

 あ、あれは!眼鏡っ子特有の、教えて差し上げましょうのポーズだ!


「━━アイアントは見かけによらず素早いんですよ。彼等、魔力で能力を向上させてますからね。」


 本当に教えてくれた・・・。


「魔物のくせに、魔力強化を使うのか?」

「まぁ、厳密に言えば少し違うのですがね。元々、平均的に見ても魔物の方が人族より魔力保有量は多いですから、魔力を扱える者は意外と多いんですよ。有名どころなら竜種ですかね?彼等は魔力を実に上手く使います。魔力強化は当然、魔法も駆使します。他にもゴブリンメイジやリッチなども、そうですね。」


 言われてみれば、小脇に抱えているムゥも魔術が使えていたな。

 なんだ、普通か。


「さて、依頼内容は10匹のアイアント討伐。討伐数は残り9匹ですよ。頑張って下さい。」


 そんな言葉に背中を押され、俺は坑道を進んだ。


 何度もアイアントと殺り合う内に、小さな法則に気がついた。

 それは、「黒板音が聞こえたら、カチカチなって、アイアント」と言う法則だ。

 さらに付け加えるなら、「鋼がきらりと光ったら、シュバっと突撃、アイアント」だ。


 ・・・・・つまらない事を言っている自覚はある。責めないで欲しい。


 まぁ、冗談などではなく、どいつもこいつも、行動がまったく一緒だ。出会い頭に捨て身の突進をかましてくる所まで同じだった。殺られ方もほぼ一緒だ。壁に叩きつけてやった。

 予定では狭い坑道で立ち回る為に、ムゥの糸で牽制するつもりだったのだが、まったくの無駄になってしまった。


 坑道に入ってから一時間くらいだろうか。最後の一匹を壁に叩きつけ、俺の昇格依頼は終わりを向かえたのだった。

どうも、どうも。

いつもニコニコ、あなたの隣に這い寄る混沌、ニャルラトホテプ━━とはなんの関係もない一般人。

赤金えんたです。


なんのかんの、ブックマークが50いったよ。

嬉しいんですけど、やったーーって言ってもいいですか?いいですよね?

やったーーーーー!!


もうね、ありがとう御座います。

これだけです。本当に。


読んでくれる皆様、応援して下さる皆様の為に、改めてまして深い感謝を。


これからも頑張っていきますので、どぞよろしくお願いいたします。


少し長くなりましたが、では。

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