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召喚士されし者 58・ギルドマスターと補佐

いつも読んでくださる皆様、ありがとうございます。

毎度のことですが、拙い分で申し訳ないです。

日々精進していきますので、どぞ宜しくお願いします。

「ギ、ギルマスが投げられた、だと?」


 戦士ギルド内に誰かの震えた声が響いた。

 そしてその声につられて一人また一人と、ヒソヒソとした話し声がギルド内に飛び交う。


「ギルマスって元ランク7の化け物だよな。」

「鬼の異名を持つあの人が。」

「酔っぱらってたんじゃねーか?」

「酔っぱらってたって、あの人は化け物だぞ。昔酔ったあの人が、イービルグリードをなます切りにしてるの見たんだ、おれは。」

「滑ったんじゃ・・・」

「滑って壁に叩きつけられるかよ・・・・。」


 どうやら、山賊髭はギルドマスターだったらしい。


 ヒソヒソと話す戦士達。その視線はだんだんと1ヶ所に集まってきた。

 誰に?あ、ボード?いい依頼でもあった?

 ・・・・えぇ、はい、俺だよね?分かってますよ。はい。


「シェイリア、どうしよう。」

「・・・・のしちゃいます?」

「それ以外でいこうな。」


 そんな事を言っていると、騒ぎを聞き付けた他の職員が奥の扉からゾロゾロと出てきた。

 職員は騒ぎの原因を探す為、ギルド内を見渡す。すると、一人の職員が壊れたカウンターと壁に埋るギルドマスターを見つけ声を上げる。


「ギルドマスター!?」


 その声につられ、職員達はギルドマスターに駆け寄っていく。


 ゾロゾロとギルドマスターに駆け寄る職員達。

 だが、その職員達の中で一人の職員が視線の集まっている俺に目をつけた。


 その職員は焦げ茶色の髪をビシッと七三に分けた、目鼻立ちのすっきりした翡翠色の目を持つ鋭い眼光の男だ。


 男は銀縁の眼鏡を指でかけ直し、襟元に金の刺繍の入ったシャツをピシッと整え、カツカツと靴底を鳴らしながら歩み寄ってきた。

 俺の前でピタリと止まると、軽く頭を下げて言った。


「お初にお目に掛かります、お嬢様方。エルキスタ支部戦士ギルド、ギルドマスター補佐役のアルベルト・バートンと申します。お話をお聞かせ願えますか?」


 真面目そうな顔を軟化させ、男は俺の目を覗いた。

 男の目は何処までも澄んでいた。




 そのまま応接間に案内された俺達。ギルドカードを提示して軽い自己紹介を済ませ、山賊髭とのやり取りを一通り説明する事になった。

 話を聞き終えると、アルベルトはお茶の入ったカップに口をつける。一息ついたアルベルトは「ふぅ」と小さく息を吐いた。


「どうやら、ギルドマスターが余計なマネをしたようですね。今回、此方から請求する物は何一つありません。お二方、申し訳ありませんでした。ギルドマスターであるギュンター・オヴァーはお節介が過ぎるところがありまして、今回も悪い癖が出たようです。」


「悪い癖?」

「悪い癖ですか?」


「ええ。ああ見えて我がギルマスは中々に優秀な方でして、人を見る目は確かなのですよ。戦士として力量の無い者と判断した場合、新参を追い出す事がありまして、いやはや、困ったものです。」


 ・・・・・それって組織としては大問題なんじゃ。


 そんな俺の考えに気づいたのか、アルベルトは困ったような笑みを浮かべる。


「ええ。大問題ですね。正直言えばとても困っています。しかし、目は確かなのですよ。本当にね。ギルマスが追い出したメンバーがギルマスの目を盗んで依頼を受ければ、誰一人と帰って来ませんし。逆にギルマスが見込んだ方は、優秀なメンバーになっていますしね。」


「へぇ。あれが。」


 投げ飛ばしてやったけどな。

 そんな事を思っていると、アルベルトと目があった。


「━━━まぁもっとも、今回はギルマスの目が曇っていたようですが。」


 アルベルトが笑みを浮かべる。先程の困ったような笑みではなく、晴れやかな澄んだ笑みだった。


「さて、お二方はギルドに依頼を受けに入らしたのでしょう?受け付けに話を通しておきますので、ぜひご利用下さい。ギルマスにもお二方の実力は伝えておきますので、今後はご迷惑はおかけする事が無い事をお約束します。」


「・・・・ん。分かった。けど、依頼は受けないぞ。ランク1だとあんまり面白そうな依頼も無いし。」

「そうですね。闘技場にも興味もありますし━━。」


「・・・ああ、そう言えばお二方はランク1でしたね。しかし、これ程の実力を遊ばせておくのは、ギルドとしても勿体ないですね━━━━」




「昇格依頼を受けろ。」


 部屋の外から野太い声が掛けられた。

 そしてガチャリと扉を開らかれ、山賊髭のオッサンことギュンター・オヴァーが部屋に入ってきた。


「ランク4の昇格依頼をうけろ。小娘共。」


「「・・・・・・・・。」」


「アルベルト。ランク4の昇格依頼を早急に用意しろ。試験官はお前に任せる。」


 山賊髭がアルベルトの前で、偉そうに腕を組む。


「・・・・と言われましても。確かにギルマスを投げた事は評価に値しますが、お二方はこれと言った実績がありません。そんな者にギルドが昇格依頼などして用意しては、他の者に示しがつきませんよ。それにいきなり3つもランクを上げなくとも━━」


「そうしなければ、コイツらは平然と此処を去るだろう。此処(メンバー)でなくとも生きられるようだしな。油断していたとは言え、俺を投げ飛ばす力があればランク4でも低いくらいだ。」


「━━ですが」

「アルベルト。遊ばせておく戦力は一つだってない。直ぐにやれ。」

「・・・はぁ。かしこまりました。なにかあった時は、ギルマスの責任ですからね?」

「うむ。俺は仕事があるから後の事は任せるぞ。」


 山賊髭は言いたい事を言って、早々に出ていった。

 部屋に静寂が訪れる。

 なんと言うか、・・・うん。勝手な髭だ。


「・・・・えぇ、と。昇格依頼についてなんですが、ご予定は空いてますか?」


 申し訳なさそうにしているアルベルト。

 なんだかいたたまれなくなった俺はつい言ってしまう。


「武祭が始まる前なら大丈夫だけど・・・」



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― 新着の感想 ―
[一言] ギュンターさんの名前が二種類ありますぞー
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