召喚士されし者 51・鳥を落としたその後に
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ひと狩り終えた俺が馬車に帰ってくると、空を埋め尽くしていたニビイロ達は見当たらなくなっていた。
言うまでもなくシェイリア達が片付けたのだろう。
地面に落ちたニビイロの解体をしている四人に声を掛ける。
どうやら大きい怪我は無さそうだ。
しかし、シェイリアは返り血を浴び、エライことになっていた。下手な戦士よりずっと戦士だった。シェイリアはアマゾネスかもしれない。
対してロイドは綺麗な物だった。かすり傷も殆んど無く、返り血も点々とついているだけだったのだ。
あまりの綺麗さに遊んでたの?と尋ねると、「必死で戦ったわ、馬鹿」と言ってきた。馬鹿にむっときたのでデコピンを打ち込んでおいた。馬鹿はいかん、いかんよ。
極彩王鳥ことニビイロウとの戦いは実にあっけなく終わった。
太い鳥の足をムゥの糸で地面に縛り。ラ・ディーンのレーザーで苛めて弱らせ、片翼を斬って叩き落としただけなのだから。ぶっちゃけグラスプリザードより遥かに楽だったので、本当に大した労力も使っていないのだ。
その事をユミスに言ってみたら、「ユーキよりオーガのがしっくりくるよね」とオーガ呼ばわりしてきたので、デコピンを打ち込んでおいた。オーガはいかん、いかんよ。
さて、話しは変わるんだが、ニビイロウは殺していない。森のどこかで小さくなっている筈だ。
叩き落とした後、落としたニビイロウを見にいったのだが。驚くことにニビイロウは絶命してなく、苦し気に呼吸をしていたのだ。ひと思いに息の根を止めようと剣を振り上げ━━━、そこである事を思い付いた。
「あ、そうだ。翼、くっつけてみよう。」
マッドである。実にマッドな考えである。
しかし、俺は以前からムゥの能力にある可能性を感じていたのだ。もしかしたらムゥ先輩、手術的な事も出来る子なんじゃね?と。
服を編む器用さ、自在に調整の出来る糸、傷を癒す治癒魔術と三種の神器が揃っているのだ。やって出来ない事ではない。
今の所、治療手段がムゥの治療魔術だけで、常日頃から心もとないと思っていたのだ。これを期に、ムゥ先輩には医療術の知識を深めてもらい、より一層の活躍を期待したいのだ。
そんな訳で、素人考えから実験的に手術してみた。
結果だけで言えば、手術は思っていた以上に上手くいった。出血多量で危うく死なせかけたのを除けば、切断面は綺麗に繋がったし、神経も通っているように見える。試しに羽根をむしったら、血が出て痛がったので大丈夫だと思いたい。
今後も隙を見てムゥ先生には経験を詰んで貰って、いずれは名医になって貰うのが一つの目標になった。
そんな得る物の多い戦いを終えた、その夜。
「いたたたたたた!いっっっっひゃいってば!ユーキ!!!」
「ほう。そうか。」
俺はユミスの片手を背中に捻り上げ、関節技の練習をしていた。
「今日の戦いぶりを見て分かった。ユーキ、あんたには足らない物がある。・・・・組技だ!!」
と、馬鹿な事を言ってきたので、よくある拘束術でユミスを苛めていた。
なんで今日の戦いを見て、組技が必要だと思ったのか、徹底的に聞いてみたい所だが、ちゃんとした返事が返って来そうにないので止めた。
ユミスとじゃれあっていると、馬車の影からシェイリアが混ざりたそうにこっちを見てきた。
「・・・・・シェイリア。見えてる、見えてる。」
「いひゃい、いひゃいよ、ユーキ!!!」
「あ、ユーキ様。いや、あの違うんですよ。」
「たたたたた!!!ユーキ、折れる!折れるって!」
「いや、何がどう違うかわかんないけど、取り合えずこっちに来な。」
そう言うと、恥ずかしそうにシェイリアはやって来た。
シェイリアが混ざった事により一段落ついた気がするので、ユミスへの技を変えてやる。コブラツイストでユミスを極める。見よう見まねなので効果の程は分からないのだが。
「今日は申し訳ありませんでした。」
「たい、いひゃいよ、ユーキ!!!」
「・・・・・何が?」
「あああぁぁぁ!?だめっそこおぉぉわぁ!!」
「任せて頂いたと言うのに、ユーキ様の手を煩わせてしまった事です。正直、あの大鳥と戦う余裕はありませんでした。私はまだまだだったようです。」
「ユーキぃぃぃぃ!しぬぅしぬって!ちょっ!」
「あぁ。あれは仕方ない。でも、あれだけのニビイロを対処したんだ自信は持って良いと思うぞ。武祭は・・・もうちょっと考えさせてくれ。」
「あばばばばば、しぬぅしぬぅ。ユーキいぃぃ!」
「はい!ユーキ様に認められるよう頑張ります!」
ユミスがあんまり五月蝿いので、技をといてやる。
ほっと胸を撫で下ろすユミス━━━の隙をついて今度は卍固めで締め上げる。
「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!ユーキぃぃぃ?!いひゃいよぉぉ!」
「・・・・・あの、ユーキ様。」
「あびゃぁぁぁ、ぁぁぁ!!」
「どうしたぁ?」
「いひゃいよぉぉぉぉ!いひゃいよぉぉぉぉ!ユーキぃぃぃ!止めてよぉぉぉぉ!」
「私にもそれ教えて下さい。」
「ちょぉぉぉぉ?!シア!?」
シア?いつの間にあだ名で呼びあう仲になってるんだ。コイツ。
まぁ、同年代の友達がシェイリアに少ないからな。仲良くしてやってくれよ。
俺はそんな思いを籠めて、さらに強くユミスを締め上げた。




