召喚士されし者 38・キリシマ拳刀術
最近、DARK SOULSばっかりやってさぼっておりました。
面白いですね、中々。死にまくりの凡人プレイヤーではありますが、少しずつ攻略中です。
さて、待っていてくれた方々お待たせしました。
いつも読んで頂いている方々には本当に頭が上がりません。ありがとうございます。
相変わらずな下手っぴな文ですが、お付き合い頂けたら幸いです。では。
キリシマ拳刀術。戦乱のおり開祖レイベウロス・キリシマにより考案された徒手格闘術である。
その技術体型はかの時代においてかなり異例の物であった。剣が降り下ろされ、槍が貫き、矢が雨と降り、魔術が交錯する戦場において、意図して素手で戦う者は皆無であった。
当然の事ながら武器とは戦う為に産み出された物であり、これは人の戦闘能力を著しく向上させる物だ。これを放棄して素手のみに固執する事は愚の骨頂でしか無かった。
しかし、開祖であるレイベウロスは魔導大隊を含む一個師団を素手のみで撃退してしまったのだ。それもたった一人でだ。
当初、レイベウロスの戦闘スタイルは物笑いのネタでしかなかったが、これを気に評価が一転する事になる。
公式に王家より功績を認めて貰い、名声を得たレイベウロスは以後、拳聖を名乗るようになる。
それからも、幾度となく戦場に立ち続けたレイベウロスは、多くの戦果を挙げていく事になった。
その姿に憧れて弟子を志願する者は多く。数百人規模の弟子を持つにいたるのだが、誰1人レイベウロスの教授を受ける者はいなかった。結局、晩年にいたるまで、レイベウロスは自分の技術を人に伝える事は無かったのだ。
死に際、5人の弟子にレイベウロスは知りうる技の全てをその身に叩き込んだと言われる。そして1人に1つずつ、レイベウロスが弟子の為に考案した技を伝えたとされている。
「その5人の弟子の1人、二番弟子のカルテが引き継いだのが、この[キリシマ拳刀術]となるのだ。」
現当主、フューズベルト・マクランは腕を組重々しく語った。
俺は「長ぇよ」と心の中で叫んでしまった。
フューズベルトに案内され、会館の応接室にお呼ばれした俺とロイドは、キリシマ拳刀術にまつわる話を延々と聞かされていた。
事の発端は俺の何気ない一言だった。
「キリシマ拳刀術って何?」
俺はどう言った事を教えているのか聞いたつもりだったのだが、フューズベルトはキリシマ拳刀術の歴史を語りだしたのだ。
まぁ、全く興味が無かった訳でも無かったが、今はシェイリアの様子が気になる。
早目に切り上げてこっそり観察したいのだが、中々話が終わらない。
「シェイリアの妹よ。お主も我がキリシマ拳刀術を学ばんか?あの子の妹ならば、武の才があるのやもしれん。試してみぬか?」
フューズベルトは手の平をかざし俺の顔をまじまじと見つめる。
ん?打ってこいってか?
「止めとけマクランさん。おちびは色々規格外だから、ろくな事にならないぞ。」
俺の隣にいたロイドが口を挟んだ。
「む?よくわからんが安ずるな。ワシとて老いたとはいえ武人のはしくれよ。まだまだ子供に遅れはとらぬわ。」
「いや、止めとけよ。武人じゃ足りねんだよ。ドラゴンくらいじゃねぇと。」
「ロイド君、私を何だと思っているの?」
俺の話し方がしっくりこないのか、ロイドがひきつる。
そのひきつり顔でそっと耳もとによると呟いてきた。
「その気持ち悪い話し方止めろよ。つか、ドラゴンくらいじゃねぇと足りねえだろ。本当に。」
「お前、か弱い幼女捕まえてなんて事言ってんだよ。」
「か弱い?誰が?アホ抜かせ。」
なんて失礼な奴だ。
この無礼者は後でたっぷり締めてやる。
「何をこそこそしておるか。ほれ打ってみなさい。手加減はいらんぞ。」
「・・・えぇーと。じゃぁ、1回だけ。」
「あぁ、俺は言ったからな。」
俺は拳に魔力を集中させる。
ピリピリと肌がひりつく、うむ、ここら辺が今の限界値か。丁度よい機会なので、今の俺が何処まで出来るか調べてみる事にしよう。
拳に目をやると赤いオーラが溢れ出している。
その光景を見ていたフューズベルトの顔色が変わる。冷や汗をかいているように見えるが気のせいだろう。もしくは部屋が暑いのかもしれない。俺は暑くないが。
「ユーキ、いっきまーす。」
「むぅ!?ま、待て、まだこっ・・・へぶぅ!?」
放った拳は赤い光で軌跡を描きながらフューズベルトの手の平に吸い込まれていった。着弾と同時にフューズベルトの体は宙を飛んだ。轟音と共に壁にめり込み大きなひび割れが生まれた。そこで止まると思ったがフューズベルトの体は壁を突き破り、隣の部屋の壁に叩きつけられた。またもや大きなひび割れが生まれ、フューズベルトの体は壁を突き破る。それから幾つかの部屋の壁を突き破り、最終的に中庭の修練場にある藁の山に突き刺さりフューズベルトは止まった。
「・・・・・・あれ?」
「おちび、殺す気かよ?」
魔力の出力は最大にしたが、拳は軽く振るったつもりだった。
それでこの威力なら、全力で放ったらどうなる事か。
俺は背筋が冷えた。
「何事ですか!?」
応接室の扉が乱暴に開かれ、1人の男が現れた。
男は胴着に似た服を着ており、僅かな隙間から見える肉体は鍛えぬかれた物であった。
恐らく、弟子の中でも上位に位置する人物だろう。・・・と思う。
「貴様ら!いったい此処で何をしていた。」
いきり立つ男。
まともな会話が成立しない気もするが、一応弁明しておくか。
「いやぁーー・・・。何て言うか。フューズベルトの爺さんが打ってこいって言うから、一発打ったんだけど・・・。やり過ぎたみたいで、吹き飛ばしちゃったんだよね。」
「何をっ!?貴様さてはキリシマ拳岩術の手の者か!!」
何だよキリシマ拳岩術って。
「師の敵!!くらえキリシマ拳刀術奥義[神速拳ハープーン・ジ・オルバァ]!!!」
どこかで聞いたなそれ。
俺は慌てる事なくそれをかわし、顔面に拳を捩じ込む。
やられたらやり返す。俺の流儀だ。
・・・・いや、今までそんな事、考えた事もなかったが。
今からそうしよう。
まぁ、もっとも、やられてなくてもやり返す時もあるのだが。
ようは気分だ。
拳がめり込こんだ男は一回転してから地面に叩きつけられた。
ビターンと間抜けな音が部屋に響く。
「なぁおちび。お前は何しに来たんだ。喧嘩売りにきたのか?」
「いやぁ、つい。」
その間抜けな音をきっかけに、沢山の筋骨隆々な男達が部屋に飛び込んできた。むさ苦しい空気に酔いそうになる。
「貴様!!!ヘイズさんに何て事を!」
「許さんぞ小娘!」
「顎髭が剃り上げるぞゴラぁ。」
取り囲まれた俺達は屈強な男達から怒声を浴びさせられた。
俺はその怒声にイラッとした。
確かに俺はやり過ぎた。だが、もとはと言えばフューズベルトの爺さんが原因だ。打ってこいと言うから打ったのだ、それも加減してだ。その結果不幸な事故でフューズベルトの爺さんを吹き飛ばしてしまったが、それは両者合意の上での結果であり、外野からとやかく言われる筋合いは欠片もないはずだ。よしんばあるとしても、それはフューズベルト爺さんであり、弟子その1その2がでしゃばっていいものでは断じてない。
だと言うのに、コイツら。
俺は魔方陣を展開させる。
先程から、俺のイライラに反応した召喚獣が、喚び出せと煩く騒いでいるからだ。
「こい、ヤヨイ。」
光の中から人型の召喚獣が現れる。
巫女のような赤の袴と白い装束を纏い、短い銀色の髪から動物のような耳がピンと立っている。
「主様、この度は喚び出していただき感謝いたします。」
「ん?お前も話せるのか、丁度いいアイツらを」
「全部お話にならずとも結構で御座います、主様。主様の苛立ち、ヤヨイしかと感じております故。程よく捩じ伏せ、不快なあやつらを黙らせましょう。」
ヤヨイはそう言うと男達に一瞥をくれる。
男達は突然現れたヤヨイに驚き狼狽えているばかりで、行動を起こせずにいた。
「30秒です。主様。それで宜しいでしょうか。」
「ん?・・・・いいぞ、やれ。」
ヤヨイが踏み込むと轟音が響き、風が吹き荒れる。
埃が舞い上がり周囲の視界が瞬時に奪われた。
その直後、俺の回りから幾人もの悲鳴があがった。
埃が落ち着く頃、立っている者は俺とヤヨイだけであった。
足元をみるとロイドが白目を剥いて倒れていた。
「ヤヨイ。」
「主様の代わりに締めておきました。」
「なら、いいや。」
静かになった部屋を見渡し、どうしよっかと考えていると、部屋の中にまた人が入ってきた。
うんざりしながらも、それを見るとよく知る人物がそこにいた。
「これは!?・・・ってユーキ様?!何をしているんですか?」
胴着姿のシェイリアが驚愕をその顔に浮かべている。
いつものシェイリアの姿とは違い、今のシェイリアは白い胴着を着込み、髪を縛り小さいポニーテールを作った姿だった。
いつもの格好とギャップもあって一層可愛いく見えた。
「シェイリア、可愛いな。」
気がつけば素直にシェイリアを褒めていた。
「・・え?はぁ、まぁ、ありがとうございます。」
少し困ったように笑ったシェイリアは頬をかいた。
「・・・・って、じゃないですよ!ユーキ様!何をしているんですか、事と次第によっては夕飯のオカズ減らしますからね!」
さて、シェイリアに完全に見つかってしまった訳だが、どうしたものか。
まさか、ただの暇潰しが夕飯に関わってくるとは。
俺はどう説明すれば傷が浅くなるか考えただした。しかし、上手い事行きそうにない事を悟り、素直に謝る事から始める事にした。
ヤヨイ
狐の獣人の召喚獣です。
性別は女性で獣の耳は勿論、フサフサの尻尾もあります。
戦闘能力が非常に高く、素手は勿論、ありとあらゆる武器を魔力で生成し、それを巧みに使う事が出来る直接戦闘特化の召喚獣です。
胸は控えめです。




