召喚士されし者 30・好奇心
どうもです。
いつも読んでいただいている方々ありがとうございます。
誤字脱字に気をつけているですが、
文がの変なのは変わりませんね。文才のない自分が情けない。
いつになったら進化するんでしょうか?
絶賛退化中のえんたです。
「ああ・・・・・、燃えとる、私の火山燃えとる。」
俺は目の前の光景に膝をついた。絶望である。
何せ竜を目視すらしていないのに、帰還しなければいけないのだから。
当初の約束は実は2つあった。1つは、魔物の異変が火山地帯以外でも起こっていた場合、即帰還と言われていた。そしてもう1つ、火山に異変が起きた場合も即帰還だとも言われていたのだ。
俺が項垂れていると、遅れて来た2人もこの光景に足を止める。
「ユーキ様、これは。」
「おいおい、ついてねぇなんてもんじゃねーぞ。」
「キュピ。」
ロイドが俺に駆け寄る。
「おちび、早くギルドに報告あげるぞ。ナダに帰還だ。」
「・・・・・うぅ。わかってる。」
俺達は馬車へと向かった。
幸い馬は逃げておらず、馬車は何時でも走らせる事は出来そうだ。馬車を出す準備をしていると、他の連中も大慌てで撤収準備をしている。
「・・・俺も片付け手伝うけど。」
「大丈夫ですユーキ様!任せてください!」
「キュピィィィ!」
そうか。・・・・つか、毛玉の奴、何馴染んでんの。あれ?手伝ってるよな。何なんだアイツ。
「ロイドぉ。」
「お前くつわの1つも付けられねんだから、大人しくしてろ。」
「何おぅ。いいのか、俺を暇にしてて?何か見つけるぞ、厄介事を見つけるぞ。」
「ありそうで困るな・・・。まぁもうすぐ支度は終わるから、待っててくれよ。何も見つけるなよ。」
と言う訳で、暇だ。
いや、暇になるはずない状況なんだが、暇になってしまった。
解せぬ。
召喚獣でさえ馬の世話が出来ると言うのに。
うろうろする訳にはいかないし、ただじっと待つのもなぁ。
「赤髪の嬢ちゃん!仲間はどうした逃げ遅れたのか!?」
「ん!?」
おお、ここに来て始めて仲間以外と話したな。びっくりした。
「いや、今馬の準備してる。」
「そうか、それならいいんだ。早く逃げた方がいい。」
「オッサンはアレか。行商人?」
「ああ。参ったよ。せっかくの儲け話がパァだ。」
「儲け話?」
「ガイアの方で食糧難が続いててな、食い物なら何でも高値になったんだよ。さて、赤髪嬢ちゃん俺は先行くからな、気をつけんだぞ!」
ガイア、巨人の国だよな。巨人の食糧難ってどんなもんなんだ。
想像してみたら凄いな。あんなキャラバンの運ぶ量じゃ足しにもならないだろ。
俺は山脈を見る。
あの先にあるんだよな、ガイア国。まだ暫く行く予定はないが、そのうち行ってみたいものだ。・・・・ん?
俺の目が人影を捉えた。
近づくにつれ姿がはっきりしていく。アスラ軍の騎士のようだ。
噴火中の火山地帯を抜けてきたのか、体中火傷を負い死にそうな顔している。
ほらみろロイド。見つけちゃったぞ、厄介事。
あっ、相手も俺を見っけたみたいだ。
「そ、そこの、赤髪の!頼む伝令を、ナダに伝令を!!」
騎士がよろけ、前のめりに倒れる。
仕方ないのでムゥに治癒の魔術をかけてもらう。顔色が少し良くなったのを確認してから、水を飲ませ落ち着かせる。
「はぁ、はぁ、はぁ、すまない。私はアスラ軍国境警備隊所属ガレス・デイクラフトだ。この恩はいずれ。」
「いいって、暇だったし。で、どうかしたの?」
「攻めて来たんだ奴等、巨人達が!魔獣まで引き連れて!今、山脈の向こうで軍隊が犇めいている。」
巨人?ほう。・・・・・巨人!!?
「おちび!うろちょろすんなよ。準備出来たぞ、って何があった?!」
「ロイド!巨人!巨人だってよ!!」
「はっ?巨人?」
「巨人が攻めて来たんだってよ!山脈の向こうで軍隊がいっぱいだってよ!」
「は?攻めてきた?巨人?」
要領得ない奴だ。巨人か、攻めて来たのか。
ロイドが騎士から話を聞いている。顔が青くなったのをみると、理解したようだ。
「逃げるぞおちび!」
いい目だロイド。お前はそうでなくちゃな。
「いや先に行っててくれ。ガイゼル貸しとく。」
「はぁ?何でだ。」
「攻めて来たんだろ?ちょっと見てくる。」
「はぁ!?危ねぇからやめとけ!」
ロイドは間違っていない。リスクを考えれば行くもんじゃない。
だが。
俺はラ・ディーンとガイゼルを喚び出す。ラ・ディーンの輝く翼が空に向け開かれる。
「なぁ、ロイド。今俺は凄くワクワクしてるんだ。巨人だぜ?」
「おちび!」
「シェイリアにヨロシクな!!ついでに竜も見てくる!!」
俺を乗せたラ・ディーンが翼をはためかせ空に昇る。
向かう先は1つ。
炎が踊るアトヌウス山脈。
行かなければならない理由はない。
見なくてはいけない理由はない。
あるのは、抑えられない好奇心だけだ。
子供のような気持ちに押され俺は進む。巨人の待つその場所へ。




