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召喚士されし者 23・再会

 ギルドカード。それは、魔鋼と呼ばれる特殊な金属で造られた、ギルド連合が発行する身分証である。


 大きさは名刺程度で、名前とランクが記入されているだけの簡素な造りになっている。


 ランクの評価は10段階となっており、最低位がランク1で最高位がランク10だ。


 なお、ランクはギルドへの功績により、ギルド連合の評価、査定で決定される為、ある特別な例を除き誰もがランク1から始める事になる。



 かくいう俺も、ランク1を刻まれたギルドカードを手にしている。


「ギルドカードか・・・・・。思ったよりちゃんとしてるなぁ、紙とか木かと思ってたけど、金属製とは。」


 俺が一人関心していると、待ち合い室から此方に近づく足音が聞こえた。俺は音の方へ振り向く。


 相変わらずの冴えない顎髭、ロイドがそこにいた。


「カードもらったか?」

「もらった。ランク1だってよ。」


 ロイドは俺の出来たてホヤホヤのカードを見て息をついた。


「遅ぇーから何かあったのかと思ったが、大丈夫みたいだな。」

「まぁ、色々あってよ。シェイリアは?」

「とっくに受け取りまで終わってる。お前待ちだ。」


 俺はロイド共に、シェイリアの待つ待ち合い室へと向かう。

 移動中軽く触れたが、仕事を受けるなら戦士ギルドが良いとの事。なんでも割りのいい依頼があったらしい。


 その後、シェイリアと合流した俺達は依頼を受注する為、戦士ギルドへと向かう。ギルド連合の出入り口まで来た時、聞き覚えのある声が俺の耳に届いた。


「では、そのように。」

「はい。確かに承りました。」


 振り向いて声の主を見る。


「分隊長、わざわざ非番の俺達が来なくても良くないすか?」

「そう言うな。こういう小事であれば非番の我々でこと足りる。勤務中の奴等を引っ張り出す事もないだろ・・・・ん?」


 分隊長と呼ばれた男が俺の視線に気づき訝しげにこちらを見つめる。そしてはっとした表情を浮かべる。


「ユーキ殿?召喚士のユーキ殿ではないですか!」

「ん?」

「何だ?おちびの知り合いか?」

「さぁ?でもどっかで・・・?」


 分隊長は俺の前まできて深々と一礼する。


「ユーキ殿、グローリの町以来ですな。こうしてまたお会い出来た事嬉しく思います。」


 グローリ町?・・・ん?・・・・・・ああ。


「シェイリア。」

「はい、ユーキ様。あの時の騎士様かと思います。」


 ああ。どうりで聞き覚えのある声だと思った。


「バ・・・・バン・・・」


 バンガードだっけ?バンガローだっけか?

 俺が悩んでいるとシェイリアがそっと耳打ちしてきた。


「ユーキ様、バンクード様です。」

「バンクードさん、ご無沙汰です。」


 俺の様子を見てバンクードは破顔する。


「ははは。仕方がない、貴女に覚えてもらえるほど何をしたわけではないからな。改めて自己紹介しておこう、ケルビン・バンクード、アスラ軍第2師団第3歩兵連隊で分隊長を務めさせてもらっているしがない軍人だ。」





 ギルド連合会館からそう遠くない場所、こじんまりとしたカフェテリアがあった。そこで、以前出会った騎士に御飯を奢ってもらう事になったのだが。


「さぁユーキ殿。好きに注文なされよ。遠慮はいらんぞ!」


 そう言って満面の笑みでメニューを差し出すバンクード。

 取り合えずメニューを受け取り、顔を隠すように開く。


「なぁ、何で奢ってくれんの?この人?」


 俺は小さい声で隣に座るシェイリアに尋ねる。

 奢ってもらう覚えがないのだが、子供だからか?


「感謝しているからでは?」

「何を?」

「町を救って下さった事ですよ。」

「?何で?あの人町の出身でも何でもないんだろ?」

「それぐらいしかないかと・・・・。」


 俺はロイドに視線を送る。

 直ぐに気がついたロイドは席を少し近づけてきた。


「どした?」

「なんであの人奢ってくれんの?」

「俺が知るかよ。」

「こないだ話したろ?騎士の話。」

「ああ、そん時のか。じゃぁ、感謝してんだろ。」

「何で?」

「何でって、本来グローリの町守んのは騎士の役目だったんだろ?それを代わりにやってくれてありがとうって事だろ。」

「・・・・何で?」

「お前。」


 呆れたような表情を浮かべるロイド。


「あの人がする事じゃないじゃん?偉い人の仕事じゃね?」


 事実、バンクードに奢ってもらう理由がないのだ。

 バンクード隊に初めてあった日色々と聞いたのだが、バンクード隊は緊急要請を受けた他区域の巡回警備隊であり、グローリの町を巡回する騎士ですらない。

 その上、バンクード達は町の危機を知ると一目散に救援に来てくれている。さらに、復興支援だと自分の財布から多額の寄付まで行っている。

 別にグローリの町は俺の故郷でも何でもないが、一時的にでも町の世話になった身としては、感謝はすれど「お礼」だと奢ってもらう理由が分からない。


 俺が首を傾げていると、バンクードがあっけらかんした態度で言った。


「ユーキ殿お気になさらず注文してくだされ。」

「でもな?感謝されるいわれがないんだよなぁ。」


 バンクードの隣に座っていた部下らしき男が驚いたような顔で、俺を見る。


「分隊長、この子自分のした事わかってんすか?」

「ロッド!」

「いや、でも分隊長、普通こんな事言いませんよ。本来ならぶっ飛ばされてもいいくらいなんすから。俺ら。」


 ぶっ飛ばす?誰が?俺が?

 俺がキョトンとしているとバンクードの部下が口を開いた。


「聞いてないんじゃないんすか?」

「ああ、ユーキ殿。今回の件、町の者から聞いていませんか?」

「・・・?シェイリアなんか知ってる?」

「あれですよ、事件を解決した者を貴族家の騎士にして欲しいって言ってきたあれですよ。」


 俺は遠い空を見上げた。

 ハンブル老、色々聞いたけどなぁ、・・・ん。


「わからん。」

「そうですか。じゃぁ仕方がないですね。」

「お前らな、仕方がない事ないだろ。」


 バンクードが眉間に皺をよせる。


「ユーキ殿にちゃんと伝わっていないようだな。・・・・改めて今回の件、謝罪させてもらおう。申し訳ない。」

「?」

「本来なら、野盗から町を救った貴女に恩賞を与え栄誉を称えるべき所を、こちらの都合だけでそれをフイにしてしまった。」

「??」


 聞けばグローリの町を救った者をとある貴族のボンボン騎士にせざるおえなかったらしい。

 グローリの町の巡回警備隊だったらしいのだが、あの事件の日に大した活躍もせず町の外で野垂れ死んでいたらしい。バンクードは事件のあらましを上司に報告したのだが、上司は難色を示した。

 まぁ、当然と言えば当然なのだろう。

 権力者の子供を犬死にさせるなど、一体何を言われるか分かったもんじゃない。

 結局、バンクードの上司は軍上層部との話し合いの末、貴族のボンボン騎士は命懸けで町を救った英雄として勲章を授与する事になったそうだ。

 そして、その一連の話は全てが決まってから事後報告のように町に文書にて通達されたそうだ。


 ・・・・・あぁ。思い出した。ハンブル老とか町の連中が怒り狂って手紙を持ち込んで来た時があったな。興味が無かったので「別にいいよ」と軽くあしらってしまったが・・・ん。そう言う話だったのか。


「まぁ、別にいいよって感じだね。」

「しかしユーキ殿、本来なら」

「いいよ別に。恩賞が欲しくてやった訳じゃないし。目立つの嫌だし。」

「お前な・・・・。」


 ロッドのジト目が俺を見つめる。

 やめろ、デコにピンするぞ。


「ユーキ殿には敵いませんな。そう言って貰えるのはこちらとしても有り難いのですが・・・。」


 バンクードが浮かない顔をする。

 お詫びも兼ねて何かしたいのだろう。バンクードが悪い訳ではないが、何かしら責任を感じているのかもしれない。義理堅い人なんだなぁ、仕方がない。


「じゃぁ、今回は御飯を奢ってくれたらチャラで。」

「ユーキ様がそれでいいなら、私も賛成です。」

「だってよ騎士様?」


 申し訳なさそうに笑うバンクードを前に俺はメニューを見る。

 んーーー。相変わらず、パッと見では何がいいのか分からないな。取り合えずよく知っているアレを注文する事にする。


「ウェイター、ふかしたアレク芋を一つ。」

補足しないといけない話がいっぱいです。

泣きそうです。

お付きあい頂けている方、申し訳ないです。


あと、ありがとうございます。

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