召喚士されし者 22・ギルド連合
「で、ギルド連合に行きたいと?」
「そう、仕事が欲しい。出来れば俺でも雇ってくれるとこ。」
俺とシェイリアそれとロイドは、ナダの中央広場にてアイスを片手にベンチで話し合いをしていた。
議題はお金が無い、仕事したい、である。
「〜でもな、お前は自分の実力見せる気は無いんだろ?」
「無いこともないけど・・・・。まぁ面倒にならない程度なら、あの子達を喚び出すのもやぶさかでないかなぁ。」
そう言って俺は手に持つアイスを舐める。甘い。
思わず顔が綻ぶほど旨い、んで甘い。
まさか異世界に来てアイスが食べれるとは、嬉しい誤算である。
「ユーキ様、良かったらこっちも一口どうですか?サンダ芋味いけますよ。」
シェイリアが黄色のアイスを差し出してきた。
せっかくなので一口パクつく。
サツマイモみたいな味だ、んまい。
「おちび、俺のもいくか?コーア味だ。」
「コーア?」
「甘いお菓子とかで使われる奴だ。よく一口サイズで売られてる・・・・まぁ食って見ろよ。」
せっかくなのでパクつく。
これは!?
「チョコだ!!」
「?コーアだって。チョコって何だ?」
「こっちの話だ気にすんな。・・・・ん。もぉ一口くれ。」
俺はロイドの返答をまたずパクつく。
チョコだな、んまい。
「仕事ねぇ、正直、成体の草原竜をほふれんなら、戦士ギルドじゃトップクラスだぞ。間違いなくランカーになれる。」
「ランカー?」
「成績上位10名の呼び名だよ。まぁスゲー連中ってこった。」
ペロペロ。ん。ランカーか、ちょっと憧れるな。
「でも、そっち系はパスだな。目立っちゃうしな。」
「わがままな奴だな。それなら商工ギルドで小間使いとか、魔導師ギルドで召喚術の講師とかどうだ?まぁ、魔導師ギルドの講師だと推薦状が必用になるらしいんだが。」
「小間使いって儲かる?」
「あーーーー。確か、住み込みで日当小銀貨3枚だから、住み込みじゃなけりゃ小銀貨5~6ってとこか?」
小銀貨6枚。元の世界で六千円相当にあたる金額だ。
この世界の貨幣制度で流通している硬貨は、上から百万円相当の白金貨、十万円相当の金貨、一万円相当大銀貨、千円相当の小銀貨、百円相当の大銅貨、十円相当の小銅貨で成り立っている。
何でも数十年前は鉄貨と言う小銅貨以下の硬貨もあったらしいのだが、ほとんど使用されない上、製造にかかるコストもあり廃止されたらしい。
ちなみに相当と言っているが、これは俺の主観的な感覚での感想だ。
日当小銀貨6枚、うん、安いのか?
この間グラスボアを売った金額が金貨1枚と大銀貨2枚。あれと同じ額を稼ぐのに20日か・・・・。
「もっと稼げて、もっと楽なのない?」
「舐めんなよ、おちび。」
「ユーキ様なら日当金貨1枚でも足りないくらいですからね。」
「舐めんなよ、嬢ちゃん。」
まぁふざけている場合ではない。実際お金はないのだから、やれる事をやるしかない。とはいえ、小間使いのような仕事は宝の持ち腐れすぎる。
「つーか、おちびはグラスボアの金何に使ったんだよ?結構稼いだろ?」
「「・・・・・・・・・・・・・。」」
「おい、お前ら俺の目を見ろ。」
俺は空へ視線を向けた。
「覚えてるか?俺達が草原竜討伐の作戦をしたあの日。」
「俺が先に店出た時だな。あん時はビビったなぁー、なんたって依頼を受けた連中と鉢合わせするとは思わなくてよー。ははは・・・・・。で?」
「俺達は楽しく食事を続けたんだ、シェイリアが成人してるって言うから芋酒も頼んだ。」
「・・・・おちび、若い内から飲むとろくでもない大人になるぞ。」
シェイリアが俺の前に手をかざした。これから先は私が語ると言わんばかりに。
「二人で楽しく食べて飲んでいい感じに出来上がった頃です。」
「出来上がんなよ。」
「ある商人が話かけて来ました。」
「・・・・・・・・。」
「「・・・・・・・・・・・・。」」
ロイドはスクッと立ち上がりアイス屋へ向かった。
そして特大サイズのアイスを2つ買ってきて、そっと俺とシェイリアに渡した。
「大人になるってな、大変だからな。」
いつになく優しいロイドに気持ち悪さを感じつつ、俺達二人は甘くない世間を思いながら甘いアイスにパクついた。
アイスを食べ終えた俺達は寄り道しながらギルド連合へ向かっていた。
しばらく歩いていると、道案内をしていたロイドは思い出したように、俺に問いかけてきた。
「で、本題に移るんだが、短期で稼ぐなら戦士ギルドがオススメだ。幸いおちびは、めちゃんこ強いからな。日当金貨1枚だって夢じゃないぜ?」
日当金貨1枚か。まぁ悪くないな。
「ちなみにロイドはどんぐらい稼いでたんだ?」
「年収金貨10枚。」
「「・・・・・・・。」」
「止めろ、そんな目で見るな。贅沢しなけりゃーな、根無し草の俺は大丈夫だったんだよ。」
「租税とか知ってます?」
「お前、よく生きてこられたな。」
「あーーーうるせぇうるせぇ。・・・・ほら着いたぞ、ここがギルド連合だ!!」
ロイドはそう言って目の前の広場を指指した。
見ると広場を中心として、5つの大きな建物が広場に隣接している。
建物にはそれぞれ違った紋章の入った旗が掲げられている。
「ロイド。確かーー、力と勇敢を司るユニコーンの紋章が戦士ギルド。魔と叡知を司るドラゴンの紋章が魔導師ギルド。富と技術を司るフクロウの紋章が商工ギルド。恵みと自然を司るタウロスの紋章が農業ギルド、だったよな?」
「そうだ。それであそこに見える一番デカい建物が、ギルド連合ナダ支部、その本館だ。」
言われて見れば、他の建物より一回り大きい。
あれがギルド連合、全ギルドの統括組織の建物か。
「じゃ、取り合えずギルドカード発行してもらうかー。そんでちゃっちゃと仕事探すぞ。」
俺とシェイリアはロイドに言われるがままギルド連合の扉を開いた。
そして俺達はある騒ぎに巻き込まれる事になるのだが、この時の俺達は知るよしも無かった。




