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機甲兵団と真紅の歯車 19・降臨ツンデレ御嬢様

 アルシェがダンスホールの貴族達へとアタックを掛けてから幾星霜。あ、いや、実際は10分かそこらだったけどね?うん。


 アルシェが行ったのは貴族達とのただの挨拶。

 傍目から見ると一見普通に見えるのだが、よくよく見ていると目が笑ってなかったり、纏う雰囲気が険悪だったりと、概ね何か一物を抱えた連中ばかりのようでおっかない挨拶だった。

 ピンクのオーラを出しそうなエロジジィもいたけど、まぁ、それは気にしてたら負けな気がするので、何も見てない事にした。


「ゆーきおねちゃ。」


 挨拶回りを終え世間話モードへと移行したアルシェを、ダンスホールの隅に用意されたテーブルでぼやっと眺めていると、不意にリビューネがドレスの裾を引っ張ってきた。


「どうした、リビューネ?・・・・あ、リビューネ様。」


 危ない危ない。

 一応、俺は雇われの部下枠だったよ。

 貴族の呼び捨て駄目、絶対。


「あのね、りびゅーね、ね。おどっていいよってならったら、おねちゃとおどりたいの。」


 何この生き物、可愛い。


「えーと、別に良いけど、俺踊りなんて出来ないぞ?」

「いいの!りびゅーねはね、おねちゃとおどりたいのー。いいでしょ、おねちゃ?」


 うるうると瞳を潤ませるリビューネ。

 何この生き物、お持ち帰りぃ?


「分かったよ。じゃ、その時が来たらな?」

「うん!ゆーきおねちゃ、だいすきー!」


 そう言ってガバッと抱きついてくるリビューネ。

 何この生き物、可愛い。胸がきゅんきゅん疼いてくるんですけどーー!


 可愛いリビューネにほだされていると、一人の令嬢が従者を伴って俺達が座るテーブルへとやって来た。

 その令嬢は少し吊り気味の紫の瞳を光らせ、頭の横からのびる栗色のツインテールがピョコピョコさせて、何処か怒ってるような雰囲気を出している。


「おどきなさい。そこは、貴女のような下賎な者が座る所ではなくってよ。」


 ・・・・下賎な者。

 俺は辺りを見渡した。

 下賎、どんな奴だろうか?


「くっ!あ、貴女よ!赤髪の!この、アバズレ女!」

「何ぃ!赤髪のアバズレ女!?」


 下賎な上に赤髪でアバズレだと!?

 どんだけ属性詰め込めば気が済むんだ!

 貴族はぱねぇな、おい!


 つか、一目みただけ分かるアバズレとか、どんな見た目なんだよ。


「・・・・・ゆーきおねちゃ。」

「ん?どうしたリビューネ。あ、リビューネは見ちゃ駄目だ。下賎で赤髪でアバズレとか凄い属性をもった変態がいるらしいから、目を瞑ってるんだぞ?」

「う、うん。わかった、りびゅーね、おみみもとじておくね。」


 おう?耳まで?

 まぁ、変な音を聞かせる可能性も無きにしもあらずだからな。その方が良いか。


 しかし、何処にいるんだ。座ってるらしいが・・・・・。


「貴女に言ってるのよ!ちょ、違う!そっちじゃなくて、くっ!むきぃーーー!!」


 辺りを見渡していると、さっきの親切なご令嬢が憤慨していた。

 なんだ、生理かこの女。


「あの、そこの赤髪の御嬢様。」

「ん?あ、俺か?」


 憤慨するご令嬢の隣で静に佇んでいた従者が声を掛けてきた。


「名前を、お聞かせ願えないでしょうか?」

「?話の流れが分からないけど、まぁ、良いよ。俺はユーキ。リビューネ、様の護衛をやらせて貰ってるバウンサーだよ。」

「ユーキ様ですか。それに、バウンサーとは。お若く美しいと言うのに、苦労なさっているようですね。私、このサラ・ジディオ様の従者をさせて頂いております、クオークと申すものです。どうぞ、よしなに。」


 このさっきから怒ってるのは、サラって言うんだ。

 へぇ。


「ちょ、クオーク!!貴方何を勝手に!」

「御挨拶をさせて頂いておりました。さ、御嬢様もどうぞ。」

「はぁっ!?なんで私が!」

「では、よろしいので?」

「━━━━━っ!」


 なんだ、なんか揉めてるなぁ。

 てか、その赤髪のアバズレ女何処にいるんだよ。・・・・ん?赤髪?・・・・・・まさか、俺の事じゃ・・・・。


 まさかの可能性に気づき始めた俺に、憤慨ご令嬢が声をあげる。


「貴女!良く聞きなさい!私はサラ・ジディオ!領王様の頭脳と言われる、あの━━━」




 パパパパー。




 ご令嬢の声を遮るように、高らかにラッパの音が鳴り響く。

 どうやら時間になったようだ。


 会場中の視線がダンスホール奥にある大きな扉へと向かった。

 当然、俺とリビューネの視線もだ。


「領王陛下、並びに領王妃陛下、御入場!!」










「ちょっ!?聞きなさいよ!こっち見なさいよ!!」


 いや、お前もあっち見とけ。

 怒られるぞ。

 お前の横で般若みたいな顔した奴に、めっちゃ怒られるぞ。






 ◇━◇







「はぁ。」


 両親である領王陛下と領王妃陛下が会場へと出られた事で、いよいよ私の入場の番が来てしまう。

 もう、逃げる気はないが、やはり気は進まない。


 そもそも、一日やそこらで、花嫁を決める方がどうかしている。これから国母になろうと言う者を、どうしてそう簡単に決められる。これは時間を掛けてじっくり選ぶべき事で━━━━━っと言う私の意見が通り、学園にいる間の二年と言う期間与えられたので、文句も言えない。


 時間は、実際には無かったが、猶予の期間は存在していたんだ。それを生かせなかったのは、他ならぬ自分自身。いかなる理由があろうとも、それは揺るぎない事実なのだ。


「はぁ。」


 溜息をこぼした所で何が変わる。

 それは分かっているが、どうにもならない。

 もう、あれだ、翼をつけられなかった事だけでも良しとしよう。そうだな、うん。


「続きまして、御子息であらせられるギルディン王子の入場です。」


 司会役の者の声を聞き、私は覚悟を決めて扉の先へと足を踏み出した。


 歓声と拍手、楽器達のファンファーレがいり混じり、ダンスホールを賑わす。父上と母上が此方に笑顔を向ける。特に、クソジジィが良い顔して、なんか腹が立ってきたな。こいつはいつかぶっ飛ばす。


 司会役の男に期待の眼差しを向けられ、私は開場へと目をやり言うべきを言う。


「本日は私の成人の日を祝うべくこうして集まって頂き、感謝の念に堪えません。私はまだ16と言う経験不足の若輩者であり、次期領王候補の一人に過ぎません。偉大なる父上の跡目を継ぐにはまだ些か欠ける物があるでしょう。━━ですが、今日、ここに集まって頂いた皆様には、少なからずも私を次期領王としてご期待下さっている方々がいらっしゃる事だろうと思います。こんな私を、王として頂いてくれる者がいらっしゃるのでしょう。私は、その方々の期待に応えたい。今はまだ未熟でありますが、10年、20年先、より知を深め、より友を作り、より良き国を作るために尽力していく事をここに誓いましょう。本日は私の成人の祝いに馳せ参じて頂き、ありがとう御座います!」


 私の言葉が終わったのを確認すると、父上が葡萄酒を注いだグラスを高く掲げた。


「我が祖国の平和を願い、乾杯。」


 こうして、私の独身最後の夜が始まった。





 ◇━◇






「うまっ。」


 乾杯に渡された酒は、普通に上手かった。

 何が?っと聞かれると困るが、これなら何杯もいけるぜ、と思える程うまーだった。まぁ、まだ子供なので控えておくけどね。


 領王の乾杯の後は楽団が音楽を鳴らしっぱなしにして、皆自由に動いている。食べたり、飲んだり、談笑したり、本当に自由そうだ。まぁ、水面下で何か不穏な取引とかしてるかも知れないけどね?うん。


 それにしても━━━━そう思って見つめた先には、ダンスホールの中心で令嬢の手をとって踊る王子様の姿があった。


 イケメン・・・・イケメンだなぁ。

 ゲヒルトのおっさんや領王みたいな胸毛が這えてそうな情熱的なタイプの顔つきではなく、線の細い、そう、絵に描いたような王子様タイプの顔だった。サラッサラのストレートの髪、切れ長な翡翠の瞳、すっと通った鼻筋、薄くもなくかと言って厚くもないセクシーな唇、比類なきイケメンである。なんか脛毛とか無さそう。


 個人的な評価としては"死ね"と思っているが、客観的な目で見れば顔も良くて、性格もよさげで、身分も特上ときてる。貴族令嬢としては喉から手が出てくる程優良物件、120満点で評価されてるに違いない。


 だって見てくれ、あれ王子とのダンスを待つ令嬢の数。

 なん時間待ちですか?係員とかいないけど大丈夫か?ファストパスとかあったりすんのかな?

 まぁ、どうでも良いけど。


 でもなぁ。

 あいつらがダンスホールの殆んど占領しちゃって、踊る場所が無いんだよなぁ。リビューネが踊りたがってるって言うのに・・・・邪魔だなぁ。本当、どうでも良いけど、邪魔だなぁ。


「はぁふぅ。良いわよねぇ、ギルディン王子。」


 忌々しい物を見るように眺めていたと思うんだが、何を勘違いしたのか"いつの間にか"隣に座っていたサラが感嘆の声を漏らし、俺に同意を求めてきた。


「・・・・そうか?」

「そうか?じゃないわよ!貴女も貴族の端くれなら、言葉使いは弁えなさいな!まったく下品極まりないわ!見目の良さと、そのきらびやかなドレスで全部誤魔化せると思ったら大間違いなんですからね!!」


 いや、俺、貴族じゃないんだけどなぁ。


「まったく!困った人ですわね!何処の家のお馬鹿さんかは知りませんが、ゲヒルト家に連なる一族の者として、もっと自覚なさりなさい!御両親は愚か、本家筋のゲヒルト家にも迷惑がかかるのですからね!まったく!」


 だから、貴族じゃないって言ってんだけどなぁ。


「まぁぁー、っあ!今宵はこの私、サラ・ジディオが、責任を持って面倒をみて差し上げるから、無様を晒すような真似はさせませんけどね!私に感謝する事ね!ほほほー!━━━あっ!ギルディン王子が此方を見てくださったわ!きゃぁあー!」


 人の話聞かねぇな、まったく。


 クネクネと身を捩るサラをじと目で見ていると、従者の人がこそっと顔を寄せてきた。


「申し訳ありません。サラ御嬢様は、その、少し話を聞くのがお苦手でして。どうやら、貴女様の事は、ゲヒルト家の一族の者と決めつけていらっしるようでして・・・・。」

「それは聞いてるから分かってるよ。まぁ、別に良いけどさ。話てみたら、まぁ、面倒臭い子だけど、悪い子って訳でも無さそうだし。」


 サラと名乗ったこの子。

 少し、かは分からないけど、人の話を聞かなくて思い込みが激しくてツンデレなだけで、そんなに悪い子には思えないのだ。

 あれ?凄く面倒臭くね?これ。


「そう言って頂けて嬉しく思います。根は、優しい御方なのですが、このような性格ですから、その、この歳まで友人の一人も出来ませんで・・・・。」

「まぁ、普通の人なら、そうだろうなぁ。」

「今夜の夜会。王子との婚姻よりも、同性の友達が出来るチャンスと大分意気込んでいらしてたようで、その、ご迷惑をおかけいたします。」

「いいーえー。お構い無くぅー。」


 あれで、王子狙いじゃなのかよぉ。

 狙われたのは俺の方かよぉー。

 まじか。


「それにしても、なんで俺だよ?言っちゃなんだけど、友達なら他の奴の方が良いじゃないか?ほら、俺こんな口調だぞ。教育に良くないぞ。」

「それがですね、そのユーキ様の御髪がお気に召したようで。」


 御髪?髪か?


「これがか?」

「えぇ。『綺麗な御髪!わ、私っ、あの御方とお、おお、お友達になりますわ!』と、そのように申されまして。」

「綺麗な御髪ねぇ・・・・。ふぅん。そっか。」


 指先で髪を摘まみクルクルしながら見てみる。

 まぁ、艶はあるし、シャンプーはよくしてるから良い匂いはするけど・・・・・そんなに良いもんか?


 髪を見つめていると、俺のドレスの裾がついついと引っ張られた。引っ張られた方向へと視線を向ければ、リビューネがニコニコして此方を見つめていた。


「ゆーきおねちゃのおぐし、りびゅーねもすき!きれいだもん!」


 なんか、可愛いリビューネからも御墨付きを貰えた。

 良いもんらしい、これ。


 褒めてくれた可愛いリビューネの頭を撫で撫でしてあげる。

 目を細めて嬉しそうに笑うリビューネは天使ようだ。可愛い。

 この子の為にも髪をちゃんとしよう。


「ちょっ!?貴女っ!私の話聞いていらっしゃるの!?」


 いつの間にかこっちへと意識を戻したサラが、可愛い顔を歪め怒っている。


「あ、うん。聞いてる聞いてる。」

「なんですの!?そのあからさまな、聞いてませんよ的な返事は!!」


 まぁ、事実聞いてなかったからな。


「まったく、これだから武官の一族は。貴女ね、自分が可愛いからって、そうやって高を括っていると今に痛い目を見る事になるんですからね!お分かり!?」

「あー、はいはい。」

「お返事は一度で宜しくってよ!!」

「はぁい。」

「なんですの!その抜けたお返事はっ!今度からはシャキッとお返事を返すのですわよ!まったく!」


 そんなサラの言葉に「はいっ」とリビューネが返事を返した。

 話に混ざりたかったのだろう。ずっとウズウズしてるのは分かっていたので、いつかはやると思っていた。可愛い。


 対して、そんなリビューネの様子には露ほども気づけなかったサラは返事を返されて固まったが、直ぐに「よ、宜しくってよ」と無い胸を張って虚勢をはった。なにこの子、可愛い。


「それにしても、その、貴女、その、顔だけはか、可愛いわね!顔だけはっ!」

「そっか、お褒めの言葉、ありがとございますー。」

「でも駄目ね!礼儀作法も、言葉使いも、全然なってないわ!そんなんじゃ、いつか足元を掬われて、誇りもない屑みたいな金だけ貴族に玩具にされてしまうわ!いいこと?これからの貴族界は女も強くなくてはいけないのよ!男に従うだけでは、この先の時代は生き残れなくってよ!」

「はぁーい。」


 捲し立てるように語ったサラは手元にあった果実水で喉を潤し、ふんっと鼻息を漏らした。言いたいことを言い切ったって顔をしている。


 溜まってたんだろうな。色々と。


「そう言えば貴女、その、えっと、な、お名前を聞いてなかったわね!なんとお呼びすれば宜しいのかしら?」

「ん?ユーキでいいよ。」

「ユーキ?変わった家名ですわね。聞いた事がないわ。」

「家名じゃなくて名前だ。家名はないぞ。」

「はぁ?家名が無いって、そんな訳ないじゃない!・・・・まぁ、良いわ。何かお家の事情があるのでしょう。言わずとも許してあげるわ。」

「はぁ。」

「その、その代わり!私の名前と顔をよく覚えておきない!良いこと!?お茶会でも夜会でも、私の顔を見かけたら必ず挨拶に来なさい!これは命令よ!」

「はぁ。」


 お茶会も夜会もこれっきりだと思うが。


 それにしてもこの子、素直じゃないにも程がある。

 言い方は厳しいが、言っている事自体は俺を気遣った物ばかりだ。恐らくサラは、俺が社交界に疎いどこかの令嬢だと思っているのだろう。


 言葉使いや礼儀作法は貴族としては当然身に付けている物だ。

 これが中途半端だと、それだけで舐められて足元を見られてしまう。だからこそ、それらを身に付けろと叱咤しているのだ。


 それに、催し物がある度に挨拶に来いと言うのは、案に『この子は私の仲間ですよ』と他家の者にアピールする事に他ならない。つまりサラが言ってる事は、貴女の味方になりましょう、後ろ楯になりますよと言っているのと同義なのだ。

 本来そこには、利益や打算が絡んでくるのだろうが、サラには多分それが無い。様子を見て判断した勘でしかない人物評価だが、かなりのお人好しなのだと思う。


 これが、りあるツンデレか・・・・・撫でとこ。


「ひゃっ!ちょっ!何をっ無礼な!」


 頭を撫でたらパシッと手を払われた。


「な、な、何をなさるの!?なんの断りも無しに、淑女の頭を撫でるなんて!!慎みを持ちなさい!」

「そんなに駄目なもんか。ごめんな。リビューネはこれ好きだから、つい。」

「なっ!そのような子供と同じ扱いだなんてっ!ぶ、無礼ものっ!!」


 そう啖呵を切って、サラは立ち上がる。


「ま、まったく!これだから、武官の一族はっ!あのアルシェ様がお連れになった御方ですから、仲良くして差し上げようとしてあげたのにっ!行くわよクオーク!このような野蛮な者達、私には必要にゃいわ!」


 ・・・・・・・あ、噛んだ。


 みるみる内に顔を赤くさせていくサラ。

 隣でクオークがあたふたしてる。


「ふ、ふええぇぇぇん!覚えていなさいよー!」

「お、御嬢様!あ、リビューネ様、ユーキ様、大変失礼致しました。」


 走り去っていくサラを、クオークは脂汗を滲ませて追いかけていった。

 なんか、嵐のような女だったな。

 取り合えず、忘れる事は無いだろう。うん。


「うーーーんー。」


 サラが走り去った方向を見て、リビューネが何か唸っている。


「どうした、リビューネ?・・・・・・様。」

「んとね。なんであんなにおこってるのかなって。」

「ん?ああ。あれは別に怒ってる訳じゃないんだぞ。恥ずかしがってるだけだ。」

「はずかしいとおこるの?」

「んーまぁ、そうなるかなぁ。」

「へんなのー。」


 変、なんだろうなぁ。

 俺もツンデレの知識が無かったら、何故か突っ掛かってくる可笑しな女くらいにしか思わなかっただろうし。


「まぁでも、悪い子には見えなかっただろ?」

「うん!りびゅーね、こんどあったらあそんでもらう!」


 分かる人は分かるもんだ。

 その内、サラにもリビューネみたいにちゃんと見てくれる友達が出来る事だろう。

 それまで、見かけだけに囚われるアホに突っ掛かれませんようにー。




 ━━━━━お?




 視線をずらしダンスホールを見てみれば、いつの間にか令嬢の列が減っていて、踊れそうなスペースが出来ている。


「リビューネ様。ダンスホールの令嬢が掃けてきたから、そろそろ躍りにいくか?」


 俺の提案にリビューネは大きく頷き立ち上がった。

 そして、俺の手を掴むと駆けるような足取りでダンスホールへと向かう。


 ダンスなんて縁も縁もないのでどんな様になるか知らないが、やれるだけやってみよう。そう思ってリビューネの小さい手を取ったまま、俺はダンスホールへと躍り出た。


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