第2話 森からの…
突然自分達が森にいると言うのは余りにも驚きと疑問の渦のなかにいた。
なので、雫にも確認してみた。
「なあ?さっきまでいつものバーに陸と冬花と一緒に居たよな?」
「うん!!」
「森の中どころか木一本無かったよな?」
「うん!!無かったね!!」
こうするのは俺達には確認する必要があるため仕方ないのである!!
一応携帯電話の電波が来ているか確認してみたが、やはり、圏外になっていた。
確認も終わり今の事だけでなく、今後のことも考えなければならないので、
「取りあえず、近くにあるはずの村に着くためか、人に会うために、そこの川沿いを下っていこう!!」
「うん!!こう言うときはお兄ちゃんに従った方がいいからね?それに…」
「よし、じゃあ行くぞ?後なんだって?それにの後が聞こえなかったんだが?」
「それに村に着くか、人に会うまで、お兄ちゃんとイチャイチャできるしね!!」
「イチャイチャなんてしないからな?」
…雫は平常運転のようだ。
こうして川沿いを下っていくのだが、なんだか嫌な予感がしてきたので回りを見渡してみたら、茂みの向こうから体長3mはありそうな猪のようなモノを見つけてしまった。
雫にもそれを教えて、俺達は気付かれないように静かに移動してやり過ごすつもりたったのだが、
「ブモオオオオオオオオ!!!」
「ヤバイ!!突っ込んできた?!」
「気付かれちゃったよ?!お兄ちゃん!!」
「仕方ない!!取りあえず猪と同じ対応をすれば大丈夫だろう?!しっかり避けろよ!雫!!」
「分かった!!」
こうして、猪のようなモノからの逃走が始まったのだか、靴はローファーで走り辛く、しかも森なので草木が邪魔をしてうまく走れず、突っ込んで来たのを避け続けるのには辛いものがありあまり持ちそうになかった。
逃走を始めてから3分ほど経ったときに、
「そこの人たち!!少し動かないで!!」
その声がしてすぐ後には、猪のようなモノが2本の矢に射ぬかれていた。
その事で、雫は気が抜けたのかヘナヘナと座り込み、俺はその場で『何で矢があるんだ?』と疑問に思いながらも助かったことに安堵していると、
「あなたたち大丈夫?」
そう言って一人の女性が近寄ってきたので、
「貴女が助けてくれたのですか?」
「そうよ」
「そうですか…ありがとうございます!!」
「だけど、何で剣すら持たないで森に入ったの?」
「持ってないのですよ」
「持ってないって…それにその格好…」
その台詞を受けて、自分の格好を確認すると、高校での指定の制服であるブレザーだった。それから、助けてくれた女性を見てみると、何だかファンタジーものでよく見る革の防具?のようなものを身に付けていた。
「まあいいわ。そんなことよりも早くここから移動しましょ。」
「分かりました。雫!!立てるか?」
「うん…」
「?どうした?元気ないけど…もしかして、怪我でもしたのか?!」
「怪我はしてないんだけど…折角…ったのに…」
「?なら行くぞ!」
「うん」
何だか最後の方は聞こえなかったが、怪我してないならまあいいか!!
こうして、俺達は見ず知らずの人に助けてもらったのであった。