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杯-みかづき-
雨粒を月陰に注いで。
滴る一滴は、陰の涙。
梅の薫る雫の中。
溢れる雨滴は踊り、山の稜線を染める。
山瀬風を月影に注いで。
乾いた風は、影のため息。
揺れる大気は、野原の草木を眠らせる。
初夏の空。
雲の流れ行く空の下で。
彗星の軌跡。
長い年月の軌道。
すべてを、欠けた月光に照らして。
すべてを、見つめ、
すべてを、感じ、
すべてを、愛し、
すべてを、注ぎ、
空から、山へ、大地へ、川へ、海へ。
そして、空へ。
葉の香る風は舞う。