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夏夜の星祭り
少し儚げな夏の祭りの、淡く悲しげな風景の詩。
★蛍★
瞬く星空の下の蛍
瓶にたくさん捕まえた。
蛍の灯をともし、
瓶は、透明なランプのように、
ゆらゆらゆれて、短い夜を照らす。
瓶の中。
輝く星。
るりるり光る蛍。
それは小さなプラネタリウム。
★祭り金魚★
例えるなら、泳ぐ魚。
赤い赤い魚。
水の中でしか、生きることが出来ない。
今、水の外にいる。
白く薄いポイの上。
そう長くは、生きられない運命。
帰りたい?
故郷へ、生まれ、育った、水の世界へ。
泳ぐ魚は、いつ、どこからきたのか。
そこへ行こうとしているのか。
ただ、白い光を映している水の中に、瞳の中に。
いま、それは、水底で、静かな笑みを浮かべて、見つめている。
真実を語るのは、それが、それこそがふさわしい。
自らを魚に変えた、泡に変えた心が。
恐怖の闇を消し、憎しみの炎を消すように、銀の光は、笑みを照らす。
そう、泳ぐ魚だった。
住むところを失えば、泡となり消えてしまう。
赤い赤い魚のような。
★昔、蛍を捕まえて、押入れの中に離して、怒られた記憶があります。
でも、その時、押入れの中は、確かにプラネタリウムでした。