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【0秒で婚約破棄】その「ざまぁ」は未払いだが?負債1432万円を第1話から即刻強制執行した結果 | 異世界ハック・レポート  作者: 葛石
Season 1:その「ざまぁ」、未払いだ即刻徴収

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17/21

見つけた

真っ白な荒野が、凄まじい速度で巻き戻されていく。

消えた建物が組み上がり、流れた血が地面に吸い込まれ、時間が「起源」へと収束していく。


「待ってなさい。――アンタの人生に起きた『不備』、今度は私が全部、徴収してあげるから」


眩い光の中、マリアの意識は禁忌の領域――物語の序盤へと「侵入」する。

それは運命を差し押さえ、神の帳簿を奪い返すための、真の『改竄者コレクター』としての覚醒。


鼻を突くのは、安っぽい鉄の錆びた匂いと、興奮した群衆の放つ脂ぎった熱気。


(……ここが、始まりね)


群衆の端。まだ人間だった頃。「徴収官」となる前。

地味な灰色の官服を纏い、手垢のついた帳簿を抱え、ただ事務的に「没収資産」のリストをチェックしている一人の青年。


(……見つけた)


若き日の、会計士(彼)がそこにいた。


「ええと……この者の私有財産、および実家の負債総額は……」


彼が眼鏡を押し上げ、独り言を漏らす。

その声は、冷徹な重厚さはなく、どこか生真面目で、若々しい青臭さが残っていた。


ただの「計算が得意な官人」の瞳。


マリアの胸が、締め付けられる。


(……見たことない。……アンタ、こんな顔をして笑うこともできたのね)


マリアは、一直線に「彼」の元へと歩み寄った。


「な、……何ですか、あなたは!? 私は仕事を――」


慌てふためく若き徴収官。

マリアは彼の胸ぐらを乱暴に掴み、その顔を至近距離で覗き込んだ。


「アンタ、名前は?」


「な……名前? 私は、王宮財務局の――」


「役職じゃなくて、名前よ! アンタ自身を呼ぶ、名前はないの!?」


彼は、鳩が豆鉄砲を食ったような顔で固まった。

当然だ。

作者は彼に「徴収官」という役割しか与えていなかったのだから。


マリアは、戸惑う彼の帳簿を奪い取り、ペンで余白に大きく「真の名前」を書き込んだ。

それは、彼が消え際に見せた、あの優しい微笑みにふさわしい名前。


「……今日から、これがアンタの名前よ。わかった?」


「……。……意味がわかりません。不合理です。私はただ、正確に資産を徴収しに来ただけで……」


彼は頬を微かに染め、困惑したように目を逸らした。

冷徹な徴収官になるには、あまりに未熟。


残酷な作者のペンに、まだ染まりきっていない、真っ白なキャンバス。


「いい? これからアンタに起きる理不尽は、全部私が『補完』してあげる」


マリアは、若き彼の手を強く、熱く握った。


「その代わり、一生かけて私を愛しなさい。……いいわね、徴収官イレギュラー?」


【改竄:物語は、完全に『破壊(HACK)』されました】


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