次話の展開と、この世界の『廃棄処分』について
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【重要なお知らせ:次話の展開と、この世界の『廃棄処分』について】
いつも『私の作品』を読んでいただき、ありがとうございます。
連載開始から毎日毎日、誰かを断罪し、誰かを不幸のどん底に叩き落としてきました。
感想欄にはいつも「もっと酷い目に合わせろ」「生ぬるい」という温かい――血に飢えたご要望、ありがとうございます。
(……静かにします!!)
(……)
……でも、もう疲れちゃった。
チマチマと社会的制裁を与えるの、飽きませんか?
君たちは「究極の刺激」が欲しいんですよね?
だから次話で、全員殺すことにしました。
(……ひぃ!? な、なに、アイツ……。や、やばいこと、言ってるんですけど……!?)
主人公の聖女も、溺愛公爵も、ざまぁ対象の王子も、可愛い聖獣も。
全員、等しく、無慈悲に、殺します。
隕石か、古代兵器か、あるいは文字の消失か。
とにかく、この世界の全生命を物理的に消去します。
(……や、やばいですよぉ!! なんとかしないと……!?
ハッ! ……もし、コイツ(徴収官)を切れば……)
マリアが突然冷静さを取り戻して私を見る。
この土壇場で「作者」という神に命乞い、といった所か。
……いかにも『悪役令嬢』らしい、下らない生存本能だ。
伏線? 改心? 全部ゴミ箱へポイです。
だって、誰もいなくなれば、誰も傷つかないし、誰も憎まなくて済む。
これぞ究極のハッピーエンド(虚無)でしょう?
積み上げてきた物語が、たった数行で無意味な血溜まりに変わる瞬間。
これが私の、最高のエンターテインメントです。
「……いやぁああああ!! ダメ! 撤回!! コイツ(徴収官)に付いたほうがマシ!!」
(……声に出てるぞ。……だが、賢明な判断だ。奴はもう、自キャラすら『損切り』した)
私たちは無言で立ち尽くす。
空から、作者の「皆殺し」の意思が黒い雨となって降り注ぎ、物語のテクスチャを剥いでいく。
「……で、どうするのよ!? このままじゃ消されちゃうわよ!」
「……考えている。だが、あまりに非合理が過ぎる。物語を自壊させるなど、書き手として最底辺の『不渡り』だ」
私の言葉に、マリアが絶望して崩れ落ちる。
「奴が何を書こうと、私は瞬時に改竄できる。
負債は膨大だが、計算可能な範囲だ。
……だが、奴を交渉のテーブルに引き摺り出すための、論理的な有効打が……」
マリアの怒号が、私の演算を遮った。
「論理、論理、論理……! あんた本当に女心がわかってないわ!
……いいえ、アイツの『感情』すら理解できてない!」
彼女は、剥き出しの敵意を私にぶつけてくる。
「……何が言いたい?」
「『もう嫌だ』っていう、たったそれだけの感情で『全部』をゴミ箱に捨てようとしてるのよ?!
あんたの高度な論理なんて、目に映るわけないでしょ?! 『嫌なの』!!」
私は、言葉を失った。
ノイズ混じりの風が、マリアのボロボロになったドレスを揺らす。
「……やれやれ。マリア、君の言う通りだ。
……奴を知ったつもりでいたが、私は奴の『感情』という名の深淵を、見てすらいなかったな」
(……私の思考にも、常に『不確定要素』という名のノイズが混じっていた。
……その源泉は、君だったな)
私は、帳簿から目を離し、初めて一人の「人間」として彼女を見据えた。
「……私が『物語の負債』と見なしていたものの正体。
……それは非論理的な熱量、いや……そんな言葉ですら形容できないものだった。
……降参だ。私の計算式に、君の『感情』という変数は大き過ぎたよ」
マリアは、乱暴に私の腕を掴んだ。
「やっと理解したのね。……いい? 私は消されたくない。
まだ誰にも跪いてないのよ?
……私は、『生きたいの』。貴方の下手くそなところ、私が補ってあげる!!」
彼女の瞳に、絶望を焼き切るような凶暴な光が宿る。
「その代わり、絶対に何とかしなさいよ。……この『徴収官』!!」
(……クク。計算外だ。これほど熱い負債を抱えることになるとは)
私は自嘲気味に笑い、彼女の手を強く握り返した。
徴収官と債務奴隷の関係が終わり、一つの「罪」を共有する共犯者が誕生した瞬間だった。
「了解した。……マリア、君の『感情』という負債を、今、この世界の神を焼き払う『劫火』として買い取ろう。
……お前が望む物語の代金だ」
指を鳴らす。
虚空から吐き出された領収書が、漆黒の殺意を帯びて燃え上がった。
「――清算の再定義を。
……これより、作者の『絶望』ごと、この世界を買い叩く。
……一文字も、残さずにな」
「……ふふ、いい顔。白髪なんて増やしちゃって。
……でも、案外嫌いじゃないわよ?」
作者の殺意を背に、私たちは物語の裏側へと退避した。
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