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のんびりスライム道中 ~エルフの少女とのんびり世界を旅します~  作者: 千両
三章

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59 一難去って一難から去る

 聖女騒ぎも二度目ともなると、俺達の対応は早かった。

 目配せするとすぐに逃げる準備に入る。

 俺はバレないようにティトマークⅡの状態になり、ノエルと合流すると村人に背を向けて走り出す。

 森の中の村の住民なら、逃げてしまえばしばらく会うことはないだろう。

 人の噂もなんとやら、会わなければ今日のことなんて、そのうち忘れてしまうはずだ。


(イリナ、ダレンさんにも逃げるって伝えてー)

「おじさん逃げるの!」

「おじっ! 嬢ちゃん俺はまだ三十代だぞ! って、逃げんのか? まあ、面倒にはなりそうだな」

「ユミナ様ー。ボク達もう行くね~」

「⋯⋯はい、お元気で⋯⋯あとのことは⋯⋯セイガにまかせるので大丈夫ですよ」

「ユミナ様 !?」


 久しぶりの再開なので、ユミナとはゆっくり話したかったが仕方ない。

 追いついてきたダレンさんに街までの案内をまかせて、俺達は一気に街まで駆け抜けた。


 街につくとすぐに依頼の素材を俺が出して納品を済ませる。

 トゥティーンの奴が、村で買った素材をわざわざ街に売りに来るなんて思えなかったが、予想通りだった。

 念のために、他の納品依頼も確認して貰ったが、他は大丈夫そうだった。

 どのタイミングかは分からないが、完全に依頼に出た俺達をマークしていたようだ。


(エステル、シュナさんに進捗を聞きに行く?)

「別にどうでもいいわ。死ぬわけじゃないし」

(エステル、またそんな⋯⋯)

「完成には時間がかかるんだし休んでからでいいのよ! イリナ達だって疲れてるでしょ!」

(確かに、山から走りっぱなしだったな)


 それはエステルなりの気遣いだったのだろう。

 イリナもノエルも見てみればホコリまみれだ。 

 エステルがイリナの顔のドロを取ると、少し恥ずかしそうにそっぽを向いた。


(帰ってお風呂に入れてもらおう)

「お風呂なのー。帰るのー」

「じゃあ、俺らも向かうわ。ヴァルタさんに報告しなきゃならねぇ。自分の失敗も含めてな」


 ダレンさんが頭を掻きながらそう言った。

 自分の失態も含めて報告するのだろう。

 俺達は無事だったから構わないと言ったのだが、ダレンさん達なりのケジメだそうだ。

 それが出来るダレンさん達は、本当の冒険者なんだなと思った。


「お風呂ー。お風呂ーなのー」


 もうすっかり入り慣れてしまったお風呂を出ると、ダレンさんの話を聞いたヴァルタさんが立っていた。


「お疲れ様でした。トゥティーンも無事に捕まったようですね。これから確認の者を送り調査に入りますが、結果次第ではイリナ様の脅威も減るものと思われます」

(ダレンさん達はどうなったんだ?)

「おじさんに厳しくしちゃ駄目なの!」

「わかっています。彼ら自身の希望で失敗は刻まれますが、ギルドにもペナルティーに関して寛大な処置をお伝えしてあります」


 その後は、数日は館から出ずに、代わりに使いの者を出してもらいマケッタとシュナの依頼が出てないかを確認してもらったて数日過ごした。

 その間、イリナは森を走り抜けた事で筋肉痛になったらしく「ふぉぉぉぉなのー」と変な声を上げながら手足をバタバタさせていた。


 そして、二度目のマケッタの指名依頼が入り、精霊の腕輪の解析に行く、報酬の先払いで認識素材の魔道具を渡された。

 魔道具は取り外しが簡単なブローチ型になっている。

 ひまわりに似た形だが少し大き目で、厚みはないがイリナの握りこぶしくらいの大きさだ。


「これの機能は本当に凄いんですよ。存在を目立たなくするだけではなく、そもそも興味を抱かないようにまでできるんです。しかも、見ている人間に別の色だと認識を操作するんです」


 マケッタが完成した魔道具の説明を鼻息荒くしていた。

 犯罪に使われそうな機能だと思って聞いてみたが、製造には国の許可がいる上に、魔道具自体のこともトップシークレットらしい。

 値段を聞いたノエルが「ボクは怖くてそんなの触れないよ」と言っていたので、ノエルの精霊の腕輪の方が価値が高いことは言わないことにした。


 さらに数日が立って、シュナさんからエステルの服の完成が告げられた。


「楽しみなのー」

「あんなチャラチャラした服じゃなきゃ良いけど」


 エステルはそんな事を言っているが、心無しか嬉しそうにしている。

 シュナの店に着くと、店員さんに中に入るように勧められ奥に通される。

 いよいよエステルの服の完成だ。

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