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のんびりスライム道中 ~エルフの少女とのんびり世界を旅します~  作者: 千両
三章

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55 薬草採取に迫る影

 俺の提案と案内で村に向かって歩き始める。

 しばらくすると、村へと続く道を発見した。


「道があるってことは、村の連中はあの場所に薬草を取りに来ている可能性が高いって事だな。とりあえず村の人に薬草の事を聞いてみるか」

「そうだねー。行こうー」

 

 そのまま歩いていると村が見えてくる。

 地図でも場所を確認したが、本当に小さな村のようだ。

 そして、何やらお祝いをしている。


「こんちわー。俺は薬草を取りに来た冒険者のダレンってもんだ。ちょっと話をしたいんだが」


 急なよそ者の登場に、一瞬警戒する村人だったがすぐにダレンさんのギルドカードを見て安心する。


「こんな辺鄙な村にようこそ。私は村長のムノです。いかなる御用ですかな?」

「ああ、さっきも言ったが薬草を探していてだな、ミューキって薬草なんだが、全然生えていないなかったんだ」

「ミューキですか? それなら昨日、村に商人が訪れて欲しいと言いましてな。村人総出で刈ってしまったのです。ミューキ自体は人気のない薬草でしたから、高値で売れたので、こうしてお祝いしているのです。商人が気前よくお酒も報酬でくれたのですよ?」


 少しお酒も入っている村長が上機嫌でそう告げる。

 その話を聞いて、ダレンさんがしまったと言う顔をした。

 シュナさんの依頼はかなり大規模だったので、利に聡い商人が先に動いていたのだろう。

 ここまで来るのに、ゆっくり時間を使い過ぎてしまっていたようだ。


「空振りかよ。わざわざここまで来たのにな~」

「楽しかったからいいのー」

「良い気分転換にはなったかしらねー」


 空振りに終わってしまったがエステルは少し元気になった、それだけで全くに無駄ではなかったのだ。

 そう話していると、村人が近寄ってきて布を差し出してきた。


「これはニューキを使って編んだ布なのですが、せっかくこんな辺鄙な村まで来たのですから、買っていかれますか? 商人は買っていかれなかったのですが、街では意外と人気なのですよ? しかも、この布は特に出来が良いんですよ」 

(あっ、この感じってもしかして)


 差し出された布は絹の様に滑らかで見事な出来だったが、それ以上の感覚があった。


(イリナ、あの布を買って!)

「わかったの! その布ちょうだいなのー」

「これは売り物だよ? まずはお父さんにお金をもらわないとね」

「おとうさん!?」

「お金ならあるの! いくらなの?」

「こりゃ凄い」


 イリナを見て、タダで貰おうとしたと勘違いした村人が、イリナの出した金貨の袋を見てビックリした。

 村人も善良なようで、大金を見ても吹っ掛けてくる事はなかった。


「そうだ。あなた達も飲みませんか? 布を買ってくれたお礼です」

「おっ、いいのか?」

「はい」

「ほどほどにしなさいよ筋肉ダルマ」

「そこら辺は心得てますよ。エステル様」


 肩をすくめてエステルに返したダレンさん達は、村の人と一緒にお酒を飲み始める。

 イリナとノエルもお酒は飲まないが、ご馳走を一緒に食べ始めた。

 俺はイリナに買ってもらった布を調べ始める。


(イリナ、悪いけど布を鑑定吸収しちゃうよ)

「わかったのー」


 すると、俺の予想通り布に使われていたニューキは自然スライムだった。

 吸収すれば恐らく布は崩れてしまう。

 俺はイリナのリュックに入れるフリをして布を吸収した。


(よし。生産の項目にニューキが増えた。これで依頼も達成できるな)


 安心したのでダレンさんの飲んでいるお酒もついでに鑑定してみる。

 お酒はワインなので、吸収量によっては生産スキルが手に入るかもと思ったからだ。


 鑑定成功

 結果:ヤーマの実

 ワインに用いられる実で、普通に食べると渋い。


 鑑定失敗


 鑑定成功

 結果:夢魔の毒

 ルムネ草とダハ草からそれぞれ抽出された成分で作られた毒。

 無味無臭で気づきにくく、大量に摂取すると眠る様に息を引き取ることから夢魔の毒と呼ばれている。


(——ッ!!! イリナ! ダレンさんを止めて、ワインに毒が入ってる!)


 俺の叫びは間に合わず、ダレンさんや村人達がバタバタと倒れ始めた。


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