決断
朝5時
俺のスマホからバイブ音がする
隣で寝ている雪菜さんを起こさないようにすぐに止めた
「.....ん〜..」
まだ外は薄暗い
「クァ〜.....」
ハナが起きて俺の胸元まで登ってきた
「おはようハナ.....着替えたらお散歩行こうな」
俺が早く起きる理由は愛犬ハナの散歩をするため
毎朝一時間は散歩をするから早めに起きている
雪菜さんを起こさないようにゆっくりと立ち上がりキッチンに行きコーヒーを煎れる
スマホでニュースを見ながらコーヒーを飲み終えて動きやすい服に着替えるためまた寝室に向かう
ベッドの横に棚を置いてるため雪菜さんを起こさないようにそっと棚を開ける
「ん〜...?」
薄い目をして雪菜さんがこっちをよく見る
「起こしちゃいましたか.....まだ寝てて大丈夫ですよ」
「.....浩二さん朝早いねぇ......」
「ハナのお散歩があるので」
「ふーん...............zzz」
ほんの少しの会話をしたらまた雪菜さんは寝落ちた
朝は弱いんだろうな
「アンッ!」
ハナが吠えて俺を呼ぶ
「ハナ、雪菜さんが寝てるから静かに」
「クゥーン?」
着替えが終わりハナのリードを付け玄関を出る
外はまだ静かでたまにランニングしている人を見かける
そういえば朝ごはんが無いなと思い出す
いつもは会社に行く途中で買っていくが雪菜さんの朝ごはんがない
「買っていくか」
途中のコンビニによりサンドイッチとオレンジジュースを買い1時間ほど散歩をしてから家に帰った
雪菜さんはまだ寝ているようだ
もう7時だが起こした方がいいだろうか.....
昨日は夜が遅かったし寝させても大丈夫かと思いテレビを付けニュースを聴きながら今日の会議の資料をまとめる
後ろの寝室のドアがガチャっと開き雪菜さんが起きてきた
「おはようございます」
「おは.....よう..........」
まだとても眠そうだが頑張って起きたのだろう
「浩二さん.....お仕事..........?」
「はい.....もうすぐ出ます」
「ん.....わかったぁ..........」
そういうと雪菜さんは目を擦りながらソファーに向かい横になった
資料をまとめ終わりスーツに着替える
雪菜さんの方に目を向けるとまたすやすや寝ている様だった
「雪菜さん、俺もう仕事行きますね」
「んー、お見送りする…」
よろりと立ち上がり玄関前まで着いてきた
「お掃除お願いしますね……あ、朝ご飯机に置いてあるので食べてくださいね…」
「あーい……」
眠たそうにフラフラとお見送りをしてくれてる
「行ってきますね」
「いってらっしゃぁい.....」
ガチャっと家を出る
一日も一緒に居ないのに家を任せていいのか心配だけど不思議と大丈夫な気がする
とりあえず仕事を頑張ろう
浩二さんを見送ってまたもう一度ベッドに戻る
2度寝から3度寝だ
「ワンっ!」
ハナちゃんが私を起こしているのが分かるが寝起きはどうしても頭が痛くなる
「ハナちゃんもう少し待ってぇ.....」
「クゥーン.....?」
そうハナちゃんの声が聞こえそこから夢の世界に入った
目が覚めて時間を見るとお昼前だった
「こんなに寝てたのか.....」
頭痛も治まってスッキリした
リビングに行き机の上に置いてあったサンドイッチとオレンジジュースを飲み少しハナちゃんと遊んで掃除を始める
「お掃除するからハナちゃん邪魔しないでね〜」
「アンッ!」
まずはそこら辺に置かれてるタオルと服を洗濯機にぶち込み回す
1回じゃ終わりそうになかったから2回ほど回した
次に机の上に大量のペットボトルが置いてあったから片付けて貯められた食器を洗う
2時間ほどで部屋のほとんどは片付け終わった
「ふぅ〜こんなもんかな」
そこまで時間がかからなかった事に気分がいい
それと色んなものが入っていたタンスからハナちゃんのおもちゃが出てきた
「ハナちゃんおもちゃ見つかったよー!」
「アンッ!」
嬉しそうにくるくると回る
だけど遊ぶ前に汚そうだから洗濯機に入れた
「もう少し待ってね」
「クゥーン.....」
寂しそうに鳴くと抱っこを求めてきたから抱っこして一緒に冷蔵庫を覗く
「何も入ってないなぁ.....」
夜ご飯を作りたかったが何も入っていない、買い物に行きたいけど鍵を閉めないで家を開けるのは流石に気が引ける
「どうしよっかなぁ.....」
キッチンのタンスとか開けていたらレトルトカレーを見つけた
とりあえず今日はこれをチンして出そうかな
明日も居させて貰えたらご飯を作ってあげよう
まだ時間があるから掃除機でもかけて待っていよう
キュイーンと音を立てながら掃除機をかけるとハナちゃんは大きい音が怖かったのかカーテンの後ろに隠れてしまった
ある程度リビングをかけてから寝室に掃除機をかけついでにベッドの下をかけようとしたらコロコロって何かが転がって行った
「ん?なに転がって行ったんだろ」
よくよく見てみると大人の玩具的なオナホールだった
「うお.....オナホ...」
浩二さんも男の人だし普通のことだと思いベッドの横にある棚に置いておいた
粗方掃除機をかけ終わりベランダに干しておいた洗濯物を取り込む
気がつけば夕方になっていた
「ハナちゃーん、おもちゃ乾いたよ〜」
ハナちゃんにおもちゃを上げてソファーに座り込む
「テレビでも見て待とうかな」
テレビで夕方アニメを見ながら浩二さんを待つ
こうやって男の人を待つのは久しぶりだなと思っていると少し複雑な気持ちになった
...............苦い記憶が蘇ってくる、気を紛らわせるために洗濯物でも畳もう
ガチャ
「戻りました」
「!!」
私は早足で玄関に向かった
「おかえりなさい!」
「ただいまです」
浩二さんを辺りを見回して綺麗になりましたねって言ってくれた
まだ玄関なのにと思いながらリビングに戻る
「ちゃーんと綺麗にしたよ!」
「ありがとうございます.....」
「どう?これなら住まわせてくれる?」
「えーっと.....」
「あ、ご...ご飯は今日材料が無くて作れなくて.....明日作るから!!」
「そうですね.....お願いします」
「やったぁ!」
嬉しくて思わず腕を上にあげてしまう
暫くは住みに困らなくて済む
「とりあえずご飯炊くね!」
「お願いします」
俺はラフな格好に着替えるため寝室に向かったら棚の上に数ヶ月前に買ったオナホールが置いてあった
見た瞬間俺は息を一気に吸い
「..........やらかした...」っと吐くように言った
そっと手に取り隠すかのようにタンスの奥にしまった