第五章:ローザヸタ・セクスアリス(結)
結
わたしは、ボクは、どうしたら、いいの? いいんだ? 言いなりにさせていたカラダは、もう使えない。強くなったのに、スーパーヒロイン・あきこピンクに追い越された。わたしの、ボクの、価値は?
「『引く』力で、私の命と『引き』換えに与謝野さんを目覚めさせるわ」
「まゆみさん、それは、いやです、誰も、欠けさせたく、ない……」
「私たちの『祓』を合わせて、なんとかできないの!?」
「ナレさん、明ちゃんを元気にする知識を教えて! なんやってするわ!」
「あきこっ、朝ゲラ男が言ってたぞっ! 自主休講は人助けのためなんだろっ、て! 『建学の精神』は必修なんだろ、来週は出席しろよ、なあっ!!」
明子の上に、陰ができた。エリスがフルーレを支えにして立っていたのだ。
「与謝野は、自分が治す…………」
薔薇水晶がエリスの足にくっついてきた。
「低級の『呪い』で、癒せると思うの?」
「愛する人でないのに、必死になるのかね。それに、キミ自身が傷ついているでないか」
エリスはフルーレの刀を消して、百合の花を残した。
「無視するなんて生意気よ。近松がどうなってもいいの!?」
「愛は、たった一人に注ぐためのものではない」
『!?』
ローザヸタに悲しく微笑んで、エリスは「呪い」を行使した。
「Elises Liebe kann nicht(棄てがたきは、) aufgegeben warden(エリスが愛。).」
桜色の光が蜜のように百合から滴り、明子にしみてゆく。
「鴎外っ、あきこは助かるんだよなっ!?」
エリスは真っ青な顔をして、百合を傾けるばかりだった。
「ローザ……」
「のろくて退屈よ」
薔薇水晶が、明子へ薔薇の花束を投げた。「愛」の祓をおすそ分けしたのである。
「森エリス、キミの手助けをしたわけでないよ。ローザを想ってしたのさ」
「人間なんかよりわたし達の方がすごいの♡」
明子は息を吹き返した。
「祓が花粉一個分残っていて、命拾いしたわね。感謝するのよ、スーパーヒロイン・あきこピンク」
「そうか、君達の心は未だ錆びておらぬようだったか」
近松がゆっくりとエリスの元へ歩いていた。
「タフだね、祓の爆発は効かなかったけれど、頭をかなり打ったというのに」
「士族は容易く気を失わぬよ」
術の反動でよろけたエリスを、近松は抱きかかえた。
「先生、謝らせてもらいたい。自分が至らないために」
「好いのだよ」
去ろうとする二人をローザヸタが阻んだ。
「憎くないのか? ボクとローザはキミ達を脅していたのだよ?」
近松は泰然として答えた。
「己しか愛せぬ者は、憎悪するまでもないさ」
ハート形の結晶をよけて、近松は進んだ。
「お嬢さん達、安達太良さん、此度も助けてもらったね。どうもありがとう」
夏に向かう空が、ブルーブラックの背広を映えさせていた。
「ボクは」「わたしは」『どうしたら、いいの?』
ローザヸタに、温かな手が添えられた。
「明子ト、ホントウノツヨサを極メまセンか」
薔薇と撫子の花びらが、雲へと吸い込まれるように舞い上がっていった。
―神代の戦士、ついに集結。いよいよ、卯月晦日と皐月朔日の間へ! 彩りにあふれる明日のために、戦え、スーパーヒロインズ! ―
〈次回予告!〉
「ローザよ♡」「ヸタさ」
『ふたり合わせて、ローザヸタ♡』
「そのママくっツケたダケっスね」
「神代の戦士豆知識♡ わたしたちの本来の姿は、宝石なんだけど、『祓』を大放出すると変身するの!」
「どんな姿だと思う?」
「ほひょ、ネタバレにナリまセンか!?」
―次回、第六章「皐月待つ明日へ」
「『祓』を出すことが面倒な時は、芋羊羹を食べると済むよ」
「芋羊羹は伝説の巨大化スイーツよね♡」
「明子、激走しタクなッテきマシた! 実家、和菓子屋なノデもラッてきマス!」
「ごめんよ、言い忘れていたんだけれど芋羊羹ならどこの物でもOKなわけではないんだ」
「芋長さんのじゃないと、効かないのよー♡ あーあ、聞かないで行っちゃった」
―芋長の芋羊羹に、拝礼!




