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序
弓と文学の神、アヅサユミを母として、
人間、彦を父として、
この地に六人の子が生まれた。
第一の子は、全ての書物を統べる者となり、
第二の子は、自然の理を解き明かす者となり、
第三の子は、走れば嵐を起こす者となり、
第四の子は、神に最も近い賢き者となり、
第五の子は、命を潤し育む者となり、
母の不思議な術を受け継いだ。
第六の子は、不思議な術に准ずる「詠唱」を行使する
一族の長となり、天寿を全うした。
一族の名は、安達太良。
その末裔が、アヅサユミを継ぐ者に選ばれ、
彼女が引き結んだ縁、五人の娘に不思議な術が蒔かれた。
不思議な術、すなわち「祓」。
天の「祓」と地の「祓」が重なる時、
新たな物語への頁が開かれる―!