男性リビドーキメラ
自分、多趣味ですでジョギングしたり、自重筋トレしたり、グローブ空手や息子と柔道へいったり、スマホで絵も描いたりしています。そして数年前からプラモデルという趣味も加わりました。
(この辺の話を詳細に書くと長くなる上、今話したいことから外れるので割愛します)
当初、難しめのタミヤのバイクのプラモデルなど手先の器用さが求められるものや難易度の高いドールハウスのキットなどを優先的にやってました。単純に頭を使って指先を動かす作業が心地よかったのかもしれません。
ですが、時間がかかる割に達成感が乏しく、出来上がった作品も自分の目には拙いものにみえる。なんとかならないものかと色々見て回って、作りごたえがあり、中級者程度の技量が必要で、子供がみて喜びそうなものを物色しておりました。
当時、末っ子長男がゾイドと呼ばれる恐竜や動物型のSFロボットにハマっておりまして、じゃあ、俺もそんな感じのものをと、目に止まったのがヘキサギアと呼ばれる少し高めのSFプラモデルでした。
まぁ、買ってきたのはいいけど息子に取られ、息子が作り上げてしまうっていうね(笑)
そのヘキサギアには動物型のロボットとそのロボットに乗せるパイロットも別で売っているんです。パイロットは七センチくらいの小さな可動式フィギュアみたなものなんですが、これが作るのが楽しかった。しかも顔が小さいから目を描くのが難しい。米粒写経みたいに神経を集中しなければ顔がぐしゃぐしゃになるというね。
そんなものを少しづつ作って楽しんでいました。
ある程度慣れて別のものを作ろうと思い、ヘキサギアを作っている会社でいいものないかなぁとアマゾンで調べていたらびっくりですよ。
なぜか美少女が武装している可動式フィギュア的なプラモデルが売られているんです。
唖然としました。
しかもその美少女プラモデル、SFやファンタジーな武装しているのに、ビキニや水着になぜかアーマーをまとっているんです。そんな訳の分からないものが飛ぶように売れ、新作は予約がいっぱいになり、転売によって値段が釣り上げられているという大人気っぷり。
なぜ武装しているのか、なぜ素肌をさらしているのか……いや、武装するなら素肌をさらす意味は無いし、素肌をさらすなら武装する必要はないだろう?
ヘキサギアのパイロットみたいに全身アーマーやスーツを着てヘルメットを被っているのが普通だろう?
その武装美少女プラモデルは矛盾がひとつとなり矛盾のまま存在しており大人気。
不可思議でした。
そして不思議なものほど面白い。
以前、ケータイ小説のBLについて解説したときに腐女子たちに、とりあえず理解するにはライトなものをとりあえず読んでみてくれ、といわれオノ・ナツメの漫画を紹介され読みました。文学作品なら夏目漱石の『こころ』を(独自のBL視点で)読んでくれといわれ読みました。その上でBLについて解説され、なんだかストンと腑に落ちた感覚がありました。
わからなければ作ってみればいいじゃないか。
そんなことで作ってみました。
ヘキサギアのリアル志向の顔(色をつけるとアーノルド・シュアルツネッガーだったり、ブラッド・ピッドだったりする)とは違い萌え路線のフェイス。説明書の色指定に頬紅、チーク、口紅の入れ方まであり、おしりから太もものラインの造形の拘りが変態レベルで物凄い。きっと造形技師がホワイトボードの前でおしりや太ももの美しいラインをプラモデルでどう表現するのか、手元にサンプルや写真を置いて白熱したフェチ論争の末に導き出された美しいおしりから太もものラインなんだろうな、と思わずにはいられませんでした。そしてパンツの皺とそれに包み込まれた膨らみ、パンツの柄のデカール(極薄のシール。貼るのが高難易度)……もう変態です。
思いつくのも、企画するのも、商品として売り出すのも、それを買うのも、作るのも全員変態です。
でもいいんです。人類はみんななにかしらの変態ですから。
そして、その肌や柔らかなラインを強調しつつ、「そこ、守らなくていいんじゃね?」というところにほどこされるアーマー。いや、アーマーという名の体のラインを強調するようなゴツイアクセサリーのようにすらみえます。いえ、きっとそうでしょう。考えに考え抜かれた変態プラモデルですから。
出来上がったものを眺めます。
可動式フィギュアみたなものだからポーズをとらせてみます。
そこで気づきました。
これが単純な女の子だとしたら動かす動作がある程度決まってしまい、ただのリカちゃん人形と変わらない。ママゴトや散歩やショッピングさせても沸き立つものがないだろうと思います。ですが武装がある(それが意味不明の武装だったとしても)ことにより銃を構えたり、剣を握らせたりすることができる。
男の子だったら戦闘シーンはお手の物。
アクションをさせることにより動きのある美少女になり、武装の合間から変態レベルの造形の体のラインがチラリズム。
なるほど、この商品は男の子が好きな『戦闘+女の子』をひとつにまとめたもの。
ラーメンとチャーシューでチャーシューメン。
カレーとうどんでカレーうどん。
餅とアイスで雪見だいふく。
美味しいものと美味しいものを繋ぎ合わせるとさらに美味しいものができるように武装と少女……つまりは1+1=2。
つまりは女性肢体を武装によって強調する合成物。
言うなれば男性リビドーキメラがこのプラモデルということになります。
人の嗜好は様々ですが、これは売れるのはわかる気がしました。
自分も小説やイラストを描いているんでこの要素をうまく取り入れることができれば……ちょっとは見てくれる人が多くなるかな?




