作品語りと旧・金魚と万年筆
『金魚と万年筆』カクヨムにも公開しました。
(やっぱり撤退しました。一本に絞った方がやりやすかったので)
やっぱりせっかく書いたんだから少しでも多くの人に読んでもらいたいという欲求がありますから。
それで、久しぶりに読んでみたら、結構、文章足らず、表現不足、誤字脱字がありまして、それを小説家になろう、カクヨムとも直して公開しました。いやぁ、お恥ずかしい。あとついでに各話ナンバリングを止め題名をつけました。単純にナンバリングより管理がしやすい!
修正しているときにこれを始めて書いたときのことを思い出しました。とあるケータイ小説SNS(現在は閉鎖)で『金魚と万年筆』を書いたんです。
もうご存知ない方もいらっしゃるかもしれませんが、ケータイ小説が今の異世界転生モノのように流行っていた頃もあるんです。そしてケータイ小説といえばハードな恋愛モノが幅を効かせておりました。そのなかで、よくもまぁこんなニッチなものを書き続けていたなぁ(感想で「こういうファンタジーもあるんですね」といわれた)と今更ながら思ってしまうし、今も変わってないなぁとも思っていまう。
それで当時は「自分にしか書けないものが書けた!」と小躍りしてました。
(下敷きは作中でもいってるとおり室生犀星の『蜜のあはれ』なのにね。映画も二階堂ふみ主演であります。まだ観てないけど)
ですが、当時、ケータイ小説といえば恋愛。
そしてファンタジーといえばゲームなファンタジーしか知らない人が多数。ケータイ小説SNSでしたので完結すると繋がった人たちが「おめでとう!」的なコメントをくれるのが半ば暗黙の了解事項でしたが「おめでとう」コメント下さったのは二名という惨状でした。
(ちなみに感想も二名。「こういうファンタジーもあるんですね。話のなかの事件、まだ解決してませんよね?」と「凄く感動しました! 文章が変なところがあるんで、あと誤字脱字もありましたからあとでメールします! 是非とも直して下さい」と大変、有り難い感想を頂きました)
沸き立つような完結ハイとほぼ無反応な周囲との温度差にフラストレーションが溜まります。
(自称・二十歳の頃は若かったなぁ……現在、自称・二十歳の今なら「じゃあ、次書くか!」とすぐ切り替えるんだが)
そんなときケータイ小説SNSにあったコミュニティに『作品語りをしよう!』という集まりがありました。
(以前、話した貴腐人のひとりともここで知り合いました)
完結した自分の作品を語れる! と、物語の面白さをスポイルするようないらん話を語りまくったり、イラストなんかも晒して……なんか思い出すだけで顔面真っ赤で希死念慮がフルスロットルですね。黒歴史すぎて。あのケータイ小説SNSがなくなったのがなんか救いです。
それで語り終わったとき、ふと思ったんですが、作品を肴に語れるということは逆にいうとまだ小説で語り尽くせてない。小説で表現しきれてない部分があるのではないのか、と。
でもあのコミュニティ内では同じように作品を語っていた人たちもいるわけで、一概にはいえませんが。作品を作って満足いくまで完成させるのか、作った作品を我が子のように語るのか、考えるとどちらが良いのか悪いのかという話ではないのかもしれません。
ただ、今、『金魚と万年筆』を修正し、またあのときのような欲求が出てきそうなので今はそっと胸の内にしまおうと思います。また黒歴史を黒々と積み上げないために!
〇
・おまけ
『旧・金魚と万年筆』
夏目大介と宗一は親族。
大介は大東亜戦争で満州にて衛生兵として従軍(このときの話は自分の親戚の実話を参考)。そのときの体験から不思議な力を得る。(ねじまき鳥クロニクルのあの人みたいだな)終戦後、あの家に住む。高齢で埼玉へ長女と共に引っ越すことになるが、家を貸すことも売ることを拒む。宗一が小説家目指して大学病院事務からフリーターになって実家を追い出される。大介の話を聞き、宗一が頼ってきたときに今まで家を貸すのも売るのも拒んでいた大介だが、宗一の顔をみると快く承諾。
「おまえはオレと同じ<特別>なんだよ」
宗一、住み始める。
宗一が借りた家の近くの大学病院で事務をしている宗一の彼女・速水涼子は始終不機嫌。
「なんでいまさら小説家とか目指すの?」
でも宗一が小説家を目指したくなったのは涼子に小説を読まれて褒められたから。他にもなにかわからないが衝動に襲われ書きたい。
仲違いする前に夏祭りの金魚掬いで小赤の金魚を掬い飼う。
金魚が少女の姿であらわれる。
金魚は涼子と仲直りするべき、と口を酸っぱくしていう。あと小説は絶対書き上げられる。書き上げて小説家になれると当たり前のようにいう。
涼子は合鍵を持っており、しばしば宗一宅に訪れる。
宗一は大抵、取材か買い出しに出ており、作中、一回も会わない。
金魚は人の姿になるのが恥ずかしくて涼子に会えない。
(あるいは自分が宗一の妄想で存在しないのかもしれない恐怖)
涼子の愚痴を金魚の姿のまま何度も訊く。
空飛び猫(新作では翼猫)の話になる。
<工場島>に住む猫たち。大きな中洲にできた工場団地。周囲を川で塞がれ、橋を歩くのが怖い猫たちは外に出ることができない。そのなかの一匹が工場の社長の犬を食い殺す。
(工場島には大介が若い頃通勤しており、犬を食い殺した猫の話を聞いていた)
犬殺しの猫は突然姿を消す。猫たちは羽が生えて<工場島>から飛び出た。いつか猫たちみんなに翼が生えて空飛び猫になるという噂が広がる。
(以下、空飛び猫の話と金魚の話が交互に進展する)
宗一は小説を書きながら金魚と話す。
(新・金魚と万年筆の買物、ナンパ自慢、ミミズ事件、浜辺へ散歩、金魚鉢の中など)
国上山で幽霊をみて、宗一の幽霊についての見解以来、金魚は自分の存在があやふやなことを気付き確信する。
宗一度々、夢を見る。
朽ち果てた<工場島>と空飛び猫たち、猫を食べる魔女の姿をみる。
絵を描く少年にも出会う。
金魚、キタローと名乗る片目の老猫と知り合う。
空飛び猫、大介と出会い、犬を殺したときに片目を潰されていたせいか、大介に「キタロー」と名づけられる。
大介、工場仕事のほかに街のお祓い屋みたいなことをやっている。
キタローは大介がなにを祓っているのかみえている。大介もキタローの目線でそれを知っている。
キタロー、縁下で元飼い猫の白い雌猫と知り合う。会話は一切なし。
大介、三人の娘が嫁ぎ、妻が亡くなり、ひとり暮らし。
コタツに座って微睡みのなかでキタローに満州で不思議な力を得た経緯を話す。キタローも大介に<工場島>でのこと、犬を殺したこと、人の言葉を話せることを初めて話す。けれども大介はすでに寝ていた。
白い雌猫が行方不明になる
宗一のところに占い師(男性だが女装している。金魚曰く、まるで魔女)が訪ねてくる。占い師は占いと幻想と現実の関連性について話す。
「時計は誰かが太陽と月の満ち欠け、星々の動きをいつでも知りたいからできた。誰も望まないならばこの世に時計は存在しない。望めばなにかができあがり、世の中は変わってゆく。望み、思い描く力を現実にする力を私と貴方は持っている。我々は<特別>だ」
そして、ここは<特別>だから家を売るか貸すかしてくれ、と提案。
宗一は占い師を本能的に嫌悪する。
家主が不在、お盆に帰ってくるからそのときに会えばいい、と帰ってもらう。
占い師、日傘を玄関に忘れる。金魚が気づき日傘を手にとって占い師を追いかけるが角の街灯の下で占い師、待っている。
「名前をつけてもらいなさい」
金魚、日傘を渡すと逃げるように家に帰る。
キタロー、白い雌猫を探す(作中、探すとかいわないがどう考えても探してる)
白い雌猫は屋敷の魔女に飼われ始めていた。
キタローは度々、白い雌猫を見にゆく。
飼い猫らしさを取り戻し、毛並みも良くなって魔女の膝の上で幸せそうにしている最中に魔女はナイフで首を裂き、腹を裂く。腹から赤ちゃん猫がこぼれる。その猫たちの背中には小さな翼がある。
キタローは窓を突き破り魔女と対峙する。
魔女、キタローを見上げ、恐怖の表情で逃げる。
キタローは後を追うが見失い、どういうわけか<工場島>に辿り着き少年と魔女について話す。
少年、僕がいるうちは大丈夫だけどいなくなったら心配。
キタローは魔女を犬のように食い殺すと宣言。
「もう一個の目も失うかも」
不吉な予言。
金魚、男を買いにゆくが金魚屋の金魚たちに「金魚掬いの十円金魚」とバカにされる。
落ち込んでいる所にキタローに慰められる。
「人の姿にだってなれる。猫とも話せる。そんな金魚、ほかにいるか?」
金魚、宗一の愚痴につき合う。
涼子のことが好きなら好きといえばいいのに、どうしていえないか宗一に詰め寄る。宗一と金魚の涼子に対しての告白練習。
宗一に水槽をねだる。
金魚、もし宗一が小説を書けないのならば、自分が小説を書くと宣言。
熱帯夜のせいか、小説を書けないストレスからか眠れない宗一、水を一杯飲んで落ち着こうとする。そのときに寝ぼけ眼で自分の後ろにいた金魚をみて、宗一自身、金魚が存在しないのではと疑う。
ある朝、金魚は消えている。
宗一、金魚がいなくなった金魚鉢をみている。
<工場島>の白昼夢。
水没する<工場島>と少年の遺言と最後。
(新・『金魚と万年筆』とほぼ同じ)
金魚、帰宅。宗一、金魚鉢の前で寝ている。
(新・『金魚と万年筆』にないセリフ)
「貴方は疑ったのでしょう? アタシがいないんじゃないかって。アタシはいますよ。ここに。そしてこれからも」
買ってもらった水槽に男を連れ込んで赤ちゃん産みます宣言。
「どんな金魚がいいか品定めして、アタシはモテるから、どんな金魚でも仲良くできるわ。妬けます? 少し妬いてくれたら嬉しいな」
「あの魔女のことも大丈夫。きっと<彼>(金魚はキタローのことを<彼>と呼ぶ)がなんとかします」
ラストはほぼ同じ。
月明かりの浜辺で金魚は<彼>の子供の猫と小説を書く夢をみる。網戸越しの秋の匂い、小雨が降り始める。
随分、バッサリ切ったな、俺(笑)
正直、猫のくだりはいらないかなぁ、と。当時は宗一と涼子、金魚だけでは間が持たなかったから猫をいれたのかも? あと単純に金魚の友達が猫とか絵面的に楽しいからかな?
あと新作は『!』『?』『……』などの記号に頼らず文章だけで何でもかんでも表現する縛りで書いた。
結局、作品語りしてるじゃん、俺!?




