第五章38 『幕間 新たな悪意の予感』
短めです。ではでは。
長い──長い夢を見ていたような気がする。
見慣れた天井、嗅ぎなれた本と紙の香り、感じなれた冷たい空気、横になっている体を包むベッドの感触。全てが、男に「朝が来た」と告げているようだ。
息を吐き出しながら上体を起こし、ゆっくりと頭をかいて脳を起こす。
「ふわ……あぁ…………。なんだか……つないだことのある手の感触が…………」
右手に視線を落とした後、部屋をぐるりと見渡してみる。
彼の部屋にはグレモリーという悪魔がいるのだが、彼女はまだ熟睡している。寝ているうちに手を握られたのかもしれないが、いつも就寝前に「ちょっかい出したら契約破棄する」と釘を刺しているので、可能性は低い。
とはいえ悪戯かもしれないので問いただそうとしたが、あまりにも気持ちよさそうに寝ているので、起こしづらかった。
「…………私は……何を……」
大切なことを忘れている気がする。予定とかじゃなく、もっと重要な──文月 涼晴という存在にかかわるような大きな問題。何か……を…………
──そうだ、お前は必要ねぇんだよ。邪魔するんじゃねぇ。
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「あーたーらしーいあーさがき……ふわぁぁ……。おはようございまーす…………」
髪のセットよし、服装よし、やる気よし。しかし眠気がいつもの二倍増しで、まぶたを接着してくる。それでも休むことは許されない。
というのも、昨日はグレモリーに連れ出されて買い出しに行ってしまい、天才小説家殿からお叱りをいただいた。ゆえに、今日の仕事は相当ハードなものになると予想される。
ぐいーっ、と背伸びをして、今日という一日を頑張るための気合を入れる。
「……っし!! コーヒー飲んで頑張りましょう!!」
コーヒーを淹れるためにキッチンへ向かう。涼晴のもとで働き始めて、もう少しで五か月になる。毎日ではないものの、日常的にコーヒーを飲んでいるためかなり腕が上達した。
コーヒーミルにコーヒー豆をいれてけずっていると、涼晴の部屋のドアが開く音が聞こえた。
「あ、先生おはようございます。コーヒー淹れましょうか?」
「あ゛ー……悪い。ちょっと外出てくるわ。その間、俺の代わりにここ守ってくれよ、エマ」
「はーい。…………………………………………………………………………えっ」
違和感に気づいて廊下へと飛び出した時には、小説家の姿はなかった──。
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