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第四章7 『幕間 虚無の予感』

予定があるので早めの投稿です。

 物心ついたときから、俺はたった一つを除いたすべてが嫌いだった。嫌悪(けんお)とか憎悪(ぞうお)とか、もはやそういう次元じゃない。一歩踏み間違えていたら、今自分は生きていない。俺は、この世でたった一つの好きなものに生かされた。



 そう思うと、『()()()』の選択は間違いではなかったのかもしれない。



 好きなものを守ろうとすることの、何が悪いんだよ。なんで、好きになっちゃいけなかったんだよ。なんで、守ろうとしたら……死んだんだよ。誰か教えてくれよ。



「我が息子ともあろうお前が、二度も失態を犯すとはァァッッ!! お前は『()()』の恥だァァァッッッ!!!!」




 黙れ黙れ黙れ。もうお前の声なんて耳に入れたくない。恥なのはどっちだ、お前の方が人類にとっての恥だ。さっさと死ね。消えろ。




 失われていた俺の意識は、水と男の罵声によって呼び戻された。これで──あぁ、駄目だ。何回目なのかも思い出せない。二十回目までは覚えていたはずだが。



 荒い麻縄で縛り付けられ、身動きは一切取れない。手足だけでもつらいというのに、隣で狂ったように怒声を上げ続けるクズ男は、俺の首を絞めてくる。アイアンクローの要領で頭をわしづかみにされ、水槽の中へと沈められる。まぁ、要するに『水責め』ってやつだ。



 息を止めている力すらも、すでに失われつつあった。ゆえに大量の水が、口と鼻から流れ込んでくる。呼吸ができない。


 苦しい、苦しい、苦しい、苦しい。こんなにもエラが欲しいと思ったのは、今日が初めてだ。




「ゲボア……ウ、グゲロォォ……アアァァッッ!! ヒュー……ヒュー……ヒュー……ゲボッ」


「百歩譲って最初はいい。だが今回で二回目だッッ!! なぜ父親の命令が聞けないんだ、出来損ないがああああァァァ!!!!」



 胸ぐらをつかまれたまま、床にたたきつけられる。息づく暇もなく、殴られ、蹴られ、踏まれ、殴られ、殴られ、殴られる。吐き気が止まらない。クソ野郎に対する殺意だけならよかったが、こうして『磨白(ましろ)』も殺されたんだと思うと、不甲斐なく恐怖が身を包むのだった。



 消えろよ……いっそのこと、もう全部消えればいい。『磨白(ましろ)』のいない世界なんて、俺が生きている意味なんてないんだよ……。



 いや──違う。まだ消えるわけにはいかない。俺はどうしようもない社会のゴミだが、上には上がいるって言うもんだ。目の前のクズ野郎、『四家(よつや) 条白(じょうはく)』だけは殺してやる。


 復讐だ。醜いゴミの、汚らしい血にまみれた復讐だ。必ず──『磨白(ましろ)』の仇をとってやる。『四家』の悲劇は俺が終わらせる。たとえ、どれだけの時間がかかったとしても……。














 許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない

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