吟遊詩を抱えて
この世界は果てしなく続く
その景色もこの情景も全てはその果てに続く道だった。
夜が更けても、朝日が昇ろうとそれはずっと変わらなかった。
だから皆何かを常日頃から胸に抱えて生きているのだ。
そう、僕も…
誰が終わりを決めるのだろうか?
誰が始まりを教えるのだろうか?
全ては選択の連続の交差でしかないと偉い人は
言うだろう。果たしてそうだろうか?
なら何故貴方はその胸の内にまだ幼い時分から抱えて暖めた
感性を持って其処に立って居るのだろう?
貴方はそれを正直に話したくともそれを分かち合える人が居ないと
心寂しい孤独の檻に逃げるのだろう?人々がそれを受け入れず、嗤われるのを恐れた貴方は
純粋な詩人だ。何故なら詩人は常に、日常に吟遊詩を抱え生きてるからだ。
在る者はそれを何処かに忍ばせ、空気と一体化させた。また在る者は
最愛の誰かにそれを託してこの世を偲んだかもしれないーお前はどうしたいのだ?
残り短い余生ともつかぬ時間をその詩を抱えたまま死ぬのか?
違うのか?なら何故書かぬ、そして胸を張って朗読せぬのだ?
書斎とは何も書物や書き物を保管するだけの部屋では無い、
何時か芽吹く詩や物語を熟す為の最初で最後の砦なのだ。なのにお前はそれすらも
拒むのか?ただ脆弱が取り占める隠遁に身を隠すのか?
僕は違う、これからも吟遊詩を抱えてこの荒野の様に清涼と退廃の世界を一人練り歩く。
何時か詩が僕を離れる時を見定める為に、そしてそれを心から喜べる為に。
詩は熟す、果ての果てまでも。
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