簡単な設定紹介的なもの(読み飛ばし可)
西暦二〇〇〇年、地球上に、現在の魔物の祖先となる、微生物が発生した。
当時は誰一人として気づくものはいなかったが、これが後にいう「終わりの始まり」の原初である。
その後、その生物は――おそらく地球に当時存在していた生物をサンプルにしたことでだろう――急速に進化を遂げ、次々と現在の魔物の元となる初代の魔物たちが生まれ、人類を含めた当時の生物達を侵食していった。
当初は当時の武力でその魔物たちに対抗できていたのだが、次第に魔法を扱う魔物すら現れ始め、人類は対抗が難しくなっていった。
そして、ついに西暦三〇〇〇年、人類と同様の姿と知性をもった、魔人と呼ばれる存在が生まれたことで、人類との戦争が勃発した。これが対魔族間戦争である。
この戦争において、人類はこれまで用いてきた無人兵器に加え、核までもを持ち出したが、最終的に戦争は魔族の勝利に終わった。
これ以降、人類は魔人に支配されるという形で生活していくこととなる。
とはいえ、根本的に大きく変わったことは、せいぜい各国に魔人の本部である魔王城への連絡用の支部が設置されたことと、太平洋の真ん中に、魔王らが住むための島がひとつできたことくらいだ。
魔人は他の魔族と違い基本的に人類がおとなしくしていれば攻撃をすることもなく、人類との共存を望んで、魔人でない人間と結婚することもあった。そして、彼らの子、孫の世代などになって魔人の血が薄まったり、逆に濃くなったりしている。魔人の血が濃いものほど、魔力が多く、逆に、血が薄ければ薄いほど、魔力も少ない。だが、どれだけ魔人の血が濃くても、魔人でない人類の血が混ざっていると、純粋な血の魔人にある肉体の強さは得られない。それでも、魔人たちは人類を排斥しようとはせず、共存しようとしている。その理由は、初代の魔王が平和主義者だったことが大きく関係している。
だが、反対に人類のなかには徹底した魔族排斥を唱えるものも少なくなく、魔人たちに反発的なものや、血の濃いものへの悪質な嫌がらせをするもの、更には直接危害を加えるものも多くはないが存在する。
とはいえ、暮らしの中身は魔物の存在に気づかずに生活していた頃と変わっていない。
人間たちは、学校、職場、家庭など、それぞれのいるべき場所で学び、働き、暮らしている。
魔人による支配はあるものの、それまでとほぼ相違ない国々が世界の中心に立って、社会を回している。
西暦二〇〇〇年、それは魔物が誕生し、人類による世界の支配の終わりが始まった年だ。
西暦三〇〇〇年、それは魔人が誕生し、世界の支配者は魔人にとって変わった年だ。
そして今年は西暦四〇〇〇年、人類による反撃が始まる年だ。
短編版も出していますので、先に読みたいというかたは、作者ページからお飛びください。