小学校の桜
近所に住んでいるお姉ちゃんの友達、何度も顔を見た事あるし、話した事もある、
そんな子が、時を超えて幽霊として現れたら?
自分に置き換えて想像してみてください。
あれは僕がまだ小学4年生の頃、
僕の一つ年上の友達のお姉ちゃんから聞いた話。
仲のいい友達が放課後に遊んでいる途中に木に突き刺さって亡くなってしまったと聞いた。
その日僕はたまたま家で遊んでいて、夕方の日が暮れる、目が闇の色を認識し始める頃に、
闇には似合わない赤色と、大きなサイレンの音が聞こえた。
僕は野次馬のように窓からその様子を眺めた。
晩ご飯を作っていた母に
「救急車学校で止まったんじゃけど、なんかあったんかな?」
母は作業を続けながら、
「近くの人かねぇ?」
と興味なさそうに告げた。
「見に行こうかな?」
「いけんよぉ、救急車の人の邪魔になるよ、もぉご飯できるけぇ、じっとしとき」
そうして、その夕方は何の気なしにすごしていた。
その夜、連絡網で次の日休みになることが決まった。
夜に、お風呂から上がった僕は、顔だけ知っているお姉ちゃんの友人
が亡くなった事をお母さんから知らされる。
その時は人の死をどういう物か分かっていなかったため
「そーなんだ」
としか感じなんか。
その後中学三年生になり、当時は許される事では無かったが、ヤンキーのたまり場になっていた我が家。
今は過去という事で、時効という事でご理解いただきたい。
案の定、タバコなど許されない行為を行っていた僕たちだったが、一人が、
「肝試しに行こう」
そう言いだした。
学校が500m先と目と鼻の先にある僕の家、当然行き先は学校になる、
今程セキュリティがちゃんとしていなかった夜の学校に僕と悪友4人と侵入した。
ビビリな僕は、一番後ろでみんなの陰に隠れて、一番後ろを当時もっていたガラケーで撮影していた。
大義名分でみんなをごまかし、窓ガラスに映る影にビル、友達や、二宮金次郎像の陰から飛び出し驚かしたりしていた。
ある程度歩き回り、何事も無く悪ふざけをしていた時にふと桜の木が目に留まった。
小さい頃に忘れていた記憶が鮮明に思い出される。
忘れていた、、、
「そうだ、ここでしんだんじゃ」
ボソッとつぶやいた僕の言葉を友達は聞き逃さなかった。
「エッ?人死んどるん?」
ビビったらヤバいと思った僕は
「嘘よ、嘘、ビビったんじゃろ?」
と友達に言い、そう言って笑いに変えたが、僕は冷や汗が止まらなかった、なぜなら
ケータイの電源が桜の木の前に急に落ちてしまっていたからだ。
誰にも悟られるわけにはいかない。
「もぉ暑いし、アイス買いにいこーや」
そう告げ、この場所から明るいコンビニに向かうよう促す。
コンビニへ移動した僕らは、アイスを食べながら
お前がビビっていた、いないだのくだらない話をしていた。
朝方に、僕の家へ帰宅した、
ケータイの電源が落ちた事はすっかり忘れており、
充電器にさし、シャワーを浴びる。
クーラーのきいた快適な部屋で眠りについた。
起きたのは次の日の昼頃、気だるい体を起こし、ケータイをさわる。
僕が撮った動画は一件のはずだが
「8件ある」
背中に妙な旋律が走る。
「まず始めの動画をながす」
普通に暗い中で僕らがはしゃいでいる。
違和感に気づく、
さくらの木が映ったときに、妙な人影がある事に気づく
背筋が凍る、まったく気づかずに桜の木に近づく僕たち、
そこには女の子がこちらをずっとみて画面に笑顔を送っている。
そして、ふっとカメラが僕らを向いてもう一度桜の木にカメラが向いた時にその子が消えた。
いや違う、Tの背中におぶさっていた、誰も気づいていない。
そこで電源が落ちたように動画が切れた、
残り7個は?一人では見れない、僕はみんなを起こした
「ヤバいのとれてる。。。」
みんな寝ぼけ眼をこすりながら、
「なんなん?」
と起きた友達は、僕の動画を見る
「やべぇ」
「こわっ」
Tに至っては真っ青になっていた。
「残り7個あるんよな。。。」
とりあえず見てみようと言う事になった、
2つ目を流すと3秒ほど、真っ暗な画面が映った、
3つ目
4つ目僕らの声が30秒ほどくらい入る、
「コンビニじゃねぇ?」
そこには女の笑い声が入っていた、
「うぉ」と思わず声が漏れる。
5つ目
6つ目は同じく真っ暗
10分?
「これだけ長いな」
真っ暗?最初の1分は真っ暗のままだ2分ぐらい経った所でこれも違和感を感じる。
何か動いてるの?
それは僕らが眠っている動画だった、
「帰ってすぐかな?」
「真っ暗じゃん」
「うわっっっ」
誰の物か分からない目が映った後、部屋の中が映る。再度映ったTの横にさっきみた少女の姿があった。
「なんだよこれ、、、」
Tはつぶやく背筋に再度寒気が走る、
「ずっとついてきてたんだ、、、」
僕がそう言うと、
「ずっとってなんだよ!!」
声をTが荒立てた。
「実は、、、」
僕は今までの経緯を説明した。
そして動画をみていた、KとSが
「おい、まだ何か映ってるぞ」
真っ暗な中で、動く物がある
「T?」
そこにはTが寝返りをするのが映っていた
「当たったにしては、これは、、、」
その時また真っ暗になった、
「いや、真っ暗じゃない、動いている」
真っ暗な画面の中に確かに動く気配がある、
何だ?、、、目だ、瞬きをしている目がそこにはあった。
片目と、鼻の頭が映っている。
動いていたのは、少女だった、
僕の部屋に見慣れぬ陰が動き続ける。
見ているとTの顔をずっと覗き続けていた。
Tはますます顔色が悪くなっていく。
「お祓いにいこう」
僕はそういった
近くにあるお寺に自転車ですぐ向かった。
朝早くにお寺に行くと、掃除をしている住職に出くわす、
経緯を説明し、1時間くらいお祓いを受けた
住職より、
「動画は消したかね?」
そう言われた
「いえ。まだあります」
ついて来なさいと、僕たち4人は車に乗せられある家に連れて行かれた
「すまんねぇ、お祓いはまだ終わってないんだよ」
そう言われると、とある一件の民家に向かう
その家に着くとインターフォンを鳴らす表札には『o」と表札があり、中に入れてもらった、
仏間に通され、遺影を見ると、昨夜僕たちを恐怖に陥れた少女の顔があった、
連れてこられた意味が分かって、両親にその経緯を説明する。
「、、、そうですか、まだあの子はあそこに、、、」
悲しいような、嬉しいような、何とも言えない表情をしていた。
「すいませんでした」
僕たちは反射的に頭を下げた
「ふざけてあんな所へ行って、眠っていたはずの娘さんを起こしてしまいました」
「いいんですよ」
「あの子も楽しそうなあなた達に混ざりたかったんだと思います」
「仏壇に手を合わせて帰ってやってください」
仏間に通されると、そこには沢山のお花とお供え物があった、
どうやらこの件でここへきているのは、僕達だけではないようだ、
その度にこの人は苦しめられているのだろう
僕は心が締め付けられた
住職は
「みんなが彼女を解き放ってあげないと、彼女はあそこに縛られてしまうんだ、
この事が分かったら、今日の事は忘れて、もう夜、浮ついた気持ちであそこに行くんじゃないよ、いいね」
「「「「はい」」」」
僕らはそう住職と、彼女の母親にそう誓った
数日後みんなで、仏前に花を供えにいった。
彼女の仏壇の前に備えてあったツツジの花を4人で持っていった。
僕ら四人は心から安らかに眠る事を祈り
その場所を訪れる事をやめた。
いかがでしたでしょうか?
怪談という物が好きで普段から読んだり、聞いたりしてるのですが、自分が語り部、筆者にるという難しさに直面している所です。
自分に近い所で、いつ起きるか分からない恐怖体験、皆さんにお届けできたなら、幸いです。