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俺たちの青春に明るさはなかった  作者: あるば
彼女に明るい青春は無い
8/80

痛いのが、一番痛い

「これ、どういうことですか」

さっぱりわからない、なぜ目の前の写真にこのような妹が写っているのか、羽後には全く理解ができなかった。

「どういうことかって聞いてんですよ!」

 つい強くあたってしまう。この気持ちをどこにぶつければいいのかわからない。いや、それどころか自分が今怒っているのか、怯えているのか、それともそのどちらでもない感情なのか。

「これは音琴がまだ小学校六年生の頃の写真よ」

確かに写真に写っている妹はそれくらいだ。

「何があったんですか?」

 

 これは音琴がまだ小学校六年生の頃の話だ。音琴は名古屋の小学校に通っており成績もよく、クラスではあまりしゃべらない落ち着いた方。問題はここからだ。少しでも帰りが遅かったり、なにかしら些細なことでも父親をおこらせたりすると、毎週金曜日の夜に殴られたり、ぶたれたり、暴力を受けていたという。金曜日の夜というのは、次の月曜にはアザなどが目立たなくなるように、土日で直すためだったそうだ。母親はこの頃も出張に行くことが多かったので、上手くだませていたらしい。家庭内暴力が発覚したのは10月辺りで音琴が修学旅行に行けなかったことを中のいい友達とやらが心配し、家を見に行ったら······ということだった。それから教育委員会が動いて、一ヶ月ほど保護され、後は母親が引き取ったという。

「·····」

言葉が出ない。

「わたしね、いつも思うの。どうしてあんな人と結婚したしまったのか、どうしてもっと早く気付いてあげられなかったのか、どうしてもっとそばにいてあげられなかったのか」

胸が痛い、張り裂けそうだ。

「そんな傷ついてるわたしに声をかけてくれたのが、あなたのお父さん、正直最初は戸惑っていたわ、この人と結婚していいのか、この人に任せてもいいのか、でも話を聞いて、一緒にいる間は安心できた。本気でこの人になら任せてもいいんじゃないか、そう感じた」

 確かに、あいつは頼れる存在ではある。

 「変なこと聞くようで悪いんだけど」


「あなたは音琴を傷つけたりしないわよね?」



 ここで電話は切れた。

 胸がさっきより痛い。

心臓の音がここまで聞こえる。脚が震えている。体が暑いような、冷たいような。しかしそれらも気にならない程の感情が押し上がってきた。怖い、憎い、辛い、

 ······痛い

 でも、一番痛いのは、音琴だ。

「複雑な義理の妹なんて、何処のラノベだよ」

萌えるだけじゃねーか。

 ここで記憶がない。なんか急に足元が暗くなってきて、なぜかとても体が楽になってきてそのままソファーで寝た所まで覚えている。

何時間か経ったのか、羽後は体を起こす。

「そっか、制服のまま、」

とてもよく寝たはずなのに気分が暗く、まだ心臓の音がする。それと、朝なのに...周りが暗い?。ああ、まだ夜なんだ。そう思いながらテレビをつける。落ち着くための深夜アニメ。

『おはようございます。時刻は午前7時になり、すっかり明るくなりましたね』

え?今なんて······

「録画か?」

しかし、生放送だった。

 カーテンを開ける。そこに広がったのは、

······夜の景色だった。

考えられるのはひとつ。つい最近聞いた言葉が耳元に張り付いている。


 私、



 『明日が来ないのよ』












アリガトゴザマス。


物語もいよいよ新展開!!と言うわけではないんです。


kyonomeigen



「今日を笑って生きるなんて、綺麗事ね。何があるかわからない、何が起こるかもわからない。そんな状況で笑ってなんていられないわ。でも、一つ。昨日よりも今日。今日よりも明日、自分ではない誰かが笑っていることは願える。願うことは、無料タダでしょ?」

                   by 加賀美かがみ しのぎ

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