住良木高校文化祭(4)
暗闇を怖がっていた、昔の私。そして、暗闇を受け入れた、今の私。受け入れたのは単に、怖くなくなったから。それでも1つ、怖いものができた。それは日の光。みんな明るくて、楽しそうで。太陽みたいにキラキラしてるの。
私以外。
でもいいの、だってこんなにも暗闇は純粋なのだから。
緊張も段々と解れてきた。暗闇には慣れっこだ、いつもと同じように話せばいい。そうだ、質問をすれば会話になる。何にしようかなぁ。聞きたいことは沢山あるが、どれもこれも簡単には尋ねることのできないような、重いといえば重い内容だ。
「ねぇ」
そう投げ掛けたのは加賀美の方からだった。やはりこいつも無言を続けたくはないのだ。また気まずいのは流石につらい。
「戸羽くんは、ずっとこの辺りに住んでいるの?」
なんともすぐには答えづらい内容だった。予想外だった。加賀美はあまり過去のことは話さないし、こちらとしても過去には触れたくない。
「え?いや。丁度小学生になったあたりで引っ越したからな。すぐ帰ってきたが」
質問を考えよう。過去ではなく、これからのことを。
「なあ、これからどうするんだ?」
「え?」
「ずっとここにいるわけにはいかないだろ」
まさか、ここに居るつもりだったのか。せめてあと2、3ヵ所は頭に入れておくべきだ。
「そうね。さすがにまずいわよね」
そうだ。
「じゃあ、」
加賀美が顔をこちらに向ける。先程よりも赤い気がする。
「一緒に回りましょう」
難易度が上がった。




