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俺たちの青春に明るさはなかった  作者: あるば
住良木祭
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住良木高校文化祭(3)

 何故だろう。この暗闇は居心地がいい。いつも感じてるあの暗がりは、俺や加賀美の心を締め付ける。しかし今はそれとは違う、でも暗がりではない何かに心が締め付けられている。この締め付けられた感じは前にもあった。林間学校の星。夏休み最終日の真昼の花火。そして今。

「戸羽君。その、あなた何かやることはないの?」

加賀美凌との暗闇。

「生憎雑用しかやることはないし、当番は明日だ」

いつも加賀美は目を見て話さない。それは仕方ないと思っている。陰キャの特徴だ。俺も大体の人にはそうだ。それでも何故だろう。今の加賀美はやけによそよそしいというか、動揺しているというか。

「おい加賀美。お前こそ、」

やることはないのか。そう言うつもりだったがやめた。分かりきったことは聞かないし、聞いたら失礼だ。と、この場合はおもう。

「······なんで鍵開いてたんだ?」

質問を変えた。まあ聞きたかったことだ。嘘ではない。

「職員室に行って鍵を借りたわ。『クラスで使う資料があるので』と言って」

職員室には行けるのか。大きな声で「失礼します」が言えるんだね。えらいよー。

「大丈夫なのか?話せた?」

やはり気になるな。こればかりは。

「話せる先生と、話せない先生がいるの」

なるほど。普通の人の場合、『話せる相手』というのは『知ってる人』に該当するだろうが、こいつは違うだろうな。こいつの場合、『知らない人』が『話せる相手』に該当する。知ってる人には変な風に思われると嫌だが、知らない人の場合、変な風に思われても知ってる人ほどは気にしない。最終的には気にするけど。

「大丈夫だったか?キョドらなかった?」

戦友のように心配する風の戸羽に対し、

「······台本を書いて挑んだわ」

それに対して少し真剣に答える加賀美。


 にしてもさっきから加賀美の対応がおかしい。表情が、少し熱っぽいのか。そんな風に見える。これはチャンスかもしれん。

 俺は加賀美に近づいて、加賀美のかたを掴む。

「んッ!?」

加賀美は驚いたような顔をしているが、それに構わず。

「ちょっとこっち向け」

そう言って加賀美の頭と俺の頭を同じくらいの高さになるように少ししゃがむ。加賀美は何故か目を閉じている。そして、

「ん」

加賀美のおでこに手を当てる。

「顔赤いと思ったけど、熱じゃないみたいだな」

「ね、熱?」

動揺している。さっきよりも。

「ああ。保健室に行けば、合法的に休めると思っただけだ」

今気づいた。顔を赤くしたり、動揺したり、目を閉じたり。気づいた途端に俺も緊張してきた。そうだな。暗闇に慣れてるとはいえ二人っきりだ。昔の俺がアニメとかで見たシーンじゃん。恥ずかしくなってきた。

「あ、」

俺はそう発して、黙ってしまった。

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