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俺たちの青春に明るさはなかった  作者: あるば
それぞれの夏の終わり
60/80

ある夏の昼の追憶

 夏が嫌いだった。理由もなく嫌いだった。俺は毎年夏の始まりにそんなことを考えるのだが、今年は少し違った。高校二年の夏。青春なんて滅べばいいと考えていた俺も、少しだけ青春への興味と言うものが芽生えたのだ。むしろ、仲のいい友達と林間学校イベントやプールイベント。これを青春的得点(ポイント)として見ないのはそれこそ陰キャの敵に該当してしまうだろう。「いや俺全然青春してないよー」とか言うリア充に中指を立て続けていた俺だが、俺もそのリア充になって夏を楽しんでいたのかもしれない。いや待て、結論を出すのは義務ではないし、「戸羽羽後は陽キャリア充だと思いますか?」と聞かれたら、「いいえ」と今でも答えるだろう。俺は焦っているのか?こんな俺にも青春という二文字への憧れは存在するのか?。そんな自問無答を繰り返す夏の終わりだった。


 市民プールのバイトは昨日で終了し、給料も貰った。直下(そそり)

「夏の終わりに凰磨たちとキャンプでもしようかと。え、ああ。勿論男だけだよ男だけ」

「いや、どうでもいいだろ」

という会話があったので、今頃山だろう。よほど林間学校が楽しかったのか、よくもまあ同じ夏に二度もキャンプなんて出来るな。そう思った。

「兄さんおはよー」

妹が珍しく休みの日の朝に起きてきた。

「おはよ。早いな、用事か?」

そう訪ねると、目を擦り終え、向日葵の髪飾りを装着し、口をひらく。

「この夏、兄さん忙しかったから一緒に過ごせるのは今日だけ。ということで今からその金で花火買ってきて」

話の前と後で違いが生まれているのは気のせいだろうか。

「おい、妹よ。一緒に過ごしたいならおつかいを頼まなくてもいいんじゃないか?」

「一袋じゃ少ないから、何袋か買ってきて」

「俺から発せられる空気振動は微弱なのか。まあいい。コンビニに売ってるかなぁ」

すると、今度は上手く伝わったようで。

「コンビニには売ってない。いつも登校に使ってるバス停までいった先に、スーパーがあるから、そこで買うと良い」


 にしても。

「それなりに買ったな。5袋くらい?バイト代が······」

と言いつつも、まだそれなりに残ってはいる。

「あ、」

かなり聞き慣れた声が後方から。

「加賀美、木原。と、谷崎」

「面白い子じゃん!!何いっぱい持ってるの?」

テンション高い加賀美の友人。谷崎花三。そんなことより。え、何?三人知り合ったの?

「木原とは、スイミングスクールが一緒だったんだー。小学校の頃だけど」

「つまり知り合いだったと」

「私は凌ちゃんと花三ちゃんが知り合いだったことに驚いたなー」

と、木原が笑顔で話す。

俺もその笑顔に驚いたなー。

「世間って、本当に狭いのね」

それは共感せざるを得ない。

「何、皆買い出し?朝早くから」

「皆偶然そこで会って、私と水菜は買い出しで······」

「私は······散歩よ」

こんなに朝早くからですか?と皆思ったが、ここはスルーしよう。彼女の事情だろうからわざわざ触れなくてもいい。

「戸羽君こそ、その袋は?」

「妹におつかいを頼まれてな」

「そ、そうなのね」

なにか隠している。触れ······ないでおこう。


 「私と水菜、こっちだから。というか隣のマンションだから。じゃあ」

「また今度」

と言って二人は横断歩道を渡る。

「さようなら」

「じゃあな」

「「······」」

沈黙は気まずい。

「じゃあ俺もこれで、」

そうこの場から立ち去ろうとする。

「ちょ、ちょっと」

え?

「何だ?」

「そこの公園。寄ってかない?」


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― 新着の感想 ―
[良い点] ……青春的得点(ポイント)、ですか。 相も変わらず、ユニークですね。 あるば君はやっぱりユニークな存在(個人的な意見)だと思います。
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