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俺たちの青春に明るさはなかった  作者: あるば
それぞれの夏の終わり
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花火の低音

 花火。私にとっては、ちょっと特別なもの。明かりの無い場所でしかできないもの。

 中学生の時の私は何を思ったのか、昼間から手持ちの花火を行った。周りからは『もったいない』と思われたけれど、私にとっては私にしか見ることのできない特別なものだったと今でも思っている。

 昼は私にとって一番危険な時間帯だった。町灯りは夜より少ないし、車も自転車も全く見えない。それで懐中電灯を使い始めた。自分の状況を理解して間もない頃だった。誰かに相談しても信じてもらえず、理科の実験では太陽を直視してはいけないと言われたけれどそもそも太陽がどこにあるかわからないなんて日も最初はあった。

ーーー私ね、好きなの。


『花火』


 「花火って、打ち上げ?」

『ううん。全般』

俺は今自分の部屋で電話中だった。相手は凌、同類だ。あっちは山奥にて仕事中らしいが、こっちもさっきまでプールのバイトをしていた。

「もう上がってるのか?」

『今から。私は宿で仕事中だけれど、糸佳徒君と東雲さんは現地で仕事』

お疲れ様です、自分。そう心の中で自分に囁き、麦茶を飲む。

「宿って、大きいのか?」

『大きいかと言われると、中くらいと答えるわ。お客さんは私たち含めて六人といったとこね』

「イイナーオレモオトマリシタイ」

『はいはい。あ、花火始まった』

すると電話は切れ、一通のメールが届いた。文章は無く、画像が一枚。花火の画像だった。それを俺は特別綺麗だとは思わなかったし、感動もしなかった。でも、

「······保存っと」

加賀美>>じゃあ、また


お?

電話だ。しかも名前は······設定してない。

『やあ戸羽くん』

「すみませんが、どなたですか?」

『おっと、やはり名前を忘れているねー教えないよ。ただのジャーナリストだからね』

ああ、あいつか。

「なんすか?」

『いやぁ、こんな夏の夜には誰かと話したくなるものだよ』

「友達居ないんですか?」

『君が居るじゃないか』

「気持ち悪いっす」

そう答えた後、携帯から微かに花火の音が聞こえた。

「······今どこに居るんですか?」

『山奥だよ』

「誰と?」

『やだなあ戸羽くん。僕のこと気になるのかい?』

「近くに加賀美居ますね?」

そうだ。変態ジャーナリストである奴が、この夏遊ぶ筈がない。

『君はエスパーかい?まあ調査中でね。でも、近くに居るのは男女二人組さ』

「熱愛報道······ではないですよね」

怪奇現象を追っている奴が、熱愛報道なんておかしいしな。そういうのは仲間のジャーナリストに売ったりするのか?まあどうでもいいけど。

『それはそれは面白いことがわかったよ。うん』

「あいつらに話し掛けないで下さいよ。働いてるんですから」

まあ保険として。

『わかったわかった。糸佳徒君だっけ?いい性格してるよ』

プツッ

切れた。

帰って来たらあいつどうしようか。


何話かぶりの、主人公。

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