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俺たちの青春に明るさはなかった  作者: あるば
糸佳徒相馬の夏休み
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花火の残灯

 墨をこぼしたかのようだった黒いキャンバスに、色鮮やかな花が咲く。ただ僕にはその花の美しさは理解できないらしく、ついこんなことを言ってしまう。

「高い花火は何億とするらしいぞ。こんな一瞬のために大金が吹っ飛ぶと考えると、この音に何万の価値があるのかと考えてしまう」

雰囲気を壊す。

「でも、国の為のお金になるんじゃなくて、ここにいる人たちの笑顔を咲かせるために使われるんだったら良いんじゃないかな」

彼女らしくもない。

 笑顔を咲かせるためか。確かに、周りにいる人達はみんな笑顔だった。

 しかし、彼女。東雲成惠は笑っていなかった。


 6時30分。こんな時間に起きたのも久しぶりだ。いつもは午後1時辺りに起きている。ちなみに寝るのは4時位。

 ジャージ姿のまま廊下に出る。できれば一日中この姿でいたいのだが、今日はそうもいかない。

「おはようございます」

この声は、

「紗英お姉さんか」

「紗英お姉さんって何ですか?」

どうお呼びしたら良いのかわからなかったもので。

「あと、おはようは言った方が良いですよ」

ここまで来ると、年上のお姉さんだな。合法、、、なのか?

「気を付ける」

「では試しに、12時の方向から接近するNPCナンバー1。成惠お姉ちゃんに挨拶と言う名の弾丸を!」

おい、

「そんな言葉どこで覚えた」

「昨日私達の部屋で成惠お姉ちゃんがゲームを」

あいつ、あれでゲーム好きなのな。

「さあ、一先ず小声で『おはよう』の練習を」

あのなぁ。

「オハヨウオハヨウオハヨウ」

「三発ですと!?さあ、練習は終わりです。私は朝ごはんの準備がありますので、一人で切り抜けて下さい」

親指を立てて笑い、廊下を走る。

「はぁ」

「どうしたの、糸佳徒」

おっと。

「おはよう」

「?」

え、何?急に見たいに思われた。

「あ、おはよう」

東雲は、表情は変わらないものの、動作では照れているように見えた。

 客間につくと、加賀美が料理を並べていた。

「凌、おはよー」

「東雲さん、おはよう」

「加賀美お、おはよう」

「糸佳徒君が挨拶をするなんて」

 さっきから僕が日頃から挨拶をしない人みたいになってるが、むしろ僕は『挨拶さえしておけば良い』と本気で思っているぞ。



 


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