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俺たちの青春に明るさはなかった  作者: あるば
戸羽羽後の夏休み
50/80

俺たちらしい、水着回だった

 水着回とは、って、もう良いよな。今は『俺もラノベの水着回みたいにキャッキャウフフがしたい』という気持ちよりも、『この暑さ、なんとかならんのか』の方が強いのだ。ホントだよ。

ということで青春の神様より、季節の神様にこう告げよう。

「全く、これだから夏は、、、」

 「ひばるん、暑いー」

話しかけてきたのは勿論直下。毎度の陽キャっぽさは夏の暑さのせいか体から溶け出してしまっているようで、今はやる気のない社会2年目のサラリーマンにしか見えない。ちなみに俺はそいつに振り回される1年目の社畜。

「あのなぁ、奥はまだ涼しいだろ。客と話してると直射日光なんだよ」

見えないけど、暑さでわかる。

「交代は勘弁して下さいお願いします」

そう言って、直下は頭を下げる。

······プライド低っ!俺だったら土下座するけどな。

「そういや、さっきの背の高いイケメン三十代と何話してたの?」

おい、お前ソフトクリーム作ってただろ。

「なんだ、その、世間話を」

世間話なんて、定番過ぎたな。

「ああ、世間話!この前、ビックリしたのがさぁ」

すんなりと話が変わってしまった。やはり陽キャだったな。


 「戸羽君と直下君、見回り宜しく」

このバイトは、失敗だったな。

 仕事内容の中にはプールの見回りという項目が含まれていたらしく、俺は炎天下の地へといざ最初の一歩を......

「直下、行ってらっしゃい」

「ひばるんも行くんだよ!」

暑い。暑いと溶けそうというのは室内だけだな。外はガスバーナーで炙られている気分だ。おまけに裸足と来たら、鉄板の上で焼かれているような感覚。

 「ひばるん、ちゃんと話聞いてた?」

「ああ」

妹からな。さてはあいつ、この内容はわざと伝えてないな。


 「よう」

前にいるのは加賀美と東雲だ。

「仕事をサボって良いのは、仕事をしている人だけなのよ」

······おい加賀美。一応今日だけ代理で真面目に社会のために尽くしているよ。

「見回りだ」

「でも、溺れている人がいても泳げるの?」

······あのな、さすがに、あ、無理だ。

「そう言うときは、泳げる人を頼る」

「そうですか」

加賀美が呆れたような顔をしている。と

バッシャーンと、近くで音がし、続いて水しぶき。

「あの子、溺れてる?」

そう言ったのは加賀美で、目線を辿ると、女の子が溺れている。と、同時に俺の体が動く。

「大丈夫ですか?」

と叫び、プールに向かう。加賀美は席に座ったままで、東雲は立ち上がり一歩踏み出すも、足が震え止まってしまう。

羽後は『スタッフ』と書かれる上着を着たまま、プールに入る。飛び込みではなく、階段で。


 帰り。まだ明るいのかわからないが、夕方だということは時間を見ればわかった。3人はバスに乗って、家へと向かう。

「本当に人が溺れた」

この言葉は、嫌味っぽく加賀美に向けている。

「私のせいじゃないわ」

······わかってますよ。

「でも、よく助けたわね、誰か泳げる人を探すって言うのは冗談だったの?」

「いや、小さい女の子だったから」

あ、引かれた。

「いや、仕事だから」

言い直す。


 この会話に東雲は入ってこなかった。ただ、俺からは何故か、とても彼女が悔しいそうにしているように見えた。

ありがとうございました。

都合があり、少し遅れた投稿となってしまいましたこと、お詫びいたす。


「目の前に困ってる幼女がいたら、助けろ」

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