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俺たちの青春に明るさはなかった  作者: あるば
彼女に明るい青春は無い
5/80

季節は梅雨になり、俺の心にはじめじめとした何かがある

 朝、雨の音が聞こえる。カーテンからはいつもより少ない日光が漏れていた。あまり気持ちの良いとは言えない朝だが、彼女にとってはこの少ない光でさえも感じないのだから、最悪と言えるだろう。そんなことを考えながら羽後はベッドから体を起こし、時計を見た。

5月10日(金)

羽後はいつも通り制服に着替え、カバンを持った。いつも通り「行ってきます」と言ってマンションを出て、いつも通りドアを閉め、鍵を掛けた。鍵を掛けるのは妹が自分の部屋から出ないからである。引きこもってはいないのだが、学校の準備、朝ご飯、その他もろもろは羽後が家を出てからするみたいで、朝はどうしても顔を合わせてくれない。鍵をポケットの中に入れ、雨なので傘を差した。バス停まで六分ほどでつく。雨だというのに周りにはケータイをいじっている人を大勢見かけた。あぶねぇ、そう思いながら周りを警戒しながら歩いて行った。

 バス停には5人ほど人が見られた。高校生が三人いたが、その中の誰も同じ高校の制服を着ている人はいなかった。

「あれ?お前戸羽じゃね、」

その制服を着た生徒にそんなことを聞かれたので、

「おう」

知らない人だったが、そう答え、会釈をしておいた。

……いや、マジで誰だよこいつ、記憶にねえ。いつもの事ながら途惑うわ。

そうやって羽後は自問自答放置した。羽後に中学の友達はいない。友達どころか知り合いも少ないだろう。羽後は知らないが、向こうは羽後の事を知っている様だった。恐らく、ボッチで有名だったからだろう。自分では存在を薄くしていたつもりだったが、以外に目立っているものだなと思った。

バスが来た。カードをかざし、一番後ろの席に乗った。雨が天井をたたいている。

「え?」

雨の音とは違う、空気の振動が羽後の方に発声された。

「あ、戸羽君だ、おはよう」

昨日聞いた声、凌の声だった、隣にもう一人いるがそいつの事を羽後は知っている。

「おう、おはよう」

 慣れない挨拶をしておいた。ていうか、一部男子としてこの場を借りて言わせてもらいますけど、学校以外で話しかけられるとちょっとドキッとしちゃうんでやめてもらっていいですかね?あれ、これ俺だけ?

「凌、知り合い?」

「ええ、高校の同級生」

「へぇ~、私、ここら辺に住んでるけど、この人はみたことないなぁ、何処中?」

いやいやおんなじ中学でしたよ、僕はあなたのこと見たことあるんで。生徒会長だったでしょう?

心の中でそう突っ込み、苦笑いをしながら。

「個人情報なので、ふせておきます」

と、言っておいた。

「……面白い人だね!私はふせないよ、谷崎たにざき 花三かみとりあえずよろしく」

「よろしくお願いします」

あまりにもこっちを見るので、窓の外に目をそらす。

 そんなこんなで、近くの駅までバスで行き駅から名古屋駅で電車が止まった。そこで花三とは別れた。

「戸羽君も、名古屋駅で降りるのね?」

「おう。待ち合わせしてるからな」

「友達いたのね」

「一応な」

「わざわざ名古屋駅まで行くなんて相当仲がいいのね」

「いや、仲は普通だな」

「私もついていっていいかしら?」

「ああ。でもなんで?」

「ひとりだと、はぐれちゃうのよ」

この時凌が言った「はぐれる」というのは恐らくただの迷子などではなく、外に行ったら暗くなるからだろう。俺が想像しているよりもその目は不便らしい。そんなことを考えながら階段を上がり、いつもの場所についた。が、

「あれ、」

そこに東雲の姿はなかった。



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ありがとうございました!まだまだ全然物語は進んでいませんが、根気よくやっていきます。


今回・・名言


「朝、ベッドから起き上がるのがだるい。それは疲れたからじゃない、学校に行っても何もないからだ。そういう奴は、『自分は悪くない。社会が悪い』と思っているらしい。俺もだ」

                                    by 戸羽とば 羽後ひばる

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