これが、水着回だと言うらしい
なぜお前らがここに。
「バイトを探している」
そう口にしたのは、俺だった。
ここは妹の部屋で、妹は足の爪を切っているところだったが、驚いたのか爪切りを落とし
「今日はお疲れ様。寒いんなら暖かくして寝てね」
等と言う。
「いや、確かに働くことは嫌いだ」
「嫌いだ」
「『大事なことなので二回言いました』だね」
と、ツッコミを入れてくる。
「だがな、思ったのだ妹よ。夏休みの間だけ、働きたいと。暇なのは嫌だ」
「それは朝聞いた。でもバイト何て、メイトとか、おーすに行こ······行けばいいのに」
妹は少し下を向き、提案する。
「その通りだが妹よ、金欠でな」
「成る程」
「それも含め、夏休みだけで行われるバイトを探している」
そう言うと、ちょっと待って。と言ってパソコンをいじる。
「あったよ。明日からだけど」
「急だな、闇バイト?」
「いや、ネッ友だったけど一年前、家が近い事知ってリアルで会ったメイドカフェでバイトしてた友達が風邪引いて」
「ちょっと待て、その流れだと俺はメイドカフェで働く事に」
「まあまあ。その子夏だけバイト掛け持ちしてて、店番だけど。代理でどう?私も彼女には休んでほしいし」
ナイスタイミングとしか言えないが、何か不安だ。でも今は金と暇潰しだ。
「頼んだ」
《メイドA》日伊灯璃<<ありがとーね☆ご☆と☆さ☆ま♪
音琴>>ほんとによかったん?バイト譲ってもらって
《メイドA》日伊灯璃<<元々掛け持ちはキツかったんだー
音琴>>金か、金が欲しかったのか
《メイドA》日伊灯璃<<金には勝てん。病気っていったらバイト先も許してくれるとおもう
次の日、羽後は電車に乗り、目的地へと向かった。そう、市民プールだ。
さて、情報の整理だ。仕事は店番と、プールの掃除だと音琴が言っていた。店番にはもう一人いるとのことだ。まずはその人に挨拶でもしに行くか。
着いた。
「おっはよー」
そのおかしい挨拶は、
「えーっと、その、あっ直下」
「名前忘れてなかった?」
「気のせいだ。それより何で居るんだ」
こいつは陽キャグループのできるイケメンポジ。
「バイトだよ。こんな朝早くにひばるんこそどうして?」
誰だよ『ひばるん』て。え、俺?どうしよーアイドルみたいなあだ名つけられちゃったぁ
「バイトですが」
「へ?」
事情を軽く説明する。
「なんだ、灯璃ちゃんの代わりか。それにしても二人の接点は?」
「妹の知り合い。そちらは?」
「中学の後輩で、いまは光山高校に行ってると聞いたよ」
なるほどうでもいい。どうせ1分後には忘れてる。
「アイスと焼きそばですね、かしこまりました。ひばるんーアイスと焼きそばぁ」
大声でひばるん止めてついでに金城と呼び方統一しろ。
「ひばるん次接客やって。こっち暑いから」
正直なのは良いことだが、こうも堂々と暑いと言われると変わりたくなくなる。
「えーっと、たこ焼き2つとお茶ふた、、戸羽じゃん」
おっと、知ってる声だと思ったら、
「東雲か。2つは太るぞ」
薄い黄色の水着の上からパーカーを装備しており、まだ泳いでいないのか全く濡れていなかった。
「凌もいる」
と、言って後ろから出てきたのは、白い水着にこれまたパーカーを装着。下には布のようなものが巻かれ、こいつも濡れていない。
「珍しいわね、戸羽君が働いているなんて」
「挨拶の前にののしるのを止めてもらっても構いませんか?」
この前友達に派生した俺達だが結局はなにも変わらずでも心ではなにかが変わったと確かに感じている。それはこちらだけでは無いようで、
「それにしても、似合わないわね」
照れ隠しのツン。
「俺は東雲が外を出歩いている事がとても新鮮だと思う」
「そうなの?」
「ああ」
この一年半、東雲が外を出歩いたという話を聞いたことがないし、本人もほとんど家から出ないと言っていた。
「凌に誘われたから」
「優しいね、東雲さん。はい、たこ焼き2つとお茶」
急に話に入ってきたのは直下だった。
「何故いるのかしら」
凌はあまりこいつが好きでは無いようで、強めにこちらを見る。
「偶然だ」
「いや、ひばるん。繋がっていたから偶然ではないと思うよ」
「直下が年下の女の子と一緒にバイトするはずだったけど、その子が病気で代わりに来た。妹の紹介でな」
うん、簡潔。
「ひばるん、それじゃ僕がロリコンみたいじゃない」
もう、二人とも移動していた。
「いいと思うぞ、ロリコンで」
「ねえ、ひばるん。どっちが好みだい?見た目で」
急ですね、
「見たまんまだと東雲さんはかなりスタイル良いね。加賀美さんはそれなりだけど、小柄だね。上半身が。パーカー来ててもわかる」
「もしもし、警察ですか?こちらに変態が、」
「ちょっ!?ひばるん!思想の自由だよ!」
「冗談だ。それに今のは妄想だろ」
こうして、俺の水着回が始まった。
ありい。
こんな青春、砕けてしまえ1
「かれぴっぴ」




