林間学校にハプニングはつき物らしい。。。。。
住良木高林間学校のキャンプファイアーは、ほぼ自由参加だった。というのも、最初にキャンプファイアー場に集まり、余興をし、ダンスなどに移るのだが、最初に集まる時以外点呼をしないため、抜け駆けしてもバレないのである。ただ、いまこのバンガローの中にいる糸佳徒と、俺は、それこそ非青春を謳歌していることになる。
何やら糸佳徒はリュックを背負い、出かけるようだ。
「ギルドの用事か?」
そんなことを聞くと、
「オンラインだが、個人の討伐」
という答えが帰ってきた。恐らく、昨日やっていたMMORPGだろう。
バンガローに一人。出来ればWi-Fi環境に行きたいところだがのぼせてしまい、先生にも報告済みである。のぼせてキャンプファイアーをしないと言った生徒が食堂裏を彷徨いていては、さすがに怪しまれるだろう。だが、暇なのでスマートフォンを触る。
加賀美>>何故来ないの?
<<俺はお前が参加していることに驚いた。
加賀美>>いえ、何となく抜け出せない雰囲気があるだけよ、木原さんもいるし。それに私、火って好きなの。ところで戸羽君、もしかしてのぼせたり?
何故それを、、重度のコミュ症だから先生には聞けないだろうし、
加賀美>>どうしたの、ごんぎつねが火縄銃くらったような顔して
······俺ついに死んだな。
<<おい、そんな顔してねぇぞ
加賀美>>適当に言っただけだと思うけれど、過去の自分のことはわからないものね
<<そうであってほしい
<<あれ、結局何?
加賀美>>来なさい
<<おいちょっと待て
······
返信なし。
来なさいって、義務なのか?義務、、、だろうな。
いや、まあ行くけど。青春の一貫ではなく、行事の一貫として。
さて、結局来てみたものの何かするわけでもなく、ただ燃え盛る炎を静かに鑑賞していた。
この炎のように、燃え盛って生きていく。そんなことを言えるのは金城と凰磨くらいだろう。
「俺なんて、使ったあとの蝋燭で十分だな」
「戸羽には自虐趣味があったのか」
そこいいるのはイケメンだ。
「いや湖匙、今のは自虐ではなくむしろ自己防衛だ。燃えたあとの蝋燭ならもう働かなくていいし溶かされる事もない」
「ハハッそう言うことか」
何が言いたいこの野郎。
「そう言えば、糸佳徒とはどうだ?」
「見事にかわされるばかりで、バンガローでは皆がいて言いずらいし、食堂も。山登りに逃げられてしまったしね」
まあ、全て糸佳徒の計算通りだろう。
「それで、今もどこにいるかわからなくて。皆が集まっているこの時間なら話せると思ったんだけど、彼のいる場所を知らないかい?」
知っている。と言ったら、確実に向かうだろう。こいつは人を信用しすぎで、優しすぎだ。言いやつ過ぎる。大嫌いなタイプ。
「さあな、どうせどこかでゲームでもしているんだろう」
だが。
「そうだね」
「なあ、糸佳徒に謝罪したとして、仲良くしようと言ったとして、返事がNOだったら、どうする」
もし湖匙に、本物の優しさがあるなら。
「謝罪を受けとめてなお、NOだったら、仲良くすることは諦める」
ヒントぐらい、あげてやろう。
湖匙が食堂裏倉庫に向かい、また一人になってしまった。
「帰りたい」
「あら、来たの」
いつか聞いたような声。
「日毬か」
「湖匙はどっか行っちゃったし、金城と直下は火の前で踊っているし、暇だから帰りたい」
······それは陰キャ(こっち)の台詞だな。
「お前も一緒に踊ってこいよ」
もちろん、面倒払いである。
「嫌よ、男子じゃないし」
······人気者にも、けじめはあるんだな。今は騒げよ。
「じゃ、私行くわ」
「じゃな」
そう言ってキャンプ場から遠ざかる方向へ、消えていった。
「私、火って好きなの」
そう言って、彼女はとなりに座った。
「まあ、何となくわかる」
そんなことを加賀美に返しておいた。
「ねえ、何で来たの?」
「そりゃ、呼ばれたからな」
「ごめんなさい。呼んでおいてこの言い方は無いわね」
沈黙が始まった。十秒程だろうか、それすら今の俺にはとても気まずく、長く感じた。
「一つ聞いていいかしら?」
その少女は悲しげな表情でこう言った。
「暗い世界に、何かあった?」
どうやらそのときの俺は、ごんぎつねが火縄銃を食らったような顔をしていたらしい。
終わったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。
オホン。終わりましたぁぁぁぁぁぁ。
いやぁ、ながかったぁ。『林間学校にハプニングはつき物らしい』シリーズ。
最後の「暗い世界には、何かあった?」というのは、、、平たく言えば羽後が日光を感じないことを知ってたということです。
名言
「暗い世界には、何かあった?」
加賀美 凌




