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俺たちの青春に明るさはなかった  作者: あるば
林間学校の準備より、明るい青春野郎の相手の方が忙しい
23/80

戸羽音琴は不可能である

 授業中、道徳の『友達と仲良くするには』という、いかにも羽後には向いていなさそうな題名だが、いまこの授業を受けているのは、羽後ではなくその妹、音琴だった。

 ······まぁ、音琴のあの性格だし、この題名には困惑しているだろう。

「では、次。音琴さんの班の案を聞いてみましょう」

······あれ、おかしくない?音琴さんの班?陰キャは班長は決まってないし、じゃあなんであいつが。

「では、音琴さん、お願いできますか?」

何だと、先生に指名される。それは、普段目立っているやつにしか起きないイベントのはず。

「はい」

「戸羽君の妹さん。あなたと違っていい人そうね」

ツンツンがそう言ってきたので。

「加賀美の言うとうり、確かに音琴はいい奴だ」

「自分がよくないことは否定しないんですね」

木原の突っ込み。いただきました。

「だが、あいつは」

陰キャのはず。




 五分前

 「ツンデレの鏡」

「へ?」

おい妹よ。急に何を言い出すんだ、それはいつも俺が思っていることではないか。

「この子が、戸羽君の妹さんよね」

「ツンデレの加賀美」

それもいつも俺が思っていることではないか。

「って、兄さんが思ってた」

さすが、心が読める音琴さん。

「戸羽君。そうね、授業が終わったら話があるのだけれど」

今はツンモードですかね。いつもですかね。

「戸羽音琴です。コイツの妹です」

「宜しく。加賀美凌です」

「兄さん、もう授業始まるから、教室入って」

 こんな感じで、いまに至る訳だ。

中学の授業風景というのは面白い。特に自由席は。男子は仲のいい奴どうしで話し合い、女子は、顔のいい男子の周辺に集まる。残されたぼっちはそこに近い席で、皆の輪に入れている雰囲気をだしながらも話し合いには参加しない。

 そんな授業風景を懐かしく感じていると。

······おっかしいな、なんで音琴が輪の中心とも言えるあの席に。

 そして、現在。

「はい」

大きく返事をした彼女は、ハキハキと喋り、なおかつ恐らく今まで出た案の中で一番まともだろうと思わせる発言だった。

正直、俺は、反対したかったが、出来なかった。何故なら妹が陽キャ中心ともとれる発言、『みんなで仲良く』を発動したからだ。アニメ等でよくあるシーン、『ね、みんなで仲良くしようよ!』と皆をまとめるクラスの中心女子。それが、妹だった。

「ねえ、あれほんとにあんたの妹さん?」

東雲がそう言うのも無理もないだろう。

「真逆ね」

加賀美さん、ストレートですね。

そんなこんなで授業参観が終わった。


 昇降口、妹も一緒である。

「おい、妹さんよ」

「なんだい、兄貴」

「どういうことだい、あの発言は。というか、あのクラスでの陽キャっぷりは」

「勿論演技」

「だよな、」

「どういうこと?」

話についていけていない東雲に説明する。

「妹は、天才だ。ほら、あれだ。『天才に不可能は無い』ってやつだ」

この場合、天才になるのは不可能ともいえる。

「じゃあつまり、音琴ちゃんはあのキャラでクラスに溶け込んでるってこと?でもそれって」

「かなりの量の情報と知識、演技力が必要。今から証拠を見せる」

と音琴が言って、扉の外を向く。

「ユリユリーじゃあね!」

「じゃあね、ねご!」

「と、このように。完全にクラスに溶け込んでいる」

ドヤァ

「俺もびびったけど、授業参観のとき、察した」

「ちなみに、今の私のクラスのキャラ設定は、頭もよくて、可愛いくて。頼りになる陽キャ女子共の一人。一番人気はめんどくさいから譲ってる」

「そこまで」

「あと、陽キャ女子って聞くとドロドロしててめんどくさそうと思うかもだけど、演技だから傷つかないし傷つけない」

おい、そこの『わたしには無理ね』みたいな顔してる加賀美、東雲。


 「俺ら三者面談だから、先帰ってろ」

「色々面白かった」

「じゃあねー」

「また、月曜日」

三人がそれぞれ挨拶。

「おう」

とだけ言っておこう。








なんかいきなり、チートキャラだったのかよ。みたいなの出しましたけど、重要ですんですん.


格言

「その人のイメージってすぐ決まるから、転校初日で、大きな声で可愛く挨拶したら、60パー陽キャ」

                 戸羽音琴(とば ねごと)

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