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俺たちの青春に明るさはなかった  作者: あるば
彼女に明るい青春は無い
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他愛ない陰キャの日常

 まず初めに、彼女には、『明るさ』がない。

これは、言葉の比喩なんかではなく、事実だ。

俺がこの事実を知ったのはついこの前の事だった。

なんて、重い話をしてしまったが、よくあることだ。心配するな。

そう。よくあることなんだ。俺が過ごす青春も。


 高校生活、部活動、恋愛、勉学、学校行事。このような言葉の全てをまとめて青春と言うのだろうが、逆に言えばこの中の何かひとつが抜けてしまえば青春と言うのに値しないと言うことになる。しかしどうだろう、人によって充実した学校生活は違うし、ましてや運動が嫌いだったり色恋沙汰が嫌いだったりする人もいるわけだ。

 その人達の事を世間では『陰キャ』と言うらしいが、一部の決め付けなのでよくわからない。ましてや陰キャの方が効率的だとかそう言うことを主張するやつもいる。

 俺も、俺の周りの奴らもその陰キャなのだが、それほどつまらなくもない学校生活を彼らはおくっている。何故なら陰キャは非青春を好み、常に充実した人生を目指しているからだ。簡潔に言うと面倒くさいのが嫌いということだ。

 これは、そんな俺と、周りの奴らの学校生活の。いや、青春の物語だ。


「ふあぁ~」

5月9日、高校生。戸羽とば 羽後ひばるはいつもと同じ朝を迎えた。

いつもと同じように制服に着替え、弓道の道具を肩にかけ、かばんを手に持ち、いつものように家を出た。

 羽後は愛知県の高校に通っている二年生だ。

「行ってきます」

呟くような小さな声でそう言って、羽後は家を出た。

後から「行ってらっしゃい」と妹の声がしたが、その声もまたか細く、羽後には聞こえていなかった。


 青春かぁ、一年の頃は楽しくなかったな。入学の頃にビビッてメール交換しそびれる時点でボッチ決定だろ。入学の頃って、今も連絡先0件がなに言ってるんだ。

 羽後は名古屋駅東山線のホームの階段を上り、改札を通って外に出た。

いつもこの時間、名古屋駅は混雑している。

「おっはよー」

後ろからクラスメイトの直下そそりの声がし、手を振ってきたが羽後は無視した。こいつのあだ名は体育祭告白男です。その告白の邪魔をしてしまったのは俺なんだがな。一年の頃の体育祭でこいつが女子に告白していたのだが、体育祭の仕事の為、偶然そこに居合わせたというわけ。 

 てかなんだよおっはよーって。何処の挨拶?「トゥットゥルー」とイントネーションが同じなのが気になったが。

無視。彼自身告白を邪魔されたのは恨んでいないようだが、「戸羽でしょ?やめときなよ」と女子の声もしたので反応はしない。ちなみにその女子の名前に関しては全く知らない。告白した子とは別れたんだ。それとも不倫?

 急だが、羽後はクラスで浮いている。

羽後も理解しているが、そんなことどうでもよかった。

羽後自身、友達が必要無いというか、作らないという性格を持っているからである...作れないんじゃないよ。


 羽後が東山線を出て、金時計についた。

名古屋駅の金時計。多くの人が待ち合わせに利用する場所だ。

今日も人が多く集まっているが、その中に羽後の知っている人はいなかった。

いや、同じクラスの人はいたが、名前は知らない。

羽後にも友だちはいる。

その友達と待ち合わせをしている。

女子だ。

 その女子は東雲しののめ 愛徳なるえ 二年。

東雲は羽後と同じ弓道部であり、主将だ。

髪は肩にかからないくらい。身長は小柄で160㎝ほどかと。

クラスは違うが、弓道部なので毎朝一緒に練習に向かっている。

何故仲が良くなったかというと、羽後は弓道が上手く一年の頃、羽後が東雲と同じグループで練習をすることになり、基礎を羽後が教えたからである。だが、今は上達が早い東雲に追い越されてしまった。俺は朝練以外さぼっている。

羽後は桜通口から外に出て、柱にもたれかかり携帯を見ている東雲の前に立った。

「おっはよー」

「戸羽、おっはよー、なんて言ってたっけ?」

「今日朝言われた」

だれに?と東雲は首をかしげながら聞いてきたので、

「陽キャリア充」

と、答えた。

「リア充のまね?」

「なれないけどな」

いくぞ。そう言って羽後はまた、桜通口に入っていった。

羽後の場合わざわざ名古屋駅に毎日行ってから向かっている。

 20分ほどかけて、駅に着いた。ここにはもう、羽後の通っている高校の生徒しかいないし、いても5,6人ほどだ。

羽後の通っている高校は、住良木高校すめらぎといい、駅を降りて坂道を上ったところにある。坂道は距離があるが、もう羽後は慣れていた。

「今日、部活何人来る?」

羽後が聞くと、無表情でため息をついて東雲は、

「たくさん」

と答えた。

「人が大勢いるところが嫌なのはわかるけど、うちの弓道部はしょうがないでしょ、まあまあ強いし」

「自分のことほめてるだろ」

「まあそうだけど、私以外にも上手な人いる」

そう言ってきたので羽後が自分の顔に指を向け、「俺とか」と言うと、さっきより大きなため息をつかれた。

「戸羽は朝練しか部活来てないから、上手でも評価されてないよ」

そうだよな。と口にしたところで、学校が見えてきた。

「朝練だけお前と一緒に行ってやってるんだからそこも評価して欲しいよ」

「それは、ほんとに感謝してる」

「あ、わりい。深い意味で言ったんじゃなく、」

東雲はコミュ障だ。俺も。

二人は校門を通り過ぎ、弓道場についた。





ありがとうございました!


今回の名言


 「ぼっちは一人寂しく何事もやってきた。だからぼっちばひとりでなんでも出来る。なんて、ポジティブになれたらいいのに、

······ぼっち最高。」


                   by 戸羽とば 羽後ひばる


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