私、きらめき銀行青空支店の紺野みゆり です
わたくし 「キラメキ銀行 青空支店」の
紺野 みゆり と申します。定期預金、融資
資産運用などご質問やご不明な点など何でも申し受けますので宜しくお願いします。
と私は目の前の老婦人、田所鈴代に名刺を差し出した。この、田所鈴代は大口の取引先の田所興産の先代の奥様で先代が亡くなった後、息子へ引き継ぐまでは自分が取締役として経営していた。なかなかの手腕で会社を大きくしてきたようだ。この田所鈴代の来店の目的は孫のお嫁さん候補捜しともっぱらの噂だ。私、紺野みゆりは26歳 彼氏なし そろそろ結婚を視野に入れたいが去年のクリスマスイブに彼氏から他の人と結婚したいと突然の告白。納得いかず問い詰めると浮気が本気になりその彼女は妊娠までしているというではないか。人を馬鹿にするのもいい加減にしろーと2発殴り別れたという
経緯があるので願わくば玉の輿にのり早く結婚したいと思っているところへ田所鈴代の来店。
「田所様、今日はどのようなご用件ですか?」私は自身の最高の笑顔を振り撒きながら応対した。
「あのね、言いにくいんだけどね」
目の前の田所鈴代はなかなか目的を言おうとせずに下を向いて手に持ってるハンカチを握りしめている。これが会社を切り盛りしてきたかつての女社長とは誰も信じないだろう。今は小柄な体をより一層、縮めて年よりも遥かに老けて見える。私は優しく丁寧に声をかけた。
「田所様、どうかなさいましたか?なんだか
元気がございませんが私で良かったら御話し下さい」田所鈴代はモジモジしていたが意を決したのか背筋を伸ばし話し出した。
「実はね、孫の英明から電話があってね。なんだか、モソモソと泣いたようにしているから私はどうしたの?英明でしょ?何かあったの?と言ったのよ。そしたら、僕は大変な事をしてしまった。って言うのよ。私はどうしたのか話しなさいって言っても他の人に話しがわかったら僕は終わりだ。って泣くのよ。もう私も心配になっちゃって、お婆ちゃんで出来ることあるの?って聞いたら、お金が必要だって。で、いくらなの?と聞いたら500万って言うのよ。用意できない訳じゃないけど最近は銀行もすぐには引き出してくれないじゃない。それで、すぐには無理かもよって言ったら、じゃあ、今日は200万くらいでいいからって。で、私、急いで出てきたの。でもね、印鑑を忘れて来たのを思い出して家に戻ったらお嫁さんがいたのよ。会社の通帳や息子の通帳はあの人が握っているんだけど近頃、私の物忘れがひどいからって私の通帳、印鑑まで握っているのよ。使うときにはいつでも言って下さいね。とか言ってるくせにいざ使うからと言っても何かありましたか?とかなんとかうるさいのよね。だから、印鑑を持って来てないのよ。でもね、英明が困ってるからどうしても200万でいいから払い出して欲しいのよ」一気に田所鈴代は話し終えると払い出してくれるものだとばかりにバッグから通帳を取り出していた。私は適当に相槌をうちながら、(全然、お嫁さん捜しじゃないじゃん。それってオレオレ詐欺なんじゃないの!?と孫の英明なる人物が怪しいと思いながら話をきいていた)
「田所様、通帳からのお引き出しは御印鑑がないと出来かねます。本当に申し訳ございません」と言うと田所鈴代はさっきまでの態度とはうって変わりいきなり不機嫌な顔つきになり支店長さんならわかってくれるし長い付き合いだから大丈夫だと言い出した。はい、はい。このお金持ちの方々は自分の思い通りにならないと上司を呼べだの支店長を呼べだの、この銀行とは取引しない。と必ずと言っていいほど言い出してくるのが多い。そればかりとは言えないが……
「田所様、英明様のご両親に相談されては?」
「そんなこと言えないわよ。あの嫁や息子に話したら英明に何て言うかわかったもんじゃない」
(息子夫婦のことが気に入らないのね、特にお嫁さんは……)
「まずは英明様に御連絡をして明日には用意するからとお電話したらいかがでしょうか」
「だって、英明は携帯は壊れてるからって言ってたし。会社に電話しては駄目だと言うし……」
ますます怪しい。
「田所様、恐れ入りますがなぜ、英明様はそんなに500万もの大金が必要になられたのでしょうか?」
「私にはよくわからないけど会社の資金を運用したとかなんとか言ってたけど。あなたも誰にも言っては駄目よ!」
田所鈴代は私を睨み付けた。しかし、会社の運営資金の事など現役から離れたらわからなくなるものだろうか……
「田所様、大変な御話しなので当行も田所様に少しでもお力になれるように信用のある上司と相談しても宜しいですか」と田所鈴代をなだめて上司の大島へ報告した。
「そりゃ、詐欺かもしれないなぁ」とボソッと言うと私へ田所興産の信用状況と世帯を調べるように言った。取引先の内部事情というのは金融機関なら大体の所はわかってしまう。それにお得意様なら尚更だ。
「田所様、いつもお世話になっております。私、支店長代理の大島と申します。」
田所鈴代へ名刺を差し出しながら挨拶をしている。この大島は腰の低さや軟らかい話し方、そして甘いマスクから奥様方からの人気は上々だ。そのため、社内、顧客問わず危なげな噂が絶えない。
「あら、大島さん?見ない顔ね」
田所鈴代は少し怪訝な目つきで大島を見たがすぐに頬を緩ませた。
「さっきの娘さんから聞いてくれた?とても困ってるのよ」
田所鈴代は私のことを娘さんと言い大島へ向かって甘えた口調で話している。
(女というのは幾つになっても女なんだな)
「田所様、大体の事情は分かりました。内容が内容ですので応接室で詳しく御話しをさせていただいても宜しいでしょうか?」
「まぁね、ここよりもそちらのほうが良さそうね」
鈴代はモジモジしていたのが大島と話しているうちに気品ある婦人へと変貌していくようだった。
(大島支店長代理、やるなぁ。あんなお婆ちゃんまで……)
みゆりが応接室へお茶を運ぼうとすると中から鈴代と大島の笑い声が聞こえてきた。
「失礼します。お茶をお持ちいたしました」
「いやぁ、田所様、楽しいお話ありがとうございます。久しぶりに声を出して笑いましたよ。奥様は元気でお美しいからまだまだお声をかけられると思います。」
「大島さん、口が上手いわね。今度、自宅へ来てくれたら運用のお話、じっくりと検討させてもらうわよ」
「ありがとうございます。では、近いうちにご説明へお伺い致します。では、英明様の件はうちから内容等が分かりましたら御連絡を致します」
「じゃあ、一旦 帰るから」
「はい。ご心配でしょうがお任せ下さい。お気を付けてお帰り下さい」
大島は私へ田所鈴代へ帰りを案内するように指示をした。廊下を歩いているとき、鈴代は大島さんって、良い男ね!と笑顔で帰って行った。
「大島支店長代理、どんな手を田所様に使ったんですか?」
「おいおい、人聞きの悪い言い方しないでくれよ。孫の英明様にはこちらから連絡をする。と言ったら納得しただけだよ」
「英明様へ連絡するんですね」
「まぁ、一応ね。携帯の番号を教えてくれたからかけてみるよ」
窓口へ戻ると隣の香坂もと子が声をかけてきた。彼女は34歳パート勤務。噂好きな主婦ってとこだ。少し苦手なタイプ。
「ねぇ、さっきの田所さんよね?何したの?
応接室まで行って帰りは上機嫌だったじゃない」
(この聞き方が嫌だ。まるで週刊誌の取材みたい。取材うけたことはないけど)
「はぁ、なんか孫の英明さんへお金を送りたかったみたいです。よくは私もわかりません。金額が大きかったから大島支店長代理へお願いしました」嘘は言ってない。
「あら、そうなの。いいわ、後で大島支店長代理に聞いてみようかしら」
この香坂もと子と大島支店長代理の噂もチラホラ出てるようだ。彼女、主婦にしては化粧も上手だし子供を二人産んだ体型ではない。悔しいけど女っぷりは完全に負けている。
大島が近づいて来て私の前に立つと紺野君、ちょっとと呼び出された。香坂の視線が背中に突き刺さってきた。(私、この人全然タイプでも無いし不倫なんて有り得ませんから)
大島は先程、携帯の番号に電話したようだ。
「携帯が繋がらないんだよね。うちに英明さんの取引あるか一応、調べてくれる?紺野君、わかったら電話かけてみてよ」
(コイツ面倒になってきたんだ)
「はい、分かりました。もし、連絡がついたらどのように話したらいいですか?」
「適当に話しておいてよ。お婆ちゃんが心配してるからって。じゃ、お願いするよ。僕は今からお得意様のところへ出掛けなきゃいけないから宜しく!」
(面倒な事は人に押し付けるよなぁ。だけど
お仕事、お仕事。でも、田所鈴代からは定期も投資も大島へ持っていかれるよなぁ)少し塞ぎ込みながら席へ戻ると香坂もと子が冷たい目つきで睨み付けた。しかし、窓口で応対していたためすぐに笑顔を客へと向けた。
(さてと、調べますか。)
私は自分のPCで田所英明、田所興産、田所 鈴代と入力し顧客名簿へアクセスした。
(田所英明 あるじゃん。ふーん、結構、預金残高もあるし給与額もそこそこ大きい。田所興産の子会社を任されてるんだ。やっぱり詐欺だよね。お婆ちゃん可哀相。本当に孫の英明だと思ってるのに)
「社長はあいにくただ今、不在にしております」
私は英明が任されている会社へ電話を入れてみた。
(こんな時に限って居ないって、鈴代さん余計に信じるよ)
「みゆり、田所さんから電話!さっきのお婆ちゃんみたいよ」
同期の今井友里恵が電話をつないだ。
「はい、お待たせいたしました。紺野でございます。田所様、まだ英明様と連絡がとれずに申し訳ございません」
「紺野さん?さっき、英明からまた電話があったの。急がないと英明が大変なことになるのよ」
田所鈴代は居ても立ってもいられないでいる様子が電話口でも手に取るようにわかる。
「田所様、落ち着いて下さい」こんな人を騙してお金を騙し盗ろうとしている偽英明に腹が立ってきた。
「田所様、電話に履歴が残ってないですか?」
「わからないわ。どこを押せばいいの?」
田所鈴代はイライラした様子で話した。
「もう、わからないわ。貴女が来て見てちょうだい」電話をガシャリと切られてしまった。このまま放って置くわけにもいかず、かといって私にはどうすることも出来ない。そこで頼りないがよく女子行員の愚痴を聞いてくれる馬場主任へこれまでの経緯を話した。
馬場主任はずり落ちた眼鏡をあげながら
「そおかぁ、心配だねぇ。英明さんと話しが出来たら一番いいんだけどねぇ」
語尾がのびることにイライラしていたら
「詐欺かどうか分からないけど警察署へ相談してみようかぁ」
警察!事が重大になってきた。しかし、あのお婆ちゃんが大金を騙し盗られたら息子夫婦や孫に何と言われるか。それより何より可哀相すぎる。せっかく今まで頑張ってきたのに。御主人を早くに亡くし息子が後継者になるまで自分で会社を切り盛りし、子供達を大学まで進学させやっと、自由になるかと思ったらお嫁さんに何もかも実権を握られてしまった鈴代のことを思うと切なくなる。
鈴代は電話の受話器を戻すと不安で押し潰されそうになった。
……銀行も息子たちもあてにならない。でも、本当に英明なのかしら?
鈴代は電話の主が英明ではないような気がしてきた。一旦、英明とは違うと思うと不安と恐怖で眩暈がしてきた。その時にまた、電話のベルが鳴った。相手は非通知となっていた。そう言えば、前に英明がお婆ちゃんが知らない相手からの電話をとらないようにと言って相手の電話番号がわかるようにと電話機を替えてくれたのを思い出していた。そんな英明がこんな訳のわからない電話をしたりはしないわね。静かに鈴代は受話器をとった。
「もしもし……」
みゆりは馬場へ警察へ連絡することを承諾していた。
「はい、それがいいと思います」
馬場は警察署に電話すると近くの交番へ連絡するからそこへ、田所さんを連れていって欲しいと言われたようだ。
気は進まないがこの事を鈴代へ伝えなければならない。
鈴代へその旨を電話で伝えると
「どうして、警察に行かないといけないの。英明の事を言ったの!?」凄い剣幕で罵ってきた。(だよね……英明さんのことが心配なのに)
「申し訳ございません、鈴代様。私、本当に心配なんです。英明様の事というよりも鈴代様の事が心配で…… 」
鈴代が先程とは打って変わって落ち着いた様子で話し始めた。
「分かってるわ。貴女が言いたい事は。詐欺だと言いたいんでしょ……もう、大丈夫だから。心配かけて悪かったわね。色々とありがとう」と鈴代は電話を切ってしまった。その後は何度も電話しても留守番電話にしたままだ。私は胸に割り切れない気持ちを抱え、大島や馬場へ報告した。上司たちは銀行がこれ以上首を突っ込む権限はないからとこの話しは終わってしまった。
本当にこれでいいのかモヤモヤしながら1日の業務を終えた。制服から私服へ着替えてるときに友里恵が飲みに誘ってくれたが気分が乗らず断った。私は帰りに田所鈴代の家に寄ってみようかと考えていた。
鈴代の家はすぐに分かった。と言うかタクシーに乗ると行く先を田所興産の自宅だと説明すると直ぐに分かったようだ。自宅の前に立つと日本建築のしっかりとした門構えでインターホンを鳴らすのに気後れするほどだ。
恐る恐るインターホンを押すと女性の声で答えてきた。鈴代の声ではなさそうだ。
「どちら様でしょうか」
「あの、すみません。私、紺野みゆりと申しますが鈴代様はいらっしゃいますか」
「奥様でしたら別宅におられますが、お約束はなされてますか?」
「いえ……約束はしてません。ただ、ちょっとお話したくて…」
(こんな風に言ったら怪しまれるよね)
「しばらく、お待ち下さいませ」
しばらく待たされていたが中から前掛けをしたいかにもお手伝いさんという感じの女性が出てきた。その女性が声をひそめて
「奥様のところへご案内します」と言って
裏手の別宅へ案内してくれた。
さっきの自宅よりも少しこじんまりとした別宅だがそれでもうちの自宅よりも大きく見えた。
中から鈴代が笑顔で出迎えてくれた。
「紺野さん、最初、名前を聞いても分からなくて。キヨから若い綺麗なお嬢さんだと聞いて銀行の紺野さんと思い出したのよ」
「いやぁ、綺麗だなんて……」
私は照れながらもどうしても鈴代の事が心配でもう一度、話をしたかったと突然の訪問を詫びた。鈴代は少し沈んだ顔つきになり泣き笑いのような顔を私に向けた。
お手伝いのキヨが紅茶を出してくれたので鈴代とゆっくり飲んでいると鈴代が静かに話を始めた。
「最初は本当に英明が電話をかけてきたと思ったのよ。だから、急いで銀行へ行ったの。でも、よくよく考えたらあの子がそんな事をするはずがないのよね。英明は父親の義正よりも機転がきいて会社も大きくしてるのよね。そんな子が私へ泣き言を言ってくるはずないのよね。それに運営資金を簡単に私用に使えるほど曖昧な管理はしていないのよ。私も老いぼれてしまったわ」寂しげに鈴代が言った。
「そんな事を考えてるところにまた、電話があったの。私は大分、落ち着いていたから電話の相手にあなたは誰?と聞いたら返事がなくて……切られるかと思ったら泣き声が聞こえるの。どうしたの?と私も馬鹿ね、早く電話を切ればいいのに相手の事が気になってしまって……電話の向こうですすり泣くのが聞こえるし黙って待ってたら『ごめんなさい』って小さな小さな声で言ったの。私はちょっと
びっくりしてしまったけど、電話の向こうで本当に泣いてるって分かった。よく聞いたらまだ、幼い感じの声だし。私はどうしてこんな電話したのか聞いたの」
鈴代が言うには、電話をかけてきたのは高校一年生でグループの先輩から強要されたらしい。そのグループの中の先輩というのが暴力団にいる友達とぐるになってオレオレ詐欺の手伝いをさせているらしい。組織ぐるみで若い子がいいように使われてるのかもしれない。その電話をかけてきた子はこんなことをするのは初めてで先輩からの暴行が怖くて殺されるかもしれないと嫌々ながらも電話してきたようだ。そして、明日、鈴代はその子にお金を渡す約束をしてしまっていた。
鈴代はその子が不憫で可哀想になりお金を持っていかないとその子が酷い目に合うからと
お金を持たせようと思ったらしい。
私もその子が可哀想に思う。思うけど本当にそれでいいのか……でも、もしその子が嘘をついていたら。胸の中でぐるぐるとした思いが渦巻いてきた。
「鈴代様、本当にそれで良いのでしょうか?もし、その子が嘘をついていたら?こんな事を言ってはいけないのかもしれませんが
その子の手口かもしれません」
「ここでは様はやめて。銀行ではないのよ」
鈴代は優しくみゆりへ言った。
「私だって、それくらいは考えたわよ。また嘘なのかもと。でもね、いいのそれでも。その男の子が困らなければ。私は騙された振りをしていようと思うの」
みゆりは段々と胸に苛立ちを覚えてきた。
「ダメです!鈴代さん。それでは駄目です。その男の子も鈴代さんも。明日は私も一緒に行きます。鈴代さんが駄目だと言っても付いて行きますから」
鈴代は観念したかのように静かに頷いた。
「あなた、夕飯まだでしょ?良かったら付き合って下さらないかしら。キヨの料理はそこら辺の小料理屋よりも抜群に美味しいのよ」
みゆりと鈴代は世代を超えた友達のように話が弾み夕食を共にした。
「ご馳走さまでした。すごく美味しかったです。キヨさんのパンケーキ絶品でした。そして明日は朝からお邪魔します」
みゆりは深々とお辞儀をすると笑顔で鈴代に挨拶をした。
「キヨさん、あの娘。とても良い子ね」
眼を細めながらみゆりの後ろ姿を見送った。
ただいま‼
私は子供みたいに言ってみた。奥から呑気な声で母親が応えた。
「おかえりー」
私は何となくホッとして、いつもの日常がこの上なく嬉しかった。
母親の早織がお茶を淹れてくれたのでわざとらしく啜りながら飲んでみた。
「どうしたの?おばあちゃんみたいな飲み方をして」
母は笑いながら私に言った。
「お母さん、もし、いきなりオレオレ詐欺の電話があったらどうする?」
「そうね、お母さんがあなた達の声を間違える訳が無い。と言いたいけど実際は動揺して本気で騙されるかもしれないわね。どうにかしてあげたいって思うのかもね」
母の言葉を聞いていたら鈴代を騙そうとしている犯人達に怒りが涌いてきた。家族を救いたい想いにつけこんでいる卑怯者。もし、自分が愛する家族や愛する人がこんな風に騙されても騙されるほうが悪いって言えるのだろうか。
明日は必ず鈴代に付いて犯人を捕まえてやる。でも、鈴代は電話をかけた少年を助けたいと思っているのが気掛りだが……