表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/8

【illusion】制作秘話。




※自作小説「illusion」の本編を書き終えての話になるので、先に本編を読んでいただけると幸いです。





<企画のはじまり>


 この話は、実在するお店で、非現実的な出逢いをすることから始まっています。

 それは物語の始まりという意味でもありますし、一番最初に考えていた、描きたいメインの部分でした。

 逆に言うと、当初はそれしか考えてませんでした。


 物語の始めに登場するお店は、僕が小学生〜中学生の間、よく通ったお店です。

 雑貨屋というか、実際は文具屋さんなのですが、一階は文具や本、二階にはゲームやCDなどを売っていました。

 それが、確か僕が中学3年生頃に閉店してしまったんです。

 僕の家の近所でCDや本を売っていたのはそこだけだったので、本当にショックでした。

 ……まさしく、五郎と同じ気持ちだったんです。


 実在する景色を文字に書き起こすのは苦手なので、本編でもなかなかわかりづらい説明になってしまったと思います。

 けど、この作品のテーマは『現実の中の非現実』です。

 実際の体験のようなリアリティに、現実を壊すような人物や出来事を掛け合わせたら面白いんじゃないかと思って書きました。


 illusionは、日本語にすると"幻想"です。

 現実的な思考をしている五郎と憧れを純粋に求めるなつこが出逢うことで、どこか幻想的な日常になるんじゃないかと思って付けたタイトルです。

 作中で起きることは、ありえないことのように見えて、実は現実でもありえることなのかもしれませんね。




<書ききれなかったこと>


 物語を書いていると、脱線をしてしまうことが多々有ります。今回もたくさんありました。

 実はこれでも割愛している部分がありまして。筆者自身まだまだ未熟なので、色々と説明や表現が足りない部分は有りますが、本編に現れていないだけで、考えている部分もあります。いわゆる裏設定です。


 例えば、なつこの両親の話等ですね。

 美冬が何故「黒影と名乗っているのか」簡単に説明をしましょう。


 美冬の母親は結婚して美冬を生んだ後、姫条家に夫を置いて、別の男と逃げてしまったんです。

 美冬は母と新しい父のことを好きで、姫条家のルールの外でほそぼそと過ごす日々は三人にとって幸せそのものだったのですが、あるとき美冬は両親を事故で亡くしてしまうんです。


 その後美冬を引き取った元の父親は、美冬を姫条家の娘として厳しく育てるのですが、美冬自身はその運命を受け入れられず、心を閉ざしてしまうんです。

 表面的なお嬢様。……なつこと同じように仮染めの姿で生きて行く中で、ある日のパーティーで一人の男性と出会います。それがアルマンです。

 アルマンは五郎と同じように、仮染めではなく本当の美冬の姿を見て、やがて恋に落ちていくことになるのです。


 当時の美冬の本当の姿は、桜に似ていたとアルマンが本編で話していますね。

 アルマンと美冬が結婚した後についても少し考えてはありますが、割愛します。

 結果としてアルマンは姫条家のことで忙しくなり、美冬はなつこのお世話を一人で行うようになったのですが、美冬がなぜメイドになったのかというと、まあそれは可愛らしい理由なんですよ。各々想像してみてください。


 本編が予定よりも長くなってしまったので、こういう割愛部分が生まれてしまったのですが……、長く書いたからこそ、終盤はドンドン色んな話が繋がってきたなぁと思います。

 マッサージ券なんてその場の思いつきだったのに、後から見ると伏線みたいに思えますね。(笑)




<予定になかったこと>


 実は、桜は当初……全く登場する予定がなかった人物です。

 それだけでなく、主人公の「僕」を山吹五郎という名前だと決めたのは、本編中で名前が登場する直前のことです。


 なるべく少ない人数で組み立てたかったので、書きはじめの頃は、名前で言ったら「なつこ」しか存在しなかったです。

 というのも、主人公の名前を考えるのがそろそろ面倒くさくなってきまして……。複数の物語を同時に企画してしまうので、どうしても主人公の名前ばっかり考えるハメになるんですよ。

 いっそのこと、あなたとかキミ、とかで呼ばれ続ければいいんじゃないかと思いながら書き始めて……、途中で名前がないことがあまりに不自然だと感じて付けることになりました。


 メイドの黒影さんの正体についても、後からついてきた感じですね。自分で書いているのに、自分で事情を読み取っていくという謎のスタイルです。




 喫茶ミトウに関しては、登場シーンが意外と多くて驚きました。

 行きつけのお店っていうのが一つあれば色々と都合が良いと思いまして。そこのマスターの娘が五郎の幼馴染みである桜だというのも、スポッとハマった感じです。

 ……ただ、初登場シーンではその事実がわかりづらいと思います。ふんわり隠しておいて、読者さんを「そうか、そういうことだったのか!」と驚かせたかったのですが、技術不足です。


 しかしそんな喫茶ミトウがエピローグに登場しなかった理由は、その……単純に忘れていました。

 っていうか考えてみたら、マスターと五郎が話しているシーンほとんどないじゃないですか! 昔からお世話になっているという話が本当なのかどうか、怪しくなってきますね。

 マスターをもっと話に絡めればよかったと、少し後悔してます。


 それと、この物語は長編になったため話を分けたのですが、話数を分けたのは物語が完成した後なので、見てみるとわかる通り、各話の終わり方はややまとまりが悪いです。

 本来、数行後には「次の日……」となるところで次話に続いているためですね。


 ただ、一つ一つ上手くまとめる自信も無いですし、予定調和はほとんど無いので今後も同じようなことになると思います。





<描きたかったこと>


 僕の場合、企画を立てた段階では、テーマはふわっとしているんです。

 書いているうちに、こういうものを描きたいっていうものが浮かんでくるんです。


 今回描きたかったのは、いかに幻想的なものを現実にできるか。特に、その中にある葛藤ですね。

 悲しいこともあるだろうし、楽しい物もあるだろうし、熱いものもあるだろう……と。そういうドラマを描きたかったという思いが強い作品です。

 決して重い雰囲気の作品ではないですけど、それでも後半では憂いだとか、状況を打開したいという熱い思いだとか、そういうものを描きたいと。いやむしろ今書けないと今後色々な物語を書いていくのは難しいと思いましたので、これは一つの挑戦ですね。




 挑戦と言えば、エピローグの中で自分の中では大きな挑戦をしています。

 それはダニエルの登場です。


 個人的には複数の女性に好かれたままでいる……いわゆるハーレム状態が好きで、幼馴染が誰かに持っていかれるなんて以ての外なんですよ。

 なので逆に、嫌いなことをやりました。


 そうしないと真に幸せにはなれないと思いましたから。五郎にとっても、桜にとっても、なつこにとっても。

 でもダニエルは五郎とどこか似た印象なので安心しました。なんというか、親心ですね。桜にも幸せになって欲しいです。




 さて、この「illusion」は間違いなく今までで一番力を注いだ物語です。

 本気を出して負けるのが怖いから、出し惜しみしまくってしまう人間ですが、今回は全力を出し切ったと明言しておきます。

 だけども、まだまだダメダメです。


 本気で取り組んだからこそ、けなされたらそれはもうショックです……。

 だけど、本気を出さなかったら今後良くなることは無いのでしょう。これは次へのステップです。

 ただ……全力がこんなにも弱いものだと知ると、我ながら残念でならないです。書き方によってはもっと面白い作品になると思いますし。


 同じ作者でも数年後に書いたらもっと良くなるかもしれない、だけど今出せる全力はこれだけ。

 そう考えたら悔しくて仕方ないですよ。

 それでも、少しでも楽しんでもらえるような物語を書いていきたいです。

 いつかやってみせる、じゃなくて、今できることを全力で。


 作品の内容に関する話から、自身の話になってしまいましたね。

 「illusion」で描きたかったことが少しでも多くの読者さんに伝わるように、祈っています。




<エクシフォードXX!>


 ……なんでしょうか、このタイトルは。


 本編を読んでくれた方なら、もしかしたら覚えているかもしれませんね。

 なつこと五郎が出逢った時に、二人が盛り上がった(正確には、なつこが一人で盛り上がった)ゲームのタイトルです。


 なつこのセリフから察するに、シリーズものの最新作みたいですね。

 愛称は「エクフォ」です。


 作中ではゲームの話がいくつか出てきましたが、それは僕自身が小説の執筆以外に、ゲームに関する活動をしている影響なのかもしれませんね。

 ただ、オンラインゲームはやったことがないので、どこかで聞いた話だとか、想像の中での話とかが混じっているのですが……ゲーマーなら何か共感できる部分もあるかもしれませんね。


 ちなみにゲームセンターでのクレーンゲームは、僕自身は苦手です。全然取れません。(笑)




 恐らく誰も興味のない話をしたところで、制作に関する話を終わりにしたいと思います。

 あまり多くを語ると、作品の雰囲気を壊してしまいかねないですから。というか既にちょっと話しすぎてしまったかもしれませんね。


 次回作も楽しみにしてもらえると嬉しいです。



 それでは、また。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ