約束
墓を後にしたジャスティスは、寄り道をせずに村の門へと向かった。
「とうとう、ここまで来ちまったな。」
門前で、ジャスティスはポツリと呟いた。
ー今まで、俺が育った村。この村には、俺の家族で在りながら、憧れの人がいた。もう死んでしまったけど、俺の中で生き続けている。その人とは、一旦お別れだ。でも、必ず帰ってくる。約束だ!ー
心の中でそう叫ぶと、門を潜ろうと足を前に出しかかったその時。
「ジャスティス・・・!!」
後ろの方で、聞き慣れた声がした。
振り向こうかと思ったが、顔を見たら泣いてしまいそうになったから、振り返らなかった。
「ねえ、どうして挨拶もしないで行くの?」
「しなくちゃいけないか?」
声の主は、まだ震えているのか、声がかすかに震えている。
「質問に、質問で返さないでよ。・・・それより、どうしても行くの?」
「・・・・・」
ーーどうしても行くの?
その質問に、ジャスティスは答えられない。いや、答えたくなかった。
「どうして!?どうしていくの!?死ぬかもしれないのよ!!?」
「確かに、死ぬかもしれないな。」
「だったら・・・!!」
「でも!!」
ジャスティスは、ゆっくりと振り返った。
しかし、涙は出なかった。むしろ、なぜか安心した。
「俺は!!!死なねぇ!!!!!」
「!?」
「カインド、約束する。必ず生きて、帰ってくる!!」
それだけ言い残して、ジャスティスは門から続く道を歩んでいった。
「約束ですよ!!!」
ジャスティスの背中に向かって、カインドは叫んだ。
その叫びに、ジャスティスは手を高く上げて答えた。