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取り乱してしまいました。

「説明?それは何のことでしょうか。私が連れてこられたもとい誘拐されたことの説明でしょうか?あぁ、なにやらあるようですね。ところでそれはわざわざ何の説明もなしに連れてくるほど切羽詰まった状況下で行われていたのですか?あぁ、そうとは露知らず出過ぎた真似を致しました。しかし、私にも事情というものがあるのです。あなた方はそんな人様の権利を無いものと扱ったといっても過言ではないと思います。えぇ、この世界は私が住んでいた世界とは全く別物のようで。でも、だからといって私の住んでいた世界の後処理を疎かにしてもらっては困るのですよ。」


にこり、と微笑む私とは対照的に引きつった顔でこちらをみる皆さんがいて、ここまで言われるとは思わなかったんだと気づかされる。生憎、こんな所で涙を流すほど安く売ってはいないつもり。強がりだとわかっていてもそれは守ってくれる人がいないからこその鎧。


 だからね、浩貴。頑張るから。


「私があなた方に要求するのは三つです。

一つ目は、衣食住の保護

二つ目は、身体の保護

三つ目は、私の住んでいた世界に連れ去った時から誤差一秒以内で返すことこの三つです。これが破られなければ私はあなた方の求める要求を私が出来る範囲内で死力を尽くしましょう。

どうです?悪いお話ではないと思いますが。」


陛下を見て要求する。一見対等に見えて私が優位に立てるようなものだけど事実、私が拒否をすればあちら側は強くはでられないはず。陛下は唸るように考えられてからまだ迷いもあるだろうが了承してくれた。


「では、この場にいるすべての人が承認だということで。そして次に、私をさらってまで必要だと判断した理由は何です?説明とやらを聞かせてくれるのですよね?」


目の前で言葉をはかりかねてる陛下は軽々しく何かをする人でも臣下の言葉に簡単に惑わされるような人でもないと考える。けれど、じゃあ何故そこまでして強引に私を連れ去ってきたのだろうか。推測ならいくらでもできるが、それはあくまでも推測でしかない。推測はどんなに現実リアルでも推測の域をでるわけがない。


「ここでは人が多すぎる……。場所を変えてもよいか?」


「はい、別にどこでも。」


「なら私の私室に案内しよう。グラン、お前も来い。」


「え、俺もですか?」


驚きを隠さずに自分を指さしながら問うグランさんに陛下は当然だと頷く。あ、そうだと私が声を上げると2人ともが私を何だと言わんばかりの目で見てくる。うん、頭かたそーな人たちだな。


「この国に宰相さんとかおられます?出来ればその方ともお話ししたいのですが。」


「………わかった。グラン、お前はアルフォンス宰相閣下にお時間があるか聞いてこい。」


「わかりましたよー、宰相閣下ですね。」


グランさんはひらひらと手を振りながら先に歩いていく。残ったのは私と陛下だけ。うん、なんだこの気まずい状況は。そんな私に気付いているのかい無いのかやや堅めの声で行くぞと言われて慌てて陛下のあとを追いかける。

扉からでて誰もいない廊下にでて暫く無言で歩いた後、陛下はポツリと言葉をこぼした。安堵の溜息と一緒に。多分、何の気なしにだったんだろう。私は大きく深呼吸をしてから聞き間違いかと思いもう一度聞いた。


「もっと取り乱すのかと思ってたのだか、安心した」


「………」


一瞬言葉を失ったのは、あまりにも___。


「……失礼ながら、……私が取り乱していないとでも?いきなり、違う世界に連れてこられて困惑すらしてないと?」


吐き捨てるように、荒々しくなった言葉に陛下は大きく目を見開いて私をみる。なんで、そこまで驚くことでもないでしょうに。自虐的に笑った私は陛下を見据える。


「冷静、でいなければ自らの身すら守れないことは貴方には理解できませんでしたか?困惑する頭を必死で押さえつけ無理やりすべてを飲み込んで理解して、自分という立場をわかろうとしている最中だと気付かないのですか。……貴方は___。」


「いや、……そんなつもりは」


口ごもる陛下に笑える、と思ったのは事実。仮にも一国の王である彼が小娘としか言いようのない私に狼狽えるなんて。これからお世話になる、ならないといけない身だけどここの線ははっきりと引かせてもらわないといけない。


「そんな状況で、加護すら与えてくれるとわからない状況で無闇に自らをさらけ出すことができるはずがない。生きていけるかもわからない中、私が泣き叫ぶはずがないでしょう?」


地雷、という名の怒りの発端をこの陛下にはわかっていてもらわないと困る。今まで臣下といえどもましてや女からこのように言われたことはないのだろう。驚き、惑い、怒り、哀しみ、色々なものがぐちゃぐちゃになってはあふれている。


 あぁ、いつもこうだ。


私が何か感情にまかせてしまうと結局相手は黙り込んでしまう。反論も言い訳もなくなってただ小さくなっていく。浩貴意外は__。浩貴だけは行動で表してくれる。私の思いも全て肯定して、でも諌めてくれる。とても、大切な存在だったのに___


「……それは、すまなかった……」


陛下はかなり居心地が悪そうに謝罪をした。多分、何に対しての謝罪なのかわかっていないだろう。けれど、このまま怒っていても埒があかない上に危うく殺されるかもしれない。まだまだ言いたいことはあるけれどひとまずはおなかのなかにためる。うん、これでまた穴があきそうだ。


「……いえ、此方こそ取り乱してしまい申し訳ありません。」


「いや、無礼を働いたのは此方だ。謝らないでくれ」


気まずい雰囲気が流れる。けれど私に話をするという責任があるからこそ保っているものであってこれは我慢するしかないのだ。陛下は行くぞと一声かけて止めていた歩みを再びはじめる。それについて私も歩きだした。


どちらとも口を開くことなく長い廊下を歩いた。




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