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3話

エルの無関心を横目に見ながら、シエナは依頼書をそっとテーブルに置いた。

男勝りな性格の割にはガラス細工でも扱うかのように丁寧に依頼書を扱っている。

気まずそうな空気だが、それを変えるように話を切り出した。

「とりあえず……今回の依頼だ」

エレナとレオが紙を覗いた。

そこには希少素材であるマンドレイクが乗っていた。

二股や三股に分かれた根が特徴で、魔力濃度が高いところにしか生息しない植物。幻覚作用のある毒性があるものの魔力量が圧倒的に多い。そのため、薬や膨大な魔力を消費する魔法で使われることが多い。もちろん、社会の裏側では薬物としての需要もある。

「マンドレイクね~。場所は分かるの?」

「場所か?近くの密林にでもいけばあるだろ」

シエナは楽観的な回答をした。

幸いにもこの周辺には魔力濃度の高い場所が数多くある。適当に回れば一個は見つかるというボーナスステージのような地域だ。それ故、困ったらマンドレイク探して置けば、飯が食えるとまで言われている。シエナは過去にその話を鵜呑みにして、マンドレイクを探したら、ちゃんと見つかったという経験が10回以上あるのだ。だから、この発言に繋がったのだろう。

「そうなの?だったら、いいね」

彼女は能天気な声で答えた。エレナはあまりこの場所に詳しくない。物事を信じやすい性格が故か、シエナの発言を疑う様子がない。

「……なくなっているかも……」

サクサクとした音と同時に声が響いた。

相変わらず、感情が乗っていないエルの声だ。

「今日、ギルドの新聞に書いてあった」

「そうなのか?」

「そう」

エルがアップルパイをかじりながら、床の隅においてある新聞を手に取った。

シエナに「これ」と言いながら、パイの安い油がついた新聞を渡す。

欄外の隅に小さく書かれている気にも止めないような小さな見出し。しかし、実情を知るものからしたら、無視できない内容だった。

『エルフ産マンドレイクの輸入量前月比400%を記録。都市部の卸売市場にて低純度品価格暴落か』

これを見たシエナは顔をしかめた。

「つまり、私がマンドレイクを見つけてもギルドは高く買ってくれないっていいたいのか」

「そう。ギルド馬鹿じゃない。多分、安いマンドレイク買わないっていう」

「チッ」

シエナは聞こえるように舌打ちをした。冒険者は楽じゃない。死と隣り合わせな割には見合わない報酬が多い。その中で、マンドレイクは比較的楽な仕事だった。それを一方的に封じられたられるかもしれないとなれば、乗り気ではないだろう。

「ろくにリース代も払えないのによ。なんで、これを封じられんだ。おい!行くぞ。買い取られるうちにさっさと刈り取ってやる!」

シエナはそういうと、急いで宿を出た。依頼書は部屋に置いてある。エルはアップルパイを口に放り込み、エレナは

「レオくん、行こ」

とレオを誘い、シエナに付いて行った。


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