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#6

「あー、今日も眠れなかった…。」

毎日、毎日渉からの攻撃?誘惑にやられて、太陽は不眠続きである。

NINEのトーク画面を開けば渉の写真だらけ。

あいつは、悪魔だ。と、思う。

正直、その誘惑に逆らえそうになくなってきてもいて。

二人きりにはならないようにし、出来るだけ避けた。

しかし、修学旅行という一大イベント当日がやってくる。

「なんで…同じ部屋なんだよ…。」

二人きりでは、ないが。

なんだか、太陽は恐ろしく感じていた。


「おーい、渉。こっちこっち!太陽も!」

不機嫌な太陽に、いつになく笑顔の渉を朝日野が呼ぶ。

ここは、清水寺。紅葉が生い茂り美しい。

カメラマンのように、先程からシャッターを切る草ヶ部は最早置いていかれそうになっている。

「あ!」何かにつまづき転けそうになった太陽を渉が支えた。

「太陽、気を付けて歩け。紅葉で木の根が見えなから。」

ふっ、と笑う紳士的な渉がムカつく。

なんなんだか、ずっと嬉しそうな渉は太陽が離れても近くを歩くのだ。

「離せ!お触り禁止!」

バシッと払い除けられる手。

「助けただけだろ?それに…ずっとこうやって綺麗な景色の中を隣で歩いてみたかったんだ。」

「…何を言い出すかと思ったら。」

「近づこうにも、いつもお前には女が周りにいて…嫌だった。」

愁いをおびたような目をする渉に、なんだか卑怯だと太陽は思った。

これは間違いなく、演技だからだ。

ドン引いた目をしたら、すかさず渉はいつもと違うトーンの声色で囁いた。

「一緒に風呂入ろうな、誰もみてないとき…。」

ニコリと笑う。

(こいつ…!ぜってー避けてやる!)


渉、太陽、草ヶ部、朝日野の四人部屋に着き、荷解きをした頃、渉は早速おかしい事に気づいた。

「なあ、草ヶ部。太陽と朝日野の姿が見えないが。何処いったか分かるか?」

目を離していた訳ではないが、荷解きに気をとられていてた。何やら嫌な予感しかしない。

「さあ?」なんて、草ヶ部はどっかいるだろ。というようだ。


ザァーという露天風呂の音がする。

「お前の頭、坊主だから楽そうだな。朝日野。」

「ああ、全身ボディーソープでいけるぜ!」

朝日野はいいながら、自分の手に付いたボディーソープを太陽の頭に擦り付けた。

「やめろよ!俺はこの髪に命かかってんの!」

「言われるほど、やりたくなるわ!お前も坊主になれ!」

「死んでも嫌だねぇ!ちょ、どこ触ってんだよ!」


バタンー。と、扉が開き。


やはりヤツは息をあげながら静かに怒りを漂わせながらやって来た。

何も言わず、どこから仕入れて来たのかも分からないバスタオルを太陽にかけて、朝日野を睨みつけた。

朝日野は何が悪いのかも分からない。


「わ、渉。さっきから何も言わず、俺に服着せるなよ!」

着衣所でのそれはほぼ、強制的に行われる。優しさの一欠片もない。

「痛ぇーよ!渉!」

まるで物みたいに、腕も足も放り投げるように扱われて、太陽は心底腹が立ったが、その唇を渉が手で覆った。

「黙れ!!」

太陽が服を着らされた頃、やっと渉は口を開いた。

「もう、お前なんて…どうにでもなれ…太陽。」

悲しげで、鋭い渉の目付き。

太陽は、その一言の重さに漸く気付いた。

渉はもう自分を見ることをやめるのだと。

髪を乾かす気力もなかった。


「くしょん!」

太陽はあれから何時になく歩みよろうと、渉の機嫌を伺ったりしたが全てかわされてた。

(無視かよ…。)

目も合わせてはくれない。

それよりなにより、昨日髪を乾かさなかったせいか太陽は風邪気味だった。

身体がダルい。熱は…38.5℃。

「仕方ない花柳。お前は別室で寝ててもらう。皆に移ったら困るからな。はいはい!それじゃ今日はお前達は3人で行動してくれ。」

委員長の堀田が言った。

遠退いて行く意識の中で、太陽は渉の姿を目で追ったが。渉は一つも興味はないというような冷えきった表情で出ていった。


「くそっ!なんで涙なんか…熱のせいだ…。」


渉はというと、とてもではないが怒りを抑えられずにいた。

太陽は他の男に裸を見せた挙げ句。触らせてもいた。

到底許せなかった。

元々太陽のこととなると、全てが狂ってしまいそうになる。

進路まで変えるくらいだ。

これを独占欲とか、支配欲とか、嫉妬が異常だとか分かっている。

もう、どうでもいい。それ程腹が立つ。

誰かの言葉を借りれば無関心程怖いものはないという。

だけど、いつまでこうして太陽という光りを求めて、さ迷い続ければいい?

欲しくて欲しくて仕方ないが、手に入らない。


「光か…。」


近づいては、離れ。

離れては、また近づくのだろうか。

しかし、永久にくっつけないものもあるのかもしれない。



修学旅行が終わり、数週間経った頃。


「なあ、あの後輩。毎日、月影の傍にいるよな?」

「昨日、一緒に帰ってる所見たぞ。確しか、光?とかいう。何者だ?太陽知ってるか?」


「…知らない。」


あいつが誰と付き合おうが、俺には関係ないはず。

そう、関係ない。
























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