魔人の国へ 前
久しぶりの更新です。ついに物語が前に進みだします!
さて、これからどうしようか・・・
ボクは王都のにぎやかな街を歩きながらこれからの計画を吟味していた。この世界では黒髪は珍しいらしく、城門を出た瞬間に街の子供たちに物珍しそうに囲まれ、うっとおしかった。のでボクは城でいただいた、獣使いの服のフードを目深にかぶっている。なんだか模様が地味に宗教っぽくて派手なのが気になるが、しょうがない。
ちなみに、今のボクの〈ステータスカード〉はこんな感じだ。
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ムイカ・ナカガミ 15歳 女 レベル:1 属性:闇
体力:10
筋力:10
敏捷:10
耐性:150
魔力:10
スキル:多言語理解
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全部、国王とリリン王女に頼んで平均にしてもらった。だけど、なぜか耐性だけが平均になってない。
というか、倍増してないか!?
リリン王女曰く、「なぜか戻りませんでした」だそうだ。おい、まさか操作したんじゃないだろうな。
ともかく、まず魔人の国に侵入し、魔獣使い見習いになるという予定を立ててみたものの、第一関門からボクはつまずきかけている。
そうだー・・・魔人族とは戦争中だったんだっけ。
魔獣使いになる計画に夢中でそんなこと考えてなかった。今、戦争中の両国の間には櫓みたいの物が設置されていて、侵入者は勿論、出ていく人々も制限されているとさっき立ち寄ったパン屋の爺さんに聞いた。
あー、どうしよー・・・!
ボクは歩きながら考え込む。と、そこで獣使い用にもらったバックから一切れの紙がのぞいているのに気付いた。なんだ、これ。こんな紙切れ入れた覚えないぞ。なんか、嫌な予感がする・・・
丸められていた紙を開くとそこには
「元勇者、ムイカ・ナカガミ。此の者に国境付近の全ての櫓の自由な出入りを認める。
アレーヌ王国王女、リリン・アレーヌ」
────何が何でも、あなたのサポートをさせていただきますよ!!
そんな、リリン王女の生霊が見える気がした。ボクは天を仰いでとおーーーい目をする。・・・・・・・仕方ない。今は与えられたものを最大限に生かすしかないか・・・・。
ボクは、遠い目のまま王都を出ると、国境付近に向かって南に歩き始めた。たしか、そっちの方に歩いて二日くらいのところに魔人族の国があったはずだ。
さてと、まず、第一関門突破。
ボクは街道をゆったりと歩きながら考え込む。
魔人族の国に侵入することはできても、それからどうするかが大切だ。まず、魔人にこのままの姿で見つかったらヤバいだろう。戦争中だから瞬殺されること請け合いだ。確か、魔人は人間と違って肌の色が様々あり、角が生えていたはずだ。何か変装でもする必要がある。
これは角とワイヤーでも買って、簡易カチューシャでも作ろうか。肌は隠したり、「そういう色だ」とでも誤魔化そうか。
そのあと、酒場にでも潜り込んで酔っ払いたちから情報を集めるか。一度、叔父のいじめで居酒屋に放り込まれたことがあったので、ああいう雰囲気には慣れている。その上、酔った客やいい気分の客はいい情報を吐いてくれることがある。必ずしもとは限らないが。
第一関門を突破すると、そのあとはスルスルと決まっていく。後でもしリリン王女に会うことがあったら、お礼を言わなければならなくなりそうだ。
頭の中でブツブツと考えながら歩いて数時間、なぜかボクは森の中の街道で動けなくなった。
あれ?
一歩も動けない。その上、体がすごく重くてボクは道端の木に寄りかかった。
どうしてだ?
首をひねりかけたが、周りを見てすぐに原因は見つかった。考え事をしていたので全く分からなかったが、辺りはすっかり真っ暗だった。出発したのが正午ごろだから、昼食も夕食も食べずに数時間も歩き回ったら流石に体力の限界を突破した、ということだろう。
でも、結構考え込んでいたとはいえ、そんなことも自覚しないなんておかしすぎる。
うーん、と考え込んで、ボクは不意に思い立った。〈ステータスカード〉を開いてみる。そこには「耐性:150」の文字。
これだ。これが原因だ。耐性とは毒とか物理など戦闘系のものだと思っていたが、これはすべての耐性を示しているのではないだろうか。空腹耐性、疲労耐性・・・などなど、ここまで来たらもう、”感覚の麻痺”とかに近いんじゃないだろうか。しかし、ある意味鈍感と言えるだろう。ありがたいが、迷惑。リリン王女はすごいことをしてくれたものである。
あー、疲れたー!
耐性と合っても、自覚すればなんだか精神的に疲れてきた。ボクは大の字になって夜の街道の道端で眠り始めた。後で考えてみたら、獣とか人とか結構危ないことしてたなと思った。
真夜中を過ぎたあたりだろうか。深い眠りから浅い眠りに切り替わったところでボクは何やら甲高い声のようなもので目を覚ました。
「キーッ、キキキーッ!」
なんだ?
ボクは目をつむったまま、耳を澄ました。だんだんとそれはしっかりとした言葉になってきた。
「ねえねえ、あそこでにんげんがねてるよ。あぶないなぁ」
「ばかだね。ここいらへんのみんなはにんげんをよくおそうのに」
何を言ってるんだ?
妙に幼い口調だ。その上、「にんげん」と恐らくボクのことを言っている。
まさか、魔人!?
ここは国境近い人里離れた街道だ。ありえなくもない。
「そこにいるのは、誰だ!」
ボクはバッと起き上がって、声のした方を見た。
「ひっ、きづかれたよ。こわいよ」
「おまえのこえがうるさいからだろ!」
「でも、なんでぼくたちのことばがわかるんだろ?」
?
うるさい方の声が言った言葉に引っ掛かりを覚えたが、ボクは再度、その声達に「出てこい!」と言った。
「どうする?でてく?」
「こうなったらしかたないだろ。でてくさ」
「なにかあったら、まもってね」
「おうよ」
そういいながら近くの草むらから出てきたのは───一匹のネズミとヤマネコだった。
!
ボクは驚きで声をなくした。なんだ、なんでネズミとヤマネコが仲良く会話してんだよ。というか、こいつ等、なんで人間の言葉を話してるんだ?確か、魔獣以外の動物は人間の言葉がわからないはずじゃ・・・。
「あれ、おねえさん、びっくりしてるよ。なんで?」
「おれたちのことばがわかるんじゃないのかな」
「なんで、お前たちはボクの言葉が分かるんだ?」
「へ?」
「へ?」
「へ?」
一人と二匹は同時に首を傾げた。
「つまり、おねえさんはぼくたちのことばをしらずにりかいしていたってこと?」
「こと?」
「そうなのか?」
まさか・・・
そう思ってボクは〈ステータスプレート〉を開いてみた。すると
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ムイカ・ナカガミ
(以下略)
スキル:多言語理解(動物+)
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「・・・・・・」
スキルがなぜか成長していた。つまり、ボクは自覚せずスキルを成長させ、自覚せずこの二匹の会話を理解していたようだ。
でも、なんでだ?
スキルを成長させるには鍛錬が必要じゃなかっただろうか。
うーん・・・
考えてみたが、よくわからない。分からないので考えるのを放棄した。
「ともかく、びっくりさせてしまって申し訳ない」
「え、あ、こっちこそごめん」
「うん、きもちよくねてたのにな」
お互いに誤り、後は解散した。
この時獲得したスキル「多言語理解(動物+)」。これが後に魔獣使いとして大いに役に立つことになることをムイカはまだ、知らない。
読了ありがとうございます。
自分の作品がどれほどのものか知りたいので、評価などなどよろしくお願いします。
(不定期更新なので、とても空くことがあります。月に二、三回のペースです)




