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幕間:「裏ボス」の去り際 ユキヤside

ちょこっと休憩!

────ムイカが勇者を抜ける。


 異世界に召喚されてから数日後。それぞれの天職の鍛錬も始まったころに来たその知らせは僕達、クラスメイトの間に電撃のようなショックを与えた。

 なんでも、彼女は天職を捨て、チートスキルを〈多言語理解〉以外捨て、魔力も体力も平均的な”10”にして勇者を抜けるらしい。

 クラスの中で、彼女は無表情でいつも他のクラスメイトとは違う方向を見ている「裏ボス」のような雰囲気を醸し出す、少し僕としては近寄りがたい存在だった。しかし、なぜか彼女を前にして出てくるのは「尊敬」だった。成績1位であることもだろうが、なぜか彼女にはどんな相手でもやろうと思えば跪かせることのできそうな迫力があった。


 そんな彼女がチートを捨てて、勇者を抜ける。なぜなんだろうか?何か、嫌なことでもあったのか?気に入らないことを僕達がしたんじゃないか?

 そう思ったクラスメイト一同は、城から出ていく間一髪のところで彼女を呼び止めた。


「まって!なんで、勇者を抜けるの?」

「ムイカさん、何かあったのか?」

「気に入らないことでも!?」

「ムイカ!俺たちと一緒に魔王を倒すんじゃないのか!?」


 彼女は自分を取り囲み、口々に質問の嵐を浴びせる僕達をいつも通り、何を考えてるのか分からない無表情で見回すと、静かに言った。


「ボクはもともと、何かに属することは嫌いなんだ。でも、魔王に勝利しないとボクは元の世界に帰れない。そこで、ボクだけ別ルートから魔王を倒しにかかりたいと思ったんだ。それがかなり楽しそうな計画になってさ」

「でも、別にチートは捨てなくてもいいんじゃないか?」


 クラスの人気者で学校一のイケメン、カイトがなぜか狼狽しながら言うと、彼女は鼻で笑った。


「チートほど面白みがないものはない。無双するとしても、実力で得たものとチートで得たものでは心地よさが違うからね」


 その発言に、僕達は冷水を浴びせられたような感じがした。

 そうだ。彼女の言うことはもっともだ。流石、「裏ボス」言うことに重みがある。

 僕達は少しチート能力を持っただけではしゃいでいた。この世界でアニメキャラよろしく無双するんだと浮かれていた。


 彼女は何も言わなくなった僕達を見回すと、何事もなかったかのように歩き出した。そして、何を思ったのか、僕の横で立ち止まると、肩に手をのせ、


「会える日を楽しみにしているよ」


 と僕にだけ聞こえるように言った。

 どういう意味だろうか?混乱している僕をよそに、彼女────ムイカは唖然とするクラスメイト達に見送られながら、王都の町の喧騒に消えていった。


 読了ありがとうございます。この話は前のエピソードを書き終わった時に書きたくなったので作ってみました。


自分の作品がどれほどのものか知りたいので、評価などなどよろしくお願いします。


(不定期更新なので、とても空くことがあります)

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