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勇者、捨てました。

文字数、かなり多くなりました。

 そうして始まったボクらの異世界生活だが、ここまでの感想を言わせてもらうと「最悪」だ。いや、ボクから見ての「最悪」であって、クラスメイト達からしたら絶対に楽しいモンだろう。

 ボクから見てなぜ「最悪」なのか────理由を聞いてほしい。


 まず、転移した次の日。(ちなみに転移した時間帯は夕方だった。つまり、ボクらが元居た世界と時間の流れはあまり変わらないようだ)


「よっしゃー!勇者様方、まずはご自分の属性と能力、レベルの確認です!」


 となぜか、妙に気さくで気合いの入った熱血近衛隊長と一緒に属性・能力(この世界ではスキルと呼ばれる)・レベルの確認を行った。妙に気さくな訳を聞くと、「長い付き合いになるのです!堅苦しいのは無しにしましょう!」とのことだ。ちなみに、他の近衛兵たちにもその口調を迫っていた。気さくなのはいいが、近衛兵が勇者に敬語ナシは逆にやりにくそうだった。

 この世界では身分証明書〈ステータスカード〉に手を当てることで自分の魔力が数値で鑑定され、属性やスキル、レベルがわかるらしい。まるで、ゲームキャラにでもなった気分だ。一度登録すると、勝手に更新されていく。これは、楽だ。

 ここで、この世界の魔力事情を説明するけど、この世界ではどの生き物にも魔力と体力があり、魔力をより多くまとっている種族が魔人と魔獣。人間はほぼゼロに等しいが、中には一般魔人もしのぐほどの者もいる。そういう人達はある意味「魔人に近い存在」なのだろう。

 レベルとは、ゲームで言うのと同じでこの世界での実践や訓練、鍛錬などの経験値などで上昇。つまり、ボクらはレベル:1からスタートだ。上限は100で、平均は一般人はレベル:15前後で、一般魔人はレベル:50ほどらしい。戦争で不利なのも、うなずける。

 スキルはそのまま、「能力」のことで、多ければ多いほど強いってことになる。でも、レベルが上がると「スキルが統合される」というとんでもないことが起きたりするらしい。

 その他、体力なども数値化されている(平均は10辺りらしい)。属性については皆さんご存じの通りなので、省略しとく。ちなみに、ボクの〈ステータスカード〉は以下の通りだ。

:::::::

ムイカ・ナカガミ 15歳 女 レベル:1 属性:闇 〈獣使い(ビーストテイマー)


体力:130

筋力:50

敏捷:70 

耐性:140

魔力:100


スキル:神の幸運、物理攻撃力増大、全属性魔術耐性、物理耐性、高速回復、絶対回避、自動戦闘、気配感知、獣操作、威圧、絶対服従、未来予知、多言語理解

:::::::

 以上だ。

 うん、ちゃんとチート。しかも、〈獣使い〉と書いてあるのがなんだかうれしい。これは「天職」といって、自分に適性のある職業を示しているらしい。どこぞのアニメのような感じだ。念願の「魔獣使い」ではないが、動物が大好きなボクとしてはうれしかった。

 ちなみに、他のクラスメイトの〈ステータスカード〉は・・・


:::::::

カイト・ニシザキ 15歳 男 レベル:1 属性:光 〈勇者(ヒーロー)


体力:100

筋力:100

敏捷:110

耐性:90

魔力:110

  

スキル:全属性適応、全属性耐性、物理耐性、熱耐性、複合魔法、剣攻撃増大、魔術攻撃力増大、魔術防御力増大、光速俊敏、高速回復、気配感知、魔力感知、光速剣術、光速走行、言語理解

:::::::


 などなど、しっかりとチートだ。他のクラスメイトの〈ステータスカード〉も見てみたが、全体的に戦闘系が多いようだ。見て回るうちに気付いたが、スキルや天職に本人の性格や個性が大きくかかわっているようだ。なんか、どこぞのヒーロー達みたいだな。ボクは元の世界でさんざん見たあのアニメを思い出す・・・。


「戦闘系なんて、レアだぞ!いや、流石、勇者様御一行だ!」

「ムイカさんが闇属性って何となくうなずけるな」

「ああ。なんか、妙に耐性と体力が多くないか?ムイカさんらしいや」

「なんか、裏で獣を使って情報操作とかしてそう」


 解せぬ。ボクはそんなに裏ボスっぽくないぞ!

 早速、スキルの中にある〈威圧〉を使って男子たちを縮み上がらせていると、少し離れたところでザワザワと人だかりができている。何だろう。まさか、今のところ最強のカイトをしのぐほどのヤツがいたとか・・・?気になったので、ボクはその人だかりの外側から中の方を伸びあがってみてみた。


「おおい、おい、この〈ステータスカード〉見てみろよ!」


 コタロウ(こいつは〈道化師(マジシャン)〉らしい。本当に性格が反映されている)が一枚の〈プレートカード〉を持って、皆に見せるように掲げている。そこに書かれていたのは・・・


:::::::

ユキヤ・コザワ 15歳 男 レベル:1 属性:草 〈庭師(ガーデナー)


体力:10

筋力:10

敏捷:10

耐性:10

魔力:20


スキル:植物操作、庭生成、言語理解

:::::::


 しょぼ!

 思わず、そう口に出そうになってしまうほど平均的だ。いや、これが一般人の〈ステータスカード〉なのだろうけど、周りとの落差がすごすぎる。ユキヤの無能さはこの世界でも健在のようだ。流石の近衛隊長も、微妙な反応をしている。


「ん?これは?ん・・・うーん・・・その・・・」

「ハハハハハ、何だよ。お前、ここでも役に立たねえな!」

「お城のお抱え庭師になりに来たのか?」


 人だかりの真ん中でののしられるユキヤ。うつむいて、小さくなっている。かわいそうだと思うが、こればっかりはしょうがないだろう。実力だから。コイツにも、どこか能力が生かせる場面があることを祈る。

 それこそ、王宮お抱えの庭師とか・・・それ以外に考えられないけど。


「ま、こういうのは人それぞれだ!それに、鍛錬でどうとでもなるからな!ドンマイ、ドンマイ!」


 おーい。無能とはいえ、勇者に「ドンマイ」は軽すぎやしませんかー?

 そんな近衛隊長の気さくさに苦笑いするボクとクラスメイト達。しかし、和んだ空気をまた爆弾に変える者がいた。


「そうだよ、ユキヤ君。頑張ってね!」

「あ、うん」


 満面の笑みでそう言ったのはヒユカだ。ユキヤは少し照れつつ、うなずく。一気に男女問わずにユキヤへの視線が鋭くなった。

 あー、またか・・・

 ユキヤがいじめられている多くの理由はどんくささもあるだろうが、ヒユカによるものが大きい。ヒユカはクラスのみんなに良くも悪くも分け隔てなく接するのだが、最近、「ユキヤへの視線が他のクラスメイトへのものと違う」という噂が立ったのだ。「どんくさい嫌われ者のユキヤがヒユカに気に入られている」この事実が皆の嫉妬心をあおった。

 今、このクラスではユキヤをヒユカから離すため、いじめる→ヒユカが余計にユキヤに優しくする→余計にいじめがひどくなる→ヒユカがまた余計にユキヤに優しくする。という負のループが起こっている。ちなみに、その噂の元がボクだったりなかったり・・・ってささやかれている。ンなこと、ないだろ!

 今、思ったのだけど、クラスメイト達のボクに対する感想がかなりひどくないだろうか。確かに、ボクは無表情で感情に乏しいけど・・・でも、ポカーフェイスの策略家じゃないぞ!やろうと思えばやれるけど・・・。ボクはただのある中学校に通う学年1位の成績のただの中学生だ!


 そんなボクの心情はよそに、時はどんどん過ぎて行って、一日目はそれで終了だった。


 次の日。早速、獣使いとしての訓練を受けたのだけど・・・


「動物は消耗品?」

「ん?ああ、そうです。どうせ、魔人たちが使う魔獣よりも力が劣ってるんですからね。数で埋めるしかありません。なので、私たちの一番の仕事は獣たちをより多く繁殖させるかですね」


 淡々と告げる、獣使い。

 信じられない。動物を────命をそんな風に言うなんて・・・!ボクは心の奥底からマグマよりも熱い感情が沸き起こるのを感じた。こんなものを感じるのは初めてだ。しかし、このまま怒りのままに暴れまわったら、目の前の獣使いにけがをさせるかもしれない。ボクは理性が押しつぶされないよう気をつけながら獣使いの話を聞いた。

 なんでも、獣使いは魔人の国の「魔獣使い」に対抗して最近できた職業で、とりあえず、獣に詳しい者たちが集まっているだけらしい。付け焼刃の職業なので動物を気遣ってる暇がないのだろう。そんなことは考えればすぐに分かる。分かっている。

 しかし、その夜。


「うゥッ・・・ガあああああァ!!!」


 ついに感情が抑えきれなくなって、咆哮をあげてしまった。うっかりスキル〈威圧〉を使ってしまったらしく、隣のクラスメイトはその夜、眠れなかったとブツブツ言っていた。本当に申し訳ない。

 しかし、「動物がこの世で最も尊い」と思っているボクは「動物を消耗品」だなんて、到底できない。考え、考え抜いた末、ボクはある答えにたどり着いた。

 

 そして今、ボクはこの世界で初めて来た場所・・・あの玉座の間に立っている。


「どうしたのですか?いきなり、『勇者を抜ける』と・・・」

「はい、ボクは勇者を抜けます。別の方向から魔王討伐に動きたいと思っています」


 そう、ボクは「勇者を抜ける」ことにした。

 もともと、ボクは「チート」なんてつまらないと少し思っていた。それに、何かに属すのは嫌いだ。その上、動物を消耗品扱いするヤツラとなんか、協力して魔王討伐できない。その上、勇者のクラスメイト達と群れているよりも、もっと面白い計画を思いついたのだ。

 その旨を伝えると、リリンは顔を曇らせながらもうなずいた。


「分かりました。・・・それでは、これからどうするのでしょうか?あの、何をしようとあなたの勝手だと思いますが、何かサポートできないかと・・・」

「魔人の国に行って、魔獣使いになります」

「ッ!?それは、裏切るということですの!?」

「違います。先ほど申し上げた通り、別の方向から魔王討伐するんですよ」


 ボクはそう言って、動きの乏しい表情筋を使ってポカンとするリリンに笑いかけた。


 さて、計画開始だ。

 その日の正午。ボクは唖然とする国王、リリン王女そして直前に質問攻めに来たクラスメイト達に見送られながら面白い計画を実行するため、アレーヌ王国の城を出た。

読了ありがとうございます。学年1位で「ただの中学生」っているんでしょうか?


自分の作品がどれほどのものか知りたいので、評価などなどよろしくお願いします。


(不定期更新なので、とても空くことがあります)

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