表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/26

新しい街へ向かう元受付嬢

「……ほ、本当に……こっちで……合ってる……?」

街道を歩きながら、ナミは不安そうに周囲を見回していた。

道は広く、人通りも多い。

「合ってる。地図通り」 エリーは即答する。

「……そ、そっか……」

エリーは、肩にかけた鞄を軽く持ち直した。

その中には分厚い本が何冊も入っている。

「この街には、学舎も図書館もある。

 私、ここでちゃんと勉強するつもりだから」

「……が、学者さん……?」 「目指してるだけ。あんたと一緒」

ナミはぱちぱちと瞬きをした。

「……えへ……心強い……」

その直後、石につまずいた。

「わっ……!?」

ぐらり。

「はいはい、気をつけて」 エリーが慣れた手つきで、ナミの腕を掴む。

「……あ、ありがと……」


街道には、同じように街へ向かう人たちがいた。

商人。

冒険者。

旅人。

ナミの視線は、自然と人へ向く。

「……わ……」

ぽつりと、小さな声。

「……あの人……イケメン……」

エリーがちらりと見る。

「どの人?」 「……ほら……あそこ……」

鎧を着た青年冒険者。

整った顔立ちに、余裕のある歩き方。

(自信あるけど……威圧しない……) (周り……ちゃんと見てる……) (……モテる……)

「……イケメンだね……」 「分析するな」

少し進むと、今度は小さな女の子が目に入る。

ふわっとした服に、楽しそうな笑顔。

「……あの子……可愛い……」 「はいはい」

「……お姫様みたい……♡」

(大事に育てられてる……) (周り……ちゃんと見て……歩いてる……) (……いい家の子……)

「……将来……幸せになりそう……」

「未来まで見るな」

さらに進む。

前を歩く兄弟らしき二人組。

兄は少し無口そうで、

弟は元気いっぱい。

「……あの兄弟……雰囲気……いい……」 「まだ続くの?」

「……あのお兄ちゃん……」 「うん」

「……きっと……優しい……」

(歩く速度……弟に合わせてる……) (荷物……全部……持ってる……) (……いいお兄ちゃん……)

エリーは一瞬、足を止めた。

「……ナミ」 「……な、なに……?」

「……やっぱり、あんた変」

「……ひ、ひどい……」

街が見えてきた。

石造りの門。

行き交う人々。

賑やかな声。

「……わぁ……」

ナミの目が、きらきらと輝く。

エリーも少しだけ、視線を上げた。

(ここで勉強して……) (知識を集めて……) (ナミの力を、ちゃんと証明する)

その瞬間。

「……あっ」

またつまずいた。

「だから足元」 「……ごめん……」

街の中は、情報量が多すぎた。

「……わ……」 「静かに」

「……あの人……自己中っぽい……」 「失礼すぎる」

「……あ、でも……悪い人じゃ……ない……」 「フォローが遅い」

(声……大きい……) (視線……自分中心……) (でも……仲間には……甘い……)

エリーは、ナミの横顔を見る。

(人間観察オタク…?)

宿屋の前。

「……こ、ここ……?」 「ここ。評価も悪くない」

ナミは看板を見る。

(清潔……) (人の出入り……ちょうどいい……) (受付の人……笑顔……本物……)

「……いい宿……だと思う……」 「でしょ」

部屋に入って、ナミはベッドに座り込んだ。

「……つ、疲れた……」

でも、表情はどこか明るい。

「……街……楽しい……」 「私は明日から学舎を見に行く」

「……えらい……」 「普通」

ナミは、布団に倒れ込みながら呟く。

「……でも……ここなら……」 「うん」

「……私……がんばれる……かも……」

エリーは、窓の外を見た。

「……あんたの力を、ちゃんと評価する場所を探そう」 「……うん……」

ナミは、にへっと笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ