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祝賀会と受付嬢

王都で開かれた祝賀会は、

かつてない規模になっていた。

王女の無事。

黒幕の捕縛。

そして――

国を揺るがした事件の完全解決。

騎士団、冒険者、商人、職人。

誰もが、この結果を祝うために集まっている。


会場の端。

「ひ、人が多いですぅ……」

ナミは完全に場違いだった。

慣れないドレス姿の正装も落ち着かず、

立っているだけで精一杯。

「お姉ちゃん、じっとして」

「は、はい……」

エリーの小声の指示に、

素直に頷く。


壇上に、ウィリアムが立つ。

「今回の事件を解決したこのギルドに国1番の、ギルドの称号を与える!」

拍手。

「だが――

 それだけではない」


「お姉ちゃん、行ってくるね」

少し間を置き、

エリーが前に出た。

「皆さん、

 少しだけお時間をください」

名もなき少女。

だが、声はよく通った。

「このギルドが高く評価され

さらに今回偉業を成し遂げた

経緯と理由を伝えさせてください」

「色々なギルドがこのギルドのやり方を真似しましたが、同じ成果を出せたギルドは、ありません」

ざわめき。

「理由は、 このギルドの“強さ”が

 戦闘スキルではなかったからです

このギルドには名のある

戦闘スキルを持った冒険者はいません」

「物資を整える者」

「情報を管理する者」

「人を適切な場所に配置する者」

「これらはすべて、

 生産スキルと呼ばれる力です」

エリーは、ゆっくりと言葉を選ぶ。

「戦闘スキルのように

 派手ではありません」

「ですが――

 結果を出しました」

「剣を振らずとも」

「魔獣を倒さずとも」

「街を、国を、

 救うことができた」

会場は、静まり返っていた。

「このギルドが強かった理由は、

 生産スキルを、

 正しく使っていたからです」

一拍。

「戦う者だけが

 価値を持つ時代は、

 もう終わりです」

最初の拍手は、

誰だったのか分からない。

だが、

それは確実に広がった。

大きな拍手。

歓声。

ウィリアムは、

深く頷いた。

「騎士団も、

 学ぶべきだ」

バズは、静かに笑った。

「うちは、

 ただ当たり前のことを

 やってただけだ」

その喧騒の中。

「え……?」

「えっと……?」

ナミは、

完全に置いていかれていた。

「なんだか……

 すごいお話ですねぇ……」

エリーは、

小さく息を吐いた。

「うん」

「でも、お姉ちゃんは

 そのままでいればいいのよ」

ナミは、ほっとした顔で頷いた。

この日。

王都で――

生産スキルという価値が、

初めて公に認められた。


そして、少しだけおめかしをした

ドジっ子受付嬢は、

拍手の中に、

ただ立っていた。


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