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どこかで見たような気がする受付嬢

崩壊は、止められなかった

混乱の中心にいたのは、

ギルド幹部――グラハムだった。

「冒険者が逃げてるだけだ」

報告書を投げ捨て、

グラハムは吐き捨てる。

「魔獣が増えた? 当たり前だ」 「危険だからこそ、冒険者が必要なんだろう」

部下が、震えながら言う。

「ですが……」 「人員が足りません」

「討伐隊が組めません!」

「なら、残ってる連中で行かせろ」

かつて。

依頼の割り振りに迷いが出た時、

誰かが、根拠のない一言を挟んでいた。

「この組み合わせ、危ないかも……」 「今は、別の依頼を……」

グラハムは、それが嫌いだった。

「感覚で口を出すな」 「仕事の邪魔だ」

そして――

その存在を、切り捨てた。

結果は、数字に出た。

討伐失敗。

負傷者続出。

そして、街の外壁付近で――

魔獣の群れが確認される。

「急げ! 防衛だ!」

だが、集まった冒険者は、

あまりにも少なかった。

戦いは、崩れた。

生きて戻った者は、半数以下。

翌日。

残った冒険者たちは、

無言で街を出た。

「もう無理だ」 「判断が狂ってる」

数日後。

魔獣は、街になだれ込んだ。

ギルドが、

街を守る機能を果たすことは――

二度となかった。

冒険者ギルドは、

その夜を境に消息を絶った。

職員がどうなったのか。

グラハムが生きているのか。

街ごと崩壊したギルドのことは

みんな見て見ぬふりをするしかなかった。

後日。

とある別の街の冒険者ギルド。

受付カウンターの前で、

元あの崩壊したギルドに

所属したことのある冒険者が、

ふと足を止める。


もじもじと立つ、

少し猫背の受付嬢。

「……あれ?」

首を傾げる。

「この子前に……」 「どこかで見たような……」

だが、それ以上は思い出せなかった。

「ま、いいか」

そう言って、依頼書を受け取る。



運命とは、偶然ではなく

起こるべくして起こる


必然のことである



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