其の壱 伝伽噺創譜
昔々、 あるところに、それはそれは気の強い暴れ者の男がいま した 。
男は小さな 山の木こりの息子でしたが、親の手伝いなどせず毎 日里の男の子を見つけて、は殴り飛ばしていました。
男が十と五の時里にいる若いもんで男に逆らう者はいませんで した 。
ある日から男は山を通る旅人を次から次と殺して行き、 金を 奪っていきました。
男は一月も立たぬうちに村の豪族となり、村を自分の国にして しまいました 。
男は兵を率い近隣の村、町挙句には国まで相手にし占領してい きました逆らうものは例え女子供であろうとも容赦なく殺し 、 男の悪口を言うものは広場で毎週さらしくびにされていました。
気が付くと男はこの地の半分近く制していました 。
ある日男は町に火をつけ、逃げ惑 う人々を見つめながら、何時 もの如く服従する者にのみ酒を振舞い、逆らう ものには死を与 えていきました 。
男の前に女が現れました。女は黙ったまま 男を見つめていました 。何時もなら殺 してしまうはずなのですが、男は女を見つめると 天を仰ぎグイッと酒を飲みあおると酒を注ぎ女に渡しました 。女は 男を見つめたまま酒を飲みました 。それを見た男は大いに笑い女を嫁にしました 。
そして男はあまり戦いに出なくなっていきました 男が出なくとも国は拡大して いき、男が手を下さなくとも兵、 民は男に忠誠を誓い国は豊かになってい きました
男が 睨めばそれは死を意味し、男が微笑めばそれは繁栄を意味 しました 男が神を名乗れば 男は神に成り得た事でしょう
いつしか男に子供が出来ました 男も女も子供を溺愛し、男は子供を神の子とし国中であがめさせたました 。
子供はすくすくと育ち容姿端麗な知性に溢れた子に育ちました 。男も女も幸せでした。
ある日一人の神官が男に申し出ました 。申し出によると子供は男の子ではなく、女の側近の子だというのでした 。
男は申し出た神官を殺し側近を殺し、その事を自分の胸にしまいこみま した
しかし日が経つに連れ子供は側近に似て行き、男は子供を愛せなくなりました 。
そして男は子供を殺しました 。
女は泣き、 男は戦いに出かけました 国に帰らず何日も何年 も・・ ・
ある夜男は部下の勧める酒に毒が盛られます 。
男は血を吐きながら部下を殺していきました。
然し毒を盛られた体では思うように体は動かず、部下達の剣が男の体 を刺しました。
男は泣きながら馬にしがみつきと森に消えていきまた。
焚き火の 温もりで男は目が覚めると、傷口は手当てがされいま した 。
しかし男の体はまだ 起き上がることもままなりません。
どこからか、笛の音とニ胡しらべにのり歌声が聞こえ男は眠りにつきました
朝になると男は死体の山に埋もれていました 。
異臭漂うの中男は肉の塊からはい出でると、見た事も無い光景 に困惑します 。男が出てきた塊は人のそれではなく、又今まで見聞きした動物のそれともなく、異形の物であったのです。
男は恐怖を覚え母の名を叫びました 。すると男は子供となり森に戻ってたたずんでいました 。
男は目を擦りました 、すると今度は男は城の中に移り、我が子の死体が転がっていま した
男はしばらく我が子を見つめると、目をつぶりました。
ゆっくりと目を開けると男は戦場にいました 。
男は目を瞑ることなく、敵味方構わず殺していきました。
城に戻ると 、自分の座るはずの椅子には見た事も無い男が 座っ ていました 。
そしてその横には年老いた女が座っていました。
女は男を見ると泣きながら抱擁を求め、我が子が男のいない間国を治めたこと告げました 。
男は雄たけびをあげ女を殺しました。
朝、目が覚めると男は肉の塊の中にいました 。
二胡の音が流れていました。 男は塊から抜け出そうとしましたが、いくつもの手が男を掴みました 。
男は手を振り払い塊から抜け出しました。
肉の塊から抜け出た男の前に一つの桃が落ちていました 。
男は桃をかじると涙が止まらなく出てきました 。
次の朝、男は肉の塊に火を放ち旅に出ました。
胡麻の種を作ると旅に出ました。
そしてそれから男がどこでどうしたのかは誰も知らないのです。
ただ男の火を放った後にはゴマの種が散らばっていたそうです。




